モノが捨てられない質が災いしてか、もしくは「ないならないなりに」という親の教えが染み付いているせいか、モノを買うときは吟味に吟味を重ねすぎて無為に時間ばかりがすぎていく。石橋を叩きまくったあげく渡りそびれるタイプだ。
「あったら便利かもしれない」「なくてもなんとかなる」「専門性が高い」「代替案がある」「安くとも高くともない」
こういった要素が強い商品は「まぁ今でなくともいいか」と後回しにしがちだが、こちらが油断した頃合いを狙ってまた購買意欲を刺激してくるので、さらに無駄な時間を費やすことになるのだ。
「モノが増える」「単なる無駄使い」「使えなかったらどうしよう」などなど負の真理を乗り越え、「さっさと買っておけばよかったよ!」という高みまで昇華した道具はもう一生手放せないだろう。
ちょうど今日はブラック・フライデー、アメリカでは感謝祭(Thanks giving)にあたるらしい。アメリカの友人は毎年「よいThanks Givingを!」とメールをくれるが、正直、そういう習慣がないのでどう返してよいかわからずほぼスルーしてしまっていたが、いつのまにか日本にも名前をかえて上陸していたことを知ったのは、ついさっきだ。
ということで、日本列島の買い物気運が高まっている今こそ紹介したい、買ってよかったキッチン小道具を集めてみた。
それもこれも、「よいブラックフライデーを!」と言ってみたかったに他ならない。
調理器具編
クレーバートング エコノミータイプ
もはや箸や茶碗と同じレベルで「一人一本」がマストだと豪語したい細身のトング。
出番が多いのは焼肉・すき焼き・しゃぶしゃぶといった肉鍋料理。薄い肉でもがっつりつかんで離さない。「菜箸でもいいじゃないか」と思っていたが、フライパン上での細かい作業さえ断然スピーディかつ楽になった。
テーブルに置いても先端が少し浮く形状で衛生面にも配慮されている工夫がすばらしい。
ステンレスのパイ皿
半調理した食材の一時置きとして使っている。中華なんかには有効で、「入れるの忘れてた!」といううっかり予防になる。
肉や魚を皿ごとオーブンで焼く正攻法はもちろん、鍋やフライパンの蓋としても使い勝手がいい。スープを煮込むときはパイ皿蓋の上にレードルや木べらを仮置きできるのが地味に便利である。ただし蓋にする場合は熱くなるので指の皮を厚くするなど鍛錬が必要となる。
縁の立ち上がりが緩やかなので、バットより洗いやすいのも嬉しいポイントだった。
サラダスピナー
冷蔵庫を買ったオマケに電気屋からもらったときは、「もっといい物くれよ」と悪態をついていたが、いまや必需品。やや収納が嵩張るものの生野菜は俄然生き生きするので、サラダ生活が楽しくなった。
初代は10年の時を経てついに壊れたので代用品を探していところ、図らずもまったく同じ商品が届く。蓋は進化しており、より軽い力で回しやすくなっていた。
角型の菜箸
調理中に菜箸が転がって落ちる。これほど地味で苛つくストレスはなかったが、一発で解消してくれた角形。いろいろな太さがあると便利なので、都度買い足すようになった。
ボウルの上に橋渡しをして、その上にザルをおき、出汁を漉すといった、丸型ではできなかった作業もこなす。
お助けスプーン
一見ただのでかいスプーンだが、大皿料理(炒め物、麻婆豆腐、アクアパッツァ、ピラフなど)を取り分けるには絶妙の大きさ、深さ、厚み。一度で適量をすくえるし、柔らかい豆腐や魚も崩すことなくサーブできる。何度もすくわなくてよいからこぼす率もおのずと減った。
金属製のスポンジはNG。
茶筅型ホイッパー
少量のドレッシングをつくる、玉子をほぐす、味噌をとるなど、ケーキ用のホイッパーでは手に余るときに重宝する。
しかもワイヤーの先端がループしていない茶筅型がこんなに洗いやすいとは目から鱗。洗いやすいからまた使おうという気になるよい循環を促してくれる。
アイスクリーム・スクープ
肉団子を超高速かつ均等に丸めることができる時短道具。
焼売の皮を将棋盤よろしくテーブルに並べ、スクープでとった肉をリズムよく配置し、空気を抜きながらつつヘラで包むと、通常の倍速で焼売ができあがる。OXOの40ml(大さじ1.5)と30ml(大さじ1)を愛用。
ミニ焼き網
食材を炙るには魚串が便利だが、手持ちの本数に限りがあるし、身の薄い魚においては崩れることもしばしば。そこで目に止まったのが小さな焼き網だった。直径16cmで手持ちつき。トレーをはずして、ガスの直火で炙っている。ネギや刺身など、本当にちょっとしたときに便利な大きさで、必要十分の機能。網は食材を点で支えられるよう波形に加工してあり、しっかり熱くしてから食材をのせるとこびりつきも少ない。
餃子ベラ
餃子専用のヘラを再掲。餃子においては必携の道具で、そのへんのナイフでは味わえない餡のキレの良さである。
餃子や焼売以外には、パンにマヨネーズやマスタード、玉子スプレッドを塗るときに便利なので、サンドウィッチ率が高い我が家では週に3回は登板している。
ペースト状の食材を扱うにはいちばん無駄がでない形状になっているのかもしれない。
掃除編
水切れの抜群のスポンジ
スポンジほど毎日使い、あれこれ浮気してきた商品もないが、たどり着いたのはパックスナチュロンのスポンジだった。泡立ちがよく、水切れが抜群で乾きが早いのでカビることがない。もしカビたとしても漂白剤につけておけば復活する。
亀の子スポンジも遜色ない働きをしてくれたが、価格的にもパックスナチュロンに軍配があがった。
ゴム手袋
コロナ渦と食器洗浄機がなくなった生活の末、持病に手荒れが加わってしまった。こうなると素手での洗い物は拷問に等しく、防戦一方である。最後の砦はゴムとなった。
指のグリップが効いているのか洗剤でぬるついた皿を落とすこともなく、ゴム素材も他と比べて厚手で破れにくい印象。使用感としては、半年に一度くらいの買い替えだ。
とにかく、手荒れだいぶ改善した。
海をまもるキッチンブラシ
1000円するブラシなど買ったことがなかったので相当悩んだ商品だ。
ブラシ部分の素材は毛足の長いゴムで、コシがかなり強い。このコシのおかげで、ザルや目の立ったおろし器なんかが洗いやすい。
洗剤を使わなくても汚れがおちるという触れ込みだったが、油汚れには不向きなようだ。
またゴムが密集しているので乾きにくく、ときどき黒くカビることがあるが、漂白剤につけておけば新品同様になる。
すでに5年ほど使っているがいまだ現役と考えると、費用対効果はよいといえる。