大きな海老天を揚げてやりたかったが、手に入れたエビがだいぶ小ぶりだった。12尾で500円という破格だったから、文句をいったらバチがあたるだろう。
まぁ、小さなエビでも大きく見せる手立てはある。
俗に「花を咲かせる」というが、素材を揚げるときにゆるめの衣を箸や指で散らしてパリパリの薄い衣をまとわせるのだ。
大きく見せるための板前のトリック、いや技だ。
さくさくで軽い、そそりたった海老天は、ビジュアルも豪華でセレブ感ただよう。衣に天つゆを吸いこんだジューシーな天丼を思い浮かべるだけで夢うつつなれる。
ただこの手の天ぷらは、想像以上に胃腸を攻撃してくるお転婆セレブでもある。
歳を重ねると、油との関係をみなおさなければならなくなる日がくる。
そもそも小さな海老を大きく見せようとすること自体おこがましいのではないか。必要以上に油を摂取するのもなんだし、我が家では普通に衣につけて、普通に揚げている。
素材の味もするし、個数を稼げる。これが今の自分の身の丈なんだろう。
海老天の準備に入る。
エビの天ぷらはまっすぐであればあるほど良しとされているが、正月には曲がったエビが吉とされるのだから、正直どっちでもありだろう。
- 背わたを爪楊枝でとる。とりずらい場合は殻をむいたあとに背をぱっくり包丁でわってもいい。
- 尾っぽを残してエビの殻をむく。
- 尾の真ん中の尖ったトゲ(剣)の殻もむく。
- 尾っぽの先に汚れと水分がたまるので、包丁でしごく。(面倒くさければハサミで先を切ってもよし)。
- 冷凍エビの場合は片栗粉と塩少々でもみ洗いをして、水分をペーパーで拭き取ったのち、酒少々で旨味を足しておくといい。
- エビの腹側の節目に数カ所、包丁を入れる。
- ひっくり返して、背を包丁の腹でぐっと押さえて、筋を軽く押しつぶす。
これに軽く薄力粉はたき、天ぷら衣をつけて揚げていく。
こしらえた海老天は6尾。
あまったら鍋焼きうどんはたまた天丼か天むすも悪くないなど夢ふくらむばかりだったが、そんな野望は瞬殺された。まぁ小エビだから仕方ない。昼間っから大海老が食える偉人になりたいものだ。
小海老の天ぷら蕎麦
- 蕎麦を茹でる湯を沸かす。
- 準備しておいたエビに、うすく薄力粉をはたく(打ち粉)。
- エビに衣につけて、揚げる。大きさにもよるが、170度で1分強。油の気泡が小さくなるのが目安だ。
- 蕎麦を茹でる(詳細はこちら)。ゆであがったら冷水で十分にもみ洗いしてザルにあげ、同じ鍋でもう一度湯を沸かす。
- 出汁:濃口+薄口:みりんを10:1:1で合わせて、砂糖を少々加えさっと沸かしておく。今回は2人分で出汁600cc、醤油とみりんを60cc、きび砂糖を小さじ1だ。
- 水でしめた蕎麦を湯であたため、丼によそい、つゆをたっぷりはったら具をのせる。