mogu mogu MOGGY

mogu mogu MOGGY

時速1kmの思考

食品ロスに挑む、皮ごと真っ赤な紅玉のコンポート

紅玉のコンポート

浅間りんご農園から紅玉がたくさん送られてきたので、新鮮なうちに煮ておくことにした。

リンゴを皮ごと煮ると皮がやや口に残るので、剥いた皮だけをキッチンペーパーに包んで、実と一緒に煮ると淡いピンクに染まりとてもきれいだ。が、結局その皮は捨てることになる。これまであまり気にしたことがなかったが、今年は生ゴミコンポストに挑戦したことも相まって、とにかくゴミを減らしたいという思いに駆られていた。巷では食品ロス対策も盛りあがっているし、皮と実の間がいちばんうまいという説は果物の常である。

なんとか皮も一緒に美味しく食べる方法はないものか?
戯れに皮を刻んで、白ワインといっしょに粉砕してみるとラズベリーのような鮮やかに発色した。これを加えてリンゴを煮れば、圧倒的にロスが少ないじゃないか、と色めきだった。こりゃやってみるしかない。

紅玉のコンポート

皮ごと紅玉のコンポート

材料

紅玉りんご 6個(1564g) 八つ切り
きび砂糖 りんごの重量の40%(625g)
白ワイン 適量(ミルサーがまわる程度の分量)

※しっかり酸味がある紅玉だったのでレモンを省いた。

つくりかた

  • リンゴは八つ切りにして重さを量り、その40%の重量の砂糖を用意。

紅玉のコンポート

  • 皮をむく。

紅玉のコンポート

  • 皮をむきながら、リンゴに砂糖をまぶしながら大鍋に敷き詰めていく。

紅玉のコンポート

  • 皮を刻む。

紅玉のコンポート

  • 皮にごく少量の白ワインを加え、ミルサーで撹拌する。

紅玉のコンポート

  • 砂糖によってリンゴから水分が出たところを見計らって、火をつける。はじめは弱火で。

紅玉のコンポート

  • 水分がたっぷり出たところで、皮を加える。

紅玉のコンポート

  • アクを取り除き、落としぶたをして強火で、好みの固さになるまで煮る。

紅玉のコンポート

  • 煮上がったら、一晩このままおいておく。まだところどころ白っぽいが、一晩たつと真っ赤に染まる。

紅玉のコンポート

さっそくアップルパイを焼いてみると、まさにTheアップルパイな装いに、ひとり悦に入るのであった。皮のおかげか、いつもよりしっかり固まったような気もする。

アップルパイ

腰痛からの便秘が緩和! 薬膳的な菊芋と鶏肉のスープ

キクイモと鶏肉のスープ

今年に入って何回目だろう。また腰痛が振り返した。急に寒くなってきたせいかもしれないが、とにかく痛い。
10分でも立って同じ作業をしていれば、腰のあたりがジクジクと痛む。あたり、というのは、もうどこが痛いのか分からなくなっているのだ。気を紛らわせるべく腰をクネクネひねりながらなんとかもちこたえようとするが、ジクジクの痛みがどこか一点に絞られたのちに激痛に変わる。いわく、これは腰痛貯金というものらしいが、そんな貯金はありがたくもなんともないのである。

買い出しに出かけても、大根や油など重たいモノを買ってしまった日にはほうほうのていで帰宅し、しばらくは動けなくなる。貯金が加算されたのか太腿が痺れ、なぜだか上の奥歯や顎まで痛い始末。

一番不便なのは大便の時だ。尻を拭くにも腰は重要だったらしい。手が届かないのだ。たしか元横綱小錦は現役の時、お付きの人に尻を拭ってもらっていたとなにかで聞いたが、私にそんなお付きもいるわけなく、悲鳴をあげながらトイレで孤独に渾身のひねり技を繰り出しているのである。

