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時速1kmの思考

山うにとうふを隠密食いする

山うにとうふ
山うにとうふ

「珍味が食べたくなる」という謎のワクチン副反応で衝動買いしてしまった「山うにとうふ」。本当にウニの味がするのか期待先走るところだが、ここは平常心で臨むべくまずは説明書に目を通す。

  • これは豆腐の味噌漬けである。
  • 壇ノ浦の戦いで滅びた平家の落ち武者によってつくられた保存食である。
  • 山奥に潜伏していた落人にとっては貴重なタンパク源。
  • 表面にでる白い斑点状のものはチロシンというタンパク質が分解されたもの。

チロシン必須アミノ酸物質で、主に「鬱病を改善する」「集中力を高める」「ストレスを軽減する」「白髪を予防する」などの効果があるという。茹でたタケノコを割るとついている白いカッテージチーズみたいなやつもチロシンのようで、これまできれいに洗い流していったことをひどく後悔する検索結果となった。

実験的に染髪をやめて四ヶ月ほどたって頭はごま塩状態だし、コロナで外出が楽しくない気鬱、仮住まいに甘んじているストレス、目の焦点が合わなくて読書が続かないなどあちこちにガタがきている自分にとって、読めば読むほどいま足りていないものをしっかり補ってくれる優秀な食品を無意識のうちに選んでいたことが判明し、運命を感じざるえない。

山うにとうふ
山うにとうふ

もんじゃ焼きのヘラで小皿に盛る。思ったより柔らかくて崩れやすく、酒粕のようなかおりがする。思わずヘラを舐めてみた。
なるほど。生ウニというより、瓶詰めされた加工品のウニの味に近い。ややしょっぱさが立つのでこれは白米と合わせるのがベストだろうと、急遽米をとぎはじめる。

山うにとうふ
山うにとうふ定食

献立は、白米、ネギと大根のみそ汁、鰺のひらき、もずく、ソーセージ、あんずの紫蘇まき、そしてメインは山うにとうふとなった。

満を持して、山うにごはんを実食。

うまいっ! うまいっ! うまいっ!

植物由来とは思えないこの濃厚さ。ほんのりと香るウニっぽさ。疑似ウニとしては大成功しているんではないか。というか、ヘタしたらウニより斜め上をいっている。ウニの加工瓶詰めは商品によってはきついほどアルコール臭がするからある日を境に買うのをやめてしまったのだ。しかもウニと違ってコレステロールも気にすることない。罪悪感もゼロ。万能栄養食じゃない。
それと同時にチーズのような芳香も感じられ、お酒とも合わないはずがないと確信する。付属のレシピには「冷凍して一口大にカット」とあった。しまった、目の前の山うにとうふはすでにボロボロ崩れてしまった状態である。次回に持ち越そう。

山うにとうふ
白米がとまらない山うにとうふ

800年も昔の落人はこんなうまい珍なるものを食べていたのか。これが世間に知れたら追っ手がかかるのも時間の問題。ひっそりとひっそりと食べ繋いできたんだなぁ。

さぁ、もう少し食べようとヘラを構える。いや待てよ、珍味というものは舐めるようにチビチビ食べるもんだ。自らを戒め、そっとふたを閉じて、家人に見つからぬよう冷蔵庫の死角に隠す。

このような隠密食いを続けた結果、飯を食ったあとに、山うにとうふでもう一杯飯をおかわりし、アドレナリン全開で床につくという悪癖がついてしまった。よもや、よもや。