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時速1kmの思考

【秋の炊き込みご飯祭】カマス飯

カマスの炊き込みご飯
【秋の炊き込み飯祭り】カマス

今日も今日とて、買い出しだ。
が、今日はちょっとだけいつもと違う。湯河原まで足を伸ばしたのだ。
というのも、熱海に家を買ってしまったからだ。昭和8年築の平屋で、海ビューつき、茶室つき、温泉つき、という変わった物件であった。
トイレにおいては三つもついている。洋式、和式、それに男子専用の便器が一箇所にまとまっている便器天国だ。なんでもつけりゃぁいいってもんじゃない。三つの便器を掃除する自分を慮り、リフォームに踏み切ることになった。

折をみて熱海に通うことになった晩秋。熱海への移住は長らく楽しみにしていたが、心配の種がひとつある。買い出し案件だ。

「このあたりじゃ皆イオンですね」と不動産屋はいう。イオンかぁ・・・・・・。イオンの旗艦店がそびえる品川シーサイドで育った自分は、昔からイオンの世話になってきたものの、いま仮住まいしている東戸塚にもイオンがあり、熱海でもイオンなのだと一方的に宣告を受け、少々がっかりしたのである。

もちろん真っ先に熱海のイオンを視察した。街のど真ん中に位置するせいか大型スーパーにしては手狭で、商品ラインナップからしてもミニチュア版イオンといった小粒感が否めない。さすが魚貝コーナーは旗艦店よりも活気があったが、その他はおしなべて "Theイオン"だった。

そこで熱海の隣町、湯河原のスーパーはどうだろう、という話になったのだ。これはいわば「買い出し」という名目の市場調査である。
まずは魚屋だ。刺身、干物、冷凍モノが一通り揃っており、売場の通路も二車線で快適。丸の魚は少ないが、もしかしたら我々の奇襲調査が時間的に遅れをとったとも考えられる。刺身の盛り合わせに、プラスチックじゃない、菊の生花をあしらっているあたりはかなり好感がもてる。今日のおすすめは小田原産のカマス、5尾400円だ。秒でカートに入れる。

次は肉屋。パック詰めされている安いものから、量り売りしてくれる肉屋も併設。これも合格。
焼きたてのパンもある。胡桃入りのバケットを手に取る。
このあたりから買い出しを忘れて調査に没頭。豆腐や調味料コーナーは外せない。ご当地ならではの商品が拝める貴重な売り場だ。

カートを操り奥へ奥へとさまよっていると、いつのまにか併設している「業務用スーパー」へ突入していた。一生分かというほどの福神漬、大手メーカーをパクったであろうパッケージのレトルト食品、どこから輸入したんだという謎のエスニック食材などなど、どれも規格外の怪しさを孕んでおり、眺めているだけで時間が過ぎていく。「カマス大丈夫?」と家人にせっつかれ、後ろ髪をひかれながらレジへ向かう。

カマス

小田原産カマス
小田原産カマス

見立てどおり、カマスは素晴らしく新鮮だった。真偽のほどはわからないが、長い系の魚は尾っぽを握ったときにピンとまっすぐ立つと新鮮な証拠だと聞いたことがあるが、どれもが該当していた。

5尾はすべて三枚おろしにして、2尾はカマス飯用に、3尾は炙って刺身にした。ということで、カマス飯の材料はこんな感じだ。

2合 洗って水をきっておく
三枚におろしたカマス 2尾分 小骨は抜く
カマスの頭と中骨 5尾分
昆布出汁 400cc
 ・薄口醤油 大さじ1〜
 ・酒 大さじ1
 ・みりん 大さじ1/2
 ・塩 ひとつまみ
紫蘇 好きなだけ 千切りして水にさらしておく

まず、ひとかけらの昆布に水を入れ、弱火でゆったり出汁をとる。沸騰する前に取り出したら、調味料で味付けをする。だいたい、昆布出汁が400ccくらいだとして、その0.05%くらいの塩を投入し、薄口醤油で好みのしょっぱさ(吸い物よりもしょっぱいくらい)にもっていくのが自分流だ。さっと沸かせて塩が溶けたら、水を張ったボウルに鍋ごといれて、冷やしておく。

カマスの三枚おろし
カマスの頭と中骨を焼く

カマスを三枚におろし、頭と中骨は軽く塩をして脱水した後、こんがり焼いておく。

カマス飯
焼いた頭と中骨を釜に放り込む

釜に米2合、味付けした出汁400ccを加え、その上に頭と骨をのせて、飯を炊く。長谷園の土鍋であれば時間にして強火で10分程度だ。その間に、三枚おろしにした身を皮からこんがり炙る。軽くこげ目がついたら、裏はさっと白くなる程度で十分だ。

カマス飯カマス飯
三枚におろしたカマスをさっと炙る

炊いて10分くらい蒸らした釜をあけ、頭と中骨を取り除くが、骨周りや頬に残っている身もうまいこと箸の先でこそげとれたら最上だ。
そこに先ほど炙ったカマスをのせて、蓋をして5分蒸らす。

カマス飯
薬味は紫蘇

仕上げに紫蘇の葉を散らして食卓へ。
「おっ、今日はグレーリング飯か!?」
のたまう家人を無視して、飯を混ぜる。しっかり混ぜてもよし、カマスはざっくりでもよし。

「こりゃ、うまいな」と家人。
たしかにそのひと言に尽きる旨さだった。これまで炊き込みご飯というジャンルにおいて、和よりもパエリアやピラフといった洋を好んでいた我々だったが、口にいれた瞬間にその思いは和へと舵を切り、原点回帰を果たしたのだ。

炙った皮の香りに爽やかな紫蘇が、脳内の多幸感を麻痺させていくような感覚。
炙った刺身と一緒に食べるとまた絶品で、腹がはち切れるまで貪らざるをえなくなり、これぞ秋の炊き込みご飯祭りといった晩飯となった。

konpeito.hatenablog.jp

今日も今日とて、米を食い過ぎたのだった。

追記:2021年11月17日
ちなみに、さっと炙りたいとき、こちらの商品がたいへん便利です。