このような外的痛みに輪をかけて辛いのが、便秘だ。腰を労わるようソロリソロリと歩いてるもんだから、内臓が通常運転していないようだ。
それゆえ腸の動きが滞っているらしく、腹もあんまり減らず、食欲がわかない。

裸で横を向き鏡を見れば、ポッコリと出っ張った下っ腹にゲンナリ。痛みで真っ直ぐに立てない理由もあるが、腰の下あたりの肉が硬くなっている。もちろんこれが筋肉ではないことは明らかだ。

スーパーへ行き、なにが食べたいのかもわからず、痛みを引きずりながら何周めかに見かけたのが朝鮮人参茶。なんだか身体に良さげなオーラは出ている。昔よく同僚が出張土産に朝鮮人参チョコレートを買ってきていたが、味が悪いと大変な不評であった。にもかかわらず土産置き場にいつでも必ず置いてあるという誰も幸せにならない土産であった。
おそらく痛みで思考停止していたのだろう。普段買わないものを買ってしまうという落とし穴にハマる。

キクイモと鶏肉のスープ

案の定、朝鮮人参茶はやはりまずかった。味的には葛根湯とか顆粒パブロンといった生薬。これを湯に溶かして飲むのは修行の趣がある。でもまあ抜き差しならない体調だから、両親が差し入れてくれた菊芋と一緒にチキンスープをこしらえることにした。菊芋はちょっと土臭い香りがするので、参鶏湯のようなものになるに違いないと踏んだのだ。

じっくり煮込んだ朝鮮人参茶入りのチキンスープは思いの外美味しく、当日は食べ切ってしまい、翌々日、次はたっぷりつくって三日三晩食べた。

すると身体が驚きの反応をみせたのだ。
大便が、止まらないのだ。汚い話で申し訳ないが、最初はかなり長めのバナナ型、その次はちょっと下痢気味、その後は小型の奴がでてきた。オイオイ、大丈夫かよと自分でも心配になり、体重計に乗ってみると700gも減っている。

ギョッとして家人にきいてみた。「最近便通どお?」
「なんだか最近、日に二回はトイレ行ってんだけど。痩せちゃうよ、どうしよう」

家人はどちらかと言えば痩せ型かつスポーツオタクなためさらに痩せてしまうのは問題だが、とにかく出るらしい。

同じものを食べているので、原因はこのチキンスープであることは明白だった。
使ったのは、鶏肉、菊芋、エノキダケ朝鮮人参茶、それにナツメやニンニク、生姜といった類のものである。

後調べではあるが、どうやら菊芋にはイヌリン、エノキダケにはビタミンB1や不溶性食物繊維が豊富に含まれており、これが便秘にかなり効いたのだと想像できた。
さらにナツメ(大棗)は、中国では「一日食三棗, 青春永不老(1日に3粒食べるだけで年を取らない)」と言われるほど古来からその効能が珍重されており、今回は血流をよくして内臓の働きを良くして滋養強壮に効いた感じがある。
乾燥ナツメ。そのまま食べてもさしてうまいとは思わないが、スープに入れて鶏肉としっしょに食べるとほのかな甘味がアクセントになって意外と食える! という印象だった。

さらに鶏肉たっぷりなのでタンパク質もコラーゲンも必然的に摂取できるため、体を動かした後に野菜スープでは物足りないという家人でも比較的受け入れやすい仕様に、結果的になっていたというのが事実である。

あともう一つ実践したことがある。腰痛対策ではあるが、テニスボールでのマッサージを始めたのだ。腰、足の付け根、臀部などあちこちにボールを押し当て刺激しているが、一番痛いのはヘソを中心とした腹回りだ。

腰の痛みが酷いので、はじめはうつ伏せになってボールを腹の痛いところに当て、トドのようにのっかっているだけだったが、慣れてくると、足を曲げたり、バタバタさせたり、つま先で床を蹴るようにして腹の下のボールを動かせるようになってきた。
マッサージをした後は、腸がグルグルと音を出して、まさにリブートしたのが感じられる。

