- 魚焼きグリルを使うストレス
- ガスコンロで炭火焼きの味!?
- Kan焼上手でいろいろ焼いてみる
- Kan焼き上手のお手入れ
- 暮らしの道具としての「Kan焼上手」
- 追記:焼き串台を買う(2020.05.04)
- 追記2:2代目をお迎えする(2023.02.06)
- 追記3:中華五徳を使って西京焼きをきれいに焼く(2024.01.26)
このマンションに越してきてもう5年は経つが、コンロに備えてつけてある引きだし型の魚焼きグリルを使ったのは数えるほどだ。だから毎日料理はしているものの、「直火で焼く料理」というのは数えるほどで、ほとんどはオーブンで済ませていた。しかし、だ。やはり和食店で働いてみると、ただ焼いた魚がこんなにもうまいものなのかと、改めて気づかされた。店では業務用の焼き台を使い、人力で素材を近づけたり、離したりして、ゆっくりと素材を焼いていく。絶妙な火加減で焼かれた肉や魚がうまいのは当然だ。店で出すような焼きものが家庭でも食べられないものか。それがここ一年の課題だった。
魚焼きグリルを使うストレス
なぜコンロに備え付けてある魚焼きグリルを使いたくないのか、その理由を列挙してみる。
- 煙が魚に移り臭う。【味】
- ふっくら焼けない。【味】
- 素材の形状によって焼きムラができる【味】
- 高さ(厚み)がある素材を焼くと、火が近すぎて燃えることがある。【味・形状】
- 魚焼きグリルを洗うのがめんどくさい。【形状】
- 焼けるタイミングが分からず、いちいちグリルを開けなくてはならない。【形状】
- グリルが天火のみなので、ひっくり返すのが難しい。【環境】
- グリルの前に冷蔵庫があるから場所が狭く、ときどき火傷する。【環境】
いくつか我が家特有の事情もあるものの、これは明らかに、機材の形状と環境の問題によるところが多い。そこでついに意を決して購入したのが、カンダの「Kan焼上手」という商品だ。
ガスコンロで炭火焼きの味!?
Kan焼上手は、ガスコンロの上に置いて焼くタイプのグリルである。底板がアルスター素材でできており、それをアコーディオン形状に加工することで、まるで炭火で焼いたような遠火の強火効果を再現できるというふれ込みだ。アルスター素材とは、鉄にアルミメッキを施した鋼板で、車のマフラーなんかにも使われている素材だというが、まさかこんな使いようもあるとは。
アコーディオン形状の突端には小さな穴が開けてあり、食材が焼けたときに落ちる脂がコンロに漏れ落ちない構造になっている。
本体の上に設置する枠はステンレスだ。
ちなみに、私は両手持ちの焼上手を購入したが、その他に柄がついているもの、さらに高さを出すためのスタンド付きもある。スタンドの購入をかなり迷ってはいたが、洗い勝手と収納を考慮し、ひとまずは七輪でつかっている鉄久(鉄棒)で代用することにした。
Kan焼上手でいろいろ焼いてみる
鶏胸肉と豚カシラを焼く
胸肉はほとんど煙も出ず、パサつくこともなくふっくら焼けた。なにより見ながら、触りながら焼けるので火の通りが一目瞭然。塩だけでも十分うまいが、梅と紫蘇をのせてさっぱりと。
カシラは煙が出るので換気扇は最強で。脂はかなり落ちている。ジュージュー、パチパチとはじける音はまるで焼き鳥屋。やはりコンロは多少なりとも汚れてしまう。穴の構造は万能ではない。
ハモを焼く
梅とみりんを合わせたペーストを塗りながら焼いた。まるでハモのためにあるような魚焼きグリルかと思うほど、おいしくふっくら焼けた。煙はほとんど出ないが、水分は垂れる。
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ちなみに、魚を焼くときには魚串があるとたいへん便利。ひっくり返しやすいし、串から伝わる熱で中までふっくら焼ける。我が家では太さと長さの違う3種類を用意。身が柔らかい白身は細い串、大きな魚には太い串など使い分けている。焼き上がったときの身離れがよくなるよう、なるべく串を指先で回しながら焼くのがコツだ。
鰆の西京焼き
西京味噌をみりんでのばしたものに、鰆の切り身をドブ漬けして焼いた。味噌が残っている部分は焦げやすいものの、焦げてきたと思えば少しだけ角度を変えてあげたり融通が利くのがいい。
