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時速1kmの思考

【暮らしの道具】料理初心者はまず中華鍋を買うべし! リバーライト極で目指すは中華の鉄人

迷走する日本の家庭料理

これは日本独特の現象ではないかもしれないが、日本の家庭料理はますます複雑、混迷を極めているような気がする。我が家もそうだ。毎日和食というわけにはいかない。イタリアンの日もあれば、中華の日、ちょっと気取ってフレンチが食べたいときだってある。もちろんレストランで出てくるような見目麗しい料理ではない。あくまでフランス風ごった煮だ。ちょっと変わった料理をつくるのも骨が折れることだ。猫のようにカリカリとササミだけ食べていればどんなに楽だろうし、猫だっていい迷惑かもしれない。お前の飯よりも俺に時間を割けと、鳴いて訴えかけてくるのだから。

世界中の食の情報が錯綜し、世界中の食材が簡単に手に入る。世界の料理を自宅で気軽に作れるという、他に類を見ないほど、家庭料理を謳歌する時代がやってきた。あらゆる料理専門家が珍しい料理をテレビで披露し、あらゆる料理研究家がこの器具がよいと喧伝する。それに伴い調理道具も増え、さらには料理に合わせて食器なんぞも増えたりなんかするから、これではどんなに台所が広くても、あっという間に手狭になることは目に見える。
どうしても料理をしなくてはならない状況に追い込まれたとき、どんな調理器具を選んでいけばいいか。これはのちのちまで尾を引くけっこう重要な問題だったりする。

超初心者のための厨房学入門

私たちの棲みかは台所なのだ。

玉村豊男氏は著書『男子厨房学入門』でそう語る。
これからの時代は男子たるもの厨房に入り、女がいなくとも飯の一つや二つ、作れるようにならなければいけないのだ。

1985年、ざっと30年前の本であるが、結婚しない男女が増え、熟年離婚は後を絶たず、夫婦共働きがようやく当たり前になりつつある今だからこそ、本書の存在はいまだ大きな意義を持つ。東京都が配付する防災ブックも確かに大事であることに間違いないが、政府は本書を成人男子全員にもれなく進呈してもいいのかもしれない。

問題は女の自立よりも男の自立である。

いや、これはもはや男子だけに限った話でもない。米の研ぎ方すら知らない女子だっていまや珍しくない。話を聞いてみれば、小さい頃からすべて母親がやってくれていたというからそれも仕方のないことだ。男も女も、そろそろ自らの“棲みか”のシステムを整備しなくてはならない時である。






男子厨房学(メンズ・クッキング)入門 (中公文庫)

1999/10/1
玉村 豊男 (著)

料理初心者はまず中華鍋を買うべし

『男子厨房学入門』で、玉村氏は「台所は中国に学べ」と提案している。中国人はありとあらゆる料理を中華鍋を一つでやり遂げている。炒める、焼く、煮る、茹でる、蒸す(まぁ蒸すには蒸篭を使うが、蒸篭の下には中華鍋がある)。一つの鍋でこれほどの調理の幅が広い器具もあるまい。料理の初心者はまず中華鍋があれば間違いないというのである。

なるほど。私はまんまと氏の術中にはまり、中華鍋を買う気満々になった。中華鍋も値段はピンキリだ。大きく違うのは、鍋が加工してあるか否かである。普通の中華鍋は、買ってきてすぐに使える代物ではない。まずは空焼きをするのだ。
実際手元にあった西洋式の鉄のフライパンは自分で空焼きをして使っていた。すでにしっかりと鍋の表面には油膜がはり、テフロンとまではいかないが食材がこびりつくことはほとんどない。しかしこのフライパン、直径が20cmと小ぶりである。だから初心者にでも扱えたのかもしれない。

大は小を兼ねる。中華鍋は大きなものがいい。ただあんな大きな鍋をこの小さな家庭用コンロで空焼きできるのだろうか? そう疑問を持ちはじめると、考えれば考えるほど待ち受けるその作業が億劫になり、そういえば中華鍋が本当に必要なんだろうか? というそもそも論に立ち返り、堂々巡りになってきた。

ひたすらネットで調べるなか、時間だけが無為に過ぎていく。ある日、そんなことをするのも飽き飽きしたころ、なかばヤケクソで購入ボタンを押してしまった。空焼きの必要がない鍋を買えばいいことじゃないか。多少値ははるが、これで使いこなせなかったら諦めがつくさと。






リバーライト 鉄 炒め鍋 旧タイプ 極 30cm

●錆びにくい鉄製炒め鍋
●サビやすい欠点をほぼ完璧に打ち消し、面倒なお手入れのいらない鉄フライパン

そして今手元にあるのがリバーライト極(現在は極JAPANというラインナップのようである)という中華鍋だ。正確に言えば、中華鍋ではなく炒め鍋という名称がついている。一般的な中華鍋と違うのは、家庭用の五徳でも安定するよう底はフラットに加工してあることだろう。だから炒め物だけでなく、ハンバーグなど平たい食材を焼く作業もできる。

そういえば、中華鍋には両手鍋の広東式と片手鍋の北京式がある。どちらを買おうかこれも迷ったが、結局片手鍋に落ち着いた。広東式の鍋で炒飯をつくるのはちょっとした憧れだったが、家庭のコンロでそこまで鍋を振り回すこともないだろうし、そもそも猫の額ほどの台所では不可能だろう。リバーライトでは広東式、北京式の鍋は輸出用に生産はされているようだ。

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この鍋を使いはじめて「中華料理の日」が明らかに増えたし、ついにはラー油なんかも自家製しはじめる始末である。特に炒飯は米粒がぱらぱらに仕上がるようになり、その味の違いは歴然だったようでお褒めの言葉もいただいた。こりゃ中華の鉄人になる日も近いかもしれない。

よい調理器具を手に入れると料理の腕は多少なりとも上がるようだ。「よい」というのは、「自分に合った」という意味だ。だから気をよくしてまた使う。油が馴染んでまた鍋が使いよくなる。その繰り返しなのだ。

2020年2月、中華お玉を購入。こちらもあわせてどうぞ。
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