結局、スープとマッサージのどちらが効いたのかは定かではないが、健康診断オールAである家人の便の便りがいちばん信憑性がある。
便秘が辛くてお困りの方は、下剤を使う前に、ぜひ試してみていただきたいのだ。

薬膳的な菊芋と鶏肉のスープ

キクイモと鶏肉のスープ

材料

材料をざっと書いてはみたものの、あまり神経質にならずとも問題なし。

鶏もも肉 300g
手羽 8本
菊芋 10個 タワシでよく洗って皮ごとスライス
エノキダケ 1パック みじん切り
乾燥ナツメ 6個
ニンニク 3片
ネギの青いところ 2本分
ショウガ 親指くらいの大きさ2片
大根の端っこ 5cm
朝鮮人参茶 3g×2パック
3.5L

つくりかた

キクイモと鶏肉のスープ

  • 鶏肉は沸騰させた湯にくぐらせて、全体が白くなったら冷水に入れてよく洗う。
  • 鍋に水をはり、鶏肉、ナツメ、ニンニク、ネギ、ショウガ、大根の端っこを加えて煮立たせてアクをとる。弱火に落として朝鮮人参茶を加えたら、蓋をちょこっとずらして2時間煮込む。

キクイモと鶏肉のスープ

  • ほろほろになった鶏肉を取り出して、細かく割く。
  • 鶏肉を戻して、塩で味付けしたら、菊芋とエノキダケを加えて一煮立ちさせたら出来上がり。

キクイモと鶏肉のスープ

ご飯を加えておじやにしたり、ライスヌードルを加えて軽い昼食にしたりと汎用性がある。

キクイモと鶏肉のスープ

推し麺マルタイラーメンで担々麺

マルタイラーメン

長いこと推し麺であった「マルちゃん正麺」だったが、ここにきて浮気をしている。浮気というか、やや前のめりでハマりはじめているのが九州生まれの「マルタイラーメン」である。
このビッグデータ時代、日々この麺を買い足していることはすでに周知の事実らしく、レジでマルタイラーメンの20円OFFクーポンがちょくちょく発行されるほど常連化している。

思えば、数年前からマルタイの存在は認識していた。即席ラーメンにしては珍しい省エネなパッケージとデザインに引かれ、折に触れて手にとっては眺めていたが、購入までには至らなかった。「マルちゃん正麺が安パイだよ」という同調圧力になんとなく屈していた自分がいたのだ。
だがある日、ついに籠に入れてしまったのだ。これはもう魔が差したとしか言いようがない。浮気というものはきっとこうやってはじまるものなのだ。

f:id:Xphi:20201105194151j:plain
いつの間にか増殖しているマルタイラーメンシリーズ

初見のラーメンはちゃんとつくりかたを熟読すべきである。かつて麺とスープを別々につくり大変不味い即席ラーメンをつくった自分は特に、である。
標準のマルタイラーメンのつくりかたはこうだ。

  • 水450mlを沸騰させ、麺を3分茹でる。
  • 火を止め、付属の粉末スープ、調味料を加え、よくかき混ぜる。
  • 丼の盛り、熱いうちに食べる。オススメの具は焼き豚、海苔、卵など。

マルタイチャーシュー麺

きっかり表示通りつくり、まずはいつものチャーシューをのっけて食べる。
konpeito.hatenablog.jp

マルタイチャーシュー麺

率直に言って、美味い!
ストレート麺にやや白濁したスープ。
麺の粉がスープにややとろみをつけるのかまろやかで、コッテリした風味のようなものがあり、それでいて腹をこわしそうなほどの脂っぽさがない。語弊があるかもしれないが、外でラーメンを食べているような満足感がある。白濁系にみられる臭味もまったくないのでとても食べやすい。チャーシューとの相性も抜群だった。