魚の皮がステンレスの枠に触れると、皮が剥がれやすいので、しっかり枠を熱しておく、もしくはあらかじめ油を塗っておくと回避できる。
鉄棒(鉄久)の高さが十分とはいえないので、魚の切り方で調整したほうがよさそうだ。
塩鮭を焼く
脂がのっている塩鮭だったが、懸念していたほど煙はでなかった。皮までパリパリに焼けて満足。余談になるが、塩鮭や干物などは、焼く前に日本酒を振りかけておくとよりふっくら仕上がる。知り合いの居酒屋店主は霧吹きに日本酒を入れておき、焼く前に吹きつけるという効率のよい技を見せてくれた。
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シシケバブを焼く
味付けした羊肉の切り落としを竹串に巻き付け、全体にオリーブオイルを塗してから焼く。油の効果でひっつきは一切ない。煙はかなり出るので換気扇は最強。
竹串はあらかじめしっかり吸水させておかないと、焼けてしまうので、大きめの肉の場合は鉄串もオススメしたい。
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Kan焼き上手のお手入れ
ご使用後は、コンロの火で汚れをやきとって炭化させ、ブラシ等でこすり落としますときれいになり、錆びずに永くご使用になれます。
これに尽きる。むやみにボンスターでごしごし洗っても、アコーディオン形状の溝の汚れは取り切れないことがわかった。炭化させたあとに先の尖っている割り箸で溝をこすってやって、写真のような状態だ。ただ、この手の調理器具は汚れて当然だと割り切れば、あまり気にならなくなった。
ステンレスの枠の汚れはボンスター 金たわしで楽々に落ちる。
カンダ焼き上手のメリットとデメリット
しばらく焼上手を使ってみた所感をまとめてみる。
デメリット
- ガスコンロでしか使えない。
- 高温で安全装置が働いて、火が消えてしまうコンロには使えない。
- 汚れは完全にとれない。
- 素材によっては煙がすごい。換気扇の掃除も頻繁になる。
- ガスコンロは汚れる。
メリット
- 目視しながら焼けるので焼き加減がうまくなる。
- 前よりも美味しいと言われる確率が高まった。
- とにかく焼くのが楽しくなる。
暮らしの道具としての「Kan焼上手」
どうみてもデメリットのほうが多いんだが、家庭でも美味しい焼き物を食べたいというそもそもの目標に向かっては大幅な前進がみられた。
まだ脂が強いサンマなどの食材を焼いていないが、焼くという調理においてこれはなかなかすぐれものである。引き続き使い続けてみてこちらで報告できればと思っている。
追記:焼き串台を買う(2020.05.04)
「強火の遠火」を完璧に再現すべく、満を持して焼き串台を購入。さっそく焼き鳥(もも肉と砂肝)を焼いてみた。
串の長さに合わせて伸縮できるスライド式になっており、13.5〜20.5cmまで伸びる。Kan焼上手にも問題なくセットできた。
高さは4.5cm。厚みのある食材でも余裕でいけそう。手前には串が焼けないよう、防止板がついているのもなかなか気が利いている。
多少時間はかかるものの、砂肝はうまく焼けた。問題点をあげるとすれば、プロ並みの串打ちをやっておかないと、串が回ってしまうことだろう。やはり焼き鳥屋はすごい。
もも肉を焼いているときに問題発生。ものすごい煙が立ち上り、換気扇がおっつかない。そして、脂が垂れたところからファイヤー! 串台に高さがある分、そこに空気の流れが生じて、火も起こりやすいのだろう。いつ火災探知機が作動してもおかしくない事態になったので、ここで普通の鉄久に戻すことになった。
やはり、鉄久にすれば火が起きたとしても、すぐに鎮火するようだ。部屋の中で、脂が強い食材を、串台で焼くのは難しいことがわかった。今度は魚を試してみよう。
追記2:2代目をお迎えする(2023.02.06)
熱海への移住が完了し、さっそく干物を焼こうとしたところで、焼き上手に穴が空いていることが判明。初代を購入したのが、2018年12月28日のことだから、4年ほど使ったことになる。価格の割に耐久性も申し分ないだろうということで、迷うことなく2代目をお迎えした。