餅は餅屋
天ぷらには天ぷら鍋
最近、よく天ぷらを揚げるようになった。そう、ついに、ついに揚げ鍋を買ってしまったのだ。この境地に達するまで、かれこれ五年もかかったことになる。いま思えば、「なんでもっと早くに決断できなかったんだろう?」という後悔しかない。
これまでは、中華鍋や鉄のフライパンを使って、揚げ焼きにしていた。これ以上鍋を増やしたくない、揚げ油の処理と片づけが面倒臭い、というのが本音だった。
フライパンでも葉ものやうずらといった小さな食材なら十分にうまく揚がる。だが油はねが尋常ではない。油はねの少ない中華鍋にいたっては、直径が30cmと大ぶりなこともあり、それこそ業務用レベルの油が必要になってくる。油返し用のポットも小さかったから、ついつい油をケチることになり、理想の天ぷらとはほど遠いものができあがる。やはり、食材が泳げるくらいの適量な油が、天ぷらには必要なのだ。
銅・鉄・アルミニウム
自分に合った揚げ鍋はどれ?
天ぷら専門店ではたいてい銅製の鍋を使っている。これは熱伝導の良さが天ぷらには最適だからだ。食材をいれてもすぐに温度が上昇してくれるため、次々に食材を入れてもカラッと蒸し焼き状態になる。だがこの銅製、一般家庭で使うのはやや難しい側面もある。油が酸化しやすいのだ。専門店ではたいてい、毎日油を入れ替えているはずだ。もちろん、その分も料金に乗っかってくるんだろう。さすがに毎度油を替えることはないと考え、選択肢からはずすことにした。
熱伝導から考えると、次の候補はアルミだ。安くて軽い。しかし、揚げ鍋の良し悪しは熱伝導だけでは語れない。熱容量(蓄熱性)も重要なポイントだ。アルミニウムは比重が小さいため(1立方メートルの鉄は7874kg、アルミ2700kg)、板厚によっては食材を入れたり、加熱を抑えると冷めやすいだ。つまり、材質の厚さ=鍋の重さは熱容量に大きな影響を及ぼすということだ。冷たい食材の影響を受けやすいとうことは、均一な加熱を求められる天ぷらにはやや不向きと考えられる。こちらのアルミ製の板厚3mm、重量600gの揚げ鍋は悪くなさそうだが、我が家にとってはいささか寸法が大きいことが難点だ。
では鉄はどうだろう? 鉄は銅に比べて熱伝導は圧倒的に劣るものの、比重は大きく、熱をためやすい性質を持っている。十分温めてやれば、冷たい食材を入れても油の温度が下がりにくく、安定しやすい。
熱伝導性・熱容量・材質・板厚・寸法。そのすべてを兼ね備えた鍋がこちら、南部鉄器の揚げ鍋だ。内径16cm、深さ7.5cmと小ぶりながら、その重量1.4kg。ちょっとしたバーベルである。
揚げ鍋を変えるだけで
腕前は上がるのか?
この鍋で初めてつくったのは、海老、舞茸、ピーマンの天ぷらだ。ささっと揚げて、食卓へ。
「粉かえたの?」
「いえ、鍋かえました」
たしかに、フライパンであげていた時より油は使うが、仕上がりは断然違う。歯触りはサクサクで、中はふっくら。天ぷら屋でも開店しちまおうか、と勘違いしてしまうほどお褒めの言葉をいただいたのだ。やはり道具選びは重要だということを、痛感する。
メリット
- 鍋が小さく収納性が高い。柄は取り外し可。
- 柄がついているので片手で扱える。使い終わったあとの油の処理が楽。
- 火の通りがまんべんなく、焦げ付かない。
- 短時間でがんがん揚がる。
デメリット
- 油の片付けは必要。そこで積極的に炒め物に使うことにした。炒め物には食材の風味が入った油の方がおいしく感じるという。
- 若干重たい。だが前述したとおり、この「重さ」が「うまい」に比例すると考えればなんてことはない。それにコンロに置いた時の安定感は抜群だ。
- 小さいがゆえに一度に大量には揚がらない。だが、短時間で揚がるし、いつも揚げたてを食べられる。
デメリットもメリットなわけである。ちなみに、この揚げ鍋と一緒に購入したのが油ポットだ。ステンレス製で、網目の粗さの異なる漉し器がついている。二つの網の間に、紙の漉し器を挟んでおくと、油をかなりきれいな状態で保つことができる。
岩鋳の揚げ鍋を使ったオススメ料理
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