さて、巷ではマルタイラーメンのカスタマイズが流行っているという。・・・・・・神が降りてきた。
「担々麺をつくりなさい」

マルタイ担々麺

マルタイチャーシュー麺

材料

マルタイラーメン ひと束 付属の調味料も使う
ミニ青梗菜 1株 半分に割く
肉そぼろ【炸醤肉末】 麻婆豆腐などにも使えるので分量はかなり多めである
豚挽肉 200g
豆板醤 小さじ1/2 ※なくてもよし
紹興酒 大さじ2
濃口醤油 大さじ1強
甜麺醤 大さじ2
スープ
熱湯 500cc うち大さじ2〜3で以下の調味料を溶いておく
 ●芝麻醤 大さじ2 メーカーによってかなり風味が変わるのでお好きなものを
 ●濃口醤油 小さじ2〜3 刻んだザーサイなど塩っ辛いものを加える場合は調整
 ●黒酢 小さじ1
 ●ネギ 大さじ1 みじん切り
 ●青花椒(パウダー) 小さじ1〜好きなだけ
自家製麻辣 好みで

つくりかた

  1. 肉そぼろをつくる。油ならしした鍋に挽肉を入れ、念入りに炒める。肉がパチパチとはぜるようになったら酒を振り入れ、残りの調味料を加えて馴染んだら火からおろす。
  2. どんぶりに、芝麻醤〜青花椒を入れる。
  3. ラーメンが入る大きさの鍋に水500mlを沸騰させる。
  4. 湯を大さじ2〜3を少しずつどんぶりに加え、調味料をしっかり溶かす。芝麻醤はダマになりやすいので念入りに。
  5. 麺を3分間茹でる。最後の1分でチンゲンサイを茹でて取り出しておく。
  6. 火を止め、付属の粉スープと油を加え、よくかき混ぜる。
  7. どんぶりにスープを少し入れ一混ぜしてから麺も加え、菜箸で麺を寝かせるよう大きく混ぜて整える。
  8. 肉そぼろとチンゲンサイをのせ、青花椒と麻辣を好きなだけ振りかける。

久しぶりの担々麺だったから感動も二割増しくらいになっているかもしれないけれど、これはいける。たまには店で食べたいけれど、家でこれが食べられるなら必要十分じゃないか! と興奮さめやらぬままスープを飲み干す。満足、満足。

それにしても担々麺を食べると必ず訪れるこの眠気はいったいなんなんだろう。胡麻に睡眠効果でもあるのだろうか? 気になって調べてみると、胡麻にはトリプトファンという必須アミノ酸が含まれており、それがヒトの脳内の幸せホルモンを増やしてくれるのだそう。なるほど担々麺はヒトに幸せをもたらす一杯、眠たくなって当然なのだ。無駄なあがきはやめて一眠りしよう。






即席棒 状めんのパイオニア商品です。めんはノンフライ・ノンスチーム製法で仕上げた、生めんに近い風味のストレートめんです。スープはポークとチキンをベースにした風味豊かなあっさりしょうゆ味です。(公式HPより引用)
konpeito.hatenablog.jp

戯れの極小アジフライ

アジフライ

頭から尾までの長さは手の平サイズの鯵が特売だった。さっそく南蛮漬けにしようと意気込んでいたものの、帰宅した途端に膝からがっくりと崩れ落ちる。iPhoneの万歩計を見れば10000万歩越えである。ちょっと風邪っぽいときに不用意に熱を測ってしまい、予想以上に熱があったとわかると無条件に具合が悪くなってくるという症状に似ている。
そんなこんなで鯵に向き合う気力も体力も尻すぼみとなり、彼らは翌日に持ち越された。

筋肉痛を引きずった翌日。冷蔵庫から鯵を取り出したものの、すっかり南蛮漬けの気分ではなくなっていた。酸っぱい気分ではない。どちらかといえばこってり油モノを欲している。そうだ、アジフライにしよう。

ゼイゴと頭を落とすと、ただでさえ小さいアジは、極小アジとなってしまった。通常の大きさのアジならば、三枚おろしにしてささっと揚げてしまうところだが、このアジでそれをやってしまえばちょっと大きめの天かすだ。
今こそ、背開きをすべき時なのだ。せこいと言われようが、少しでもアジを大きく見せたい気運が高まる。

魚の背開きは、慣れるまではなかなかやっかいだ。ところどころ身が皮一枚でつながっている状態になり、穴が開いてしまったら最後、放り出したい気分になる。もう開くのやめてこのまま揚げてしまおうか・・・ため息をつきながらも「これは本来なら南蛮にする極小アジを、無理やりフライにする戯れなのだ」などと割り切って気軽に構えられるようになったころ、背開きは少しだけ上達していた。
ポイントは、頭をなるべく垂直に落とし、筒状にしてやるところにありそうだ。

軽く塩をして、水気をふきとったら刷毛で薄力粉をまぶし、卵液につけて、生パン粉をたっぷりつけて、揚げる。
アジフライ

揚げてしまえば、破けてしまった箇所も見事に補修されて、それなりのアジフライになった。ほっくりふわふわというよりも、ザグっと歯触りジャンクなアジフライ。
捌くのは面倒臭いが、一口サイズなので食べたい量を調整できるのはなかなかよい。フランスパンにのせればスペインのバルに並んでいそうなタパスにもなる。そして10尾で198円なのもなおよし。

タルタルには紫蘇の実の塩漬けを入れてプチプチとした食感を加える。ふりかけとしてしても、調味料として使える紫蘇の実はかなり重宝している。

アジフライ

皿は青物横丁の商店の店先で発掘したもので、なんと小アジよりお安い100円。Yamato stoneware という、70-80年代に海外向け輸出ように作られた物らしく、ぽってりしたフォルムと手描きの素朴さが昭和レトロ。ソウルフードなアジフライにレトロは欠かせない。

ガーキンキュウリの発酵ピクルス

ガーキンキュウリの発酵ピクルス

しとしと切れ間ない雨模様のなか八百屋へ走る。こんな日はきっとお買い得品や見切り品があるに違いなく、顔に当たる雨も天然保湿くらいにポジティブに捉えられるから人間とはげんきんな生き物である。

店先でアルコール消毒をし、勇んで入店したはいいが、こんな日に限ってこれといったお得品が見当たらない。なんとしたことか。一気に体力を奪われたような脱力感に見舞われながら店内二週目。
唯一ひときわ目立っていたのがガーキンキュウリだった。よくピクルスに使われる種類の、短小なキュウリである。
そういえばこないだ、市販のピクルスはハンバーガーに使ってしまい、在庫がなくなっていたことを思い出した。

ガーキンキュウリの発酵ピクルス

それにしてもどうだろう。2パックで950円である。キュウリにしては高すぎるのではないか? 家人などは、キュウリ好きなくせに、夏に一本50円超えると、高いから買うなというほど相場にうるさく、目を閉じれば幻聴がリフレインする。

しかも自分はキュウリが好きでもなく、むしろ嫌いな方で、あの手この手で最近ようやく食べられるようになってきた矢先である。
そんな自分がこんな高級キュウリを手にして果たして食べ切れるのか、甚だ疑問である。

つくづくガーキンキュウリを眺める。キュウリには萎んだ花の残骸がくっついており、いかにも朝まで畑におりました! という清々しい顔をしている。キュウリ一筋の専門農家(湘南きゅうり園 @sagamihanjiro )がつくっているという手書きのポップも効果的で、なにやらそこらのキュウリとは一線を画した風格さえ漂っており、キュウリ嫌いといえど試してみたいという好奇心は毎秒募っていく。
それにしても、ひとつ480円でふたつ950円。たった10円の値引きはややけちくさくないか、八百屋よ。

まぁいい。ここのところ外食もしてないし、外に出ないから洋服も買っていない。コロナの状況も相まって美容院には一年以上足を運べていない。たかだか1000円くらい、ここで無駄使いしたところでバチは当たるまい。しかもいまなら「高い!」と横槍を入れる者もいない。気分を盛り上げる言い訳を散々醸成したところを見計らい、ガーキンキュウリを握りしめてレジに並ぶ。

ガーキンキュウリの発酵ピクルス

台風の余波で週末はさらに雨が強まったので、さっそくピクルスを仕込むことにした。
ピクルスには酢と塩で直接漬ける未発酵タイプ(スーパーで売られているのはこのタイプ)と塩水に漬けて発酵させる元祖ピクルスタイプに分類される。

今回は発酵ピクルスをつくるわけだが、『マギーキッチンサイエンス』によれば、つくりかたも材料もごくシンプルである。

5〜8%の塩水に18〜20℃で2〜3週間漬け込み、塩分2〜3%、乳酸1〜1.5%程度とする。これはかなり濃いめの味である。瓶詰めする前に水に漬けて塩と乳酸をある程度抜き、酢酸を加えることもある。
マギーキッチンサイエンス』より

ガーキンキュウリのピクルス【仕込み編】

ガーキンキュウリの発酵ピクルス

ガーキンキュウリのぶつぶつな表面には黄色っぽい粉のようなものがついているのでよく洗い、その後30分ほど氷水につける。これがパリッとさせるコツだ。

ガーキンキュウリの発酵ピクルス

その間に1リットルの水を沸騰させ、50gの塩を溶かして常温に冷ましておく。
ピクルスを仕込む瓶も煮沸消毒しておくといい。

ガーキンキュウリの発酵ピクルス

冷水につけたキュウリは水分を拭き取り、瓶に詰めていく。
スパイスは黒胡椒、コリアンダーシード、フェンネルシードを小さじ1/2、唐辛子、ベイリーフをひとつ。このまま塩水を注ぐとキュウリが浮いてきてしまうので、隙間に何かに使おうと溜めておいたセロリの細い茎と葉を埋め込む。ニンニクは好き嫌いが別れるので省いた。

ガーキンキュウリの発酵ピクルス

塩水をそっと注ぎ込み、丸めたサランラップを詰め、プリンカップで重石をしてさらにソーメン皿で蓋をし、日の当たらないところに放置する。幸い、急に秋が深まってきたせいか部屋の温度は20数度で安定している。

ガーキンキュウリのピクルス【発酵編:2週間後】

ガーキンキュウリの発酵ピクルス

二週間後、ピクルス液は泥水のごとく濁り、鮮やかだったキュウリの色もくすんでしまった。なんだか夏の間すっかり忘れさられていた水槽のようで、もし仲の良い友人に「食べてみな」と瓶ごと差し出されたとしても、やんわりかつきっぱりと断るレベルだな、と思う。

やや萎えた気分で丸めたサランラップを除くと、フワッと酸っぱい匂いが立ち上る。まさしくピクルスの香りである。白っぽいものが浮いており、私が日がなダラダラしている間も酵母はしっかりと働いていたことがうかがえる。
密閉していなかったためやや水分が飛んだので、米酢を大さじ2ほど加えて、すっかりキュウリが隠れるくらいにして、今度は瓶の蓋を閉めて冷蔵庫で保管。

ガーキンキュウリのピクルス【試食編:3週間後】

ガーキンキュウリの発酵ピクルス

発酵して瓶に詰めて冷蔵庫で八日目ののピクルス。蝉なら朽ちている頃だ。メインディッシュは自家製皮なしソーセージなので、満を持して味見を決行。

見た目はピクルス然としているので、あとは人体実験のみ。家人が口に入れるのを視界の端からうかがうことにする。大丈夫だろうか・・・・・・。

「なにこれ、うまