猪肉を使った料理のなかでいちばん気に入っているのが麻婆豆腐だ。豚肉よりも強い脂の風味を感じる麻婆豆腐は、やたら白飯かきこみたくなるパンチの効いた味である。
麻婆豆腐の決めてとなる調味料、豆板醤は中華圏へいくたびに土産リストの筆頭にあがってくるんだが、驚いたのはメーカーによって味がまったく違うことだ。変なものを買ってしまうと麻婆豆腐が台無しになってしまう。とにかく混ぜものない、シンプルな原材料の豆板醤を買い求めるところからこの料理は始まるといっていい。
好んで使っていたのは、塩分が強いが旨みのある香港の九龍醬園の豆板醤だったが、今は手に入りやすく原材料もシンプルなユウキを使っている。九龍醬園のものと比べると熟成度合いが低く、発酵した味噌っぽさよりとんがった辛みがたつので、瓶に書いてある分量(大さじ1)だと相当に辛い。
中華の鉄人、陳建一氏が愛用しているという郫県豆板醤は三年熟成のため、色合いも八丁味噌っぽい色をしている。つまり、どの豆板醤を使うかによって、その他の辛みスパイス、粉唐辛子、花椒、胡椒を調整する必要性がでてくるから、たいていはレシピ通りにいかなくて当然だと考えるべきだ。
そしてどの辛みスパイスをメインにもっていくるかによって、オリジナリティを発揮できるのが麻婆豆腐の沼にはまる理由のひとつ。私は痺れる辛さが好きなので、自家製のラー油にも大量の花椒を入れたうえで、麻婆豆腐にも花椒を大量にふりかけて食べる。夏だろうが冬だろうが、汗腺は大解放される。
辛旨! イノシシの麻婆豆腐をつくろう
まずは中華の鉄人に御指南いただくにかぎる。(残念ながら動画が削除されたようだ)。せわしないイメージのある中華だけど、しっかり香りを確かめながらつくる陳さんの動作はとても勉強になる。葉ニンニクなんかは手に入りづらいので割愛している。
材料
猪肉 | 100g | 粗みじん |
豆腐 | 1丁(300g) | 賽の目に切る |
長ネギ | 山盛り大さじ3 | みじん切り。葉ニンニクを使うと本場っぽいが、ニラで代用する手もある |
合わせ調味料A | あらかじめ準備しておくといい | |
豆板醤 | 小さじ2〜3 | |
甜麺醤 | 大さじ1 | |
豆鼓 | 小さじ2 | みじん切り |
ニンニク(すりおろし) | 小さじ1 | |
唐辛子(粉) | 小さじ1 | |
ラー油 | 小さじ1 | 自家製の麻辣油を使用 |
調味料B | ||
鶏ガラスープ | 150cc | 塩分が入っている場合味付けを注意 |
紹興酒 | 大さじ1 | |
醤油 | 大さじ1弱 | |
塩・胡椒 | 少々 | |
水溶き片栗粉 | 大さじ2 | ソースディスペンサーにつくりおき |
胡麻油 | 小さじ2 | |
ラー油・山椒油 | 適量 | |
花椒粉 | たっぷり |
つくりかた
④ 調味料Bと豆腐を入れて煮込む
鶏ガラスープを入れて煮立たせて、その他の調味料Bで味をつける。湯切りした豆腐を入れる。やさしくお玉の背で混ぜながら数分煮て、豆腐に味を含ませる。豆腐が隠れるくらいの水分がいい。
⑤ とろみをつける
水分が減ってきて味が決まったらネギを加えてひと混ぜ。水溶き片栗粉を少しずつ入れてとろみをつける。
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⑥ 焼き付ける
胡麻油を鍋肌から入れ、鍋を揺すりながら焼き付ける。仕上げにラー油や山椒油(好み。私は油が多すぎると腹の具合が悪くなるので入れない)を入れて、花椒をかける。
麻婆豆腐は土鍋に入れて食卓に出すと冷めにくいし、その間にもう一品つくれるので便利だ。この分量だと長谷園のみそ汁鍋にぴったり収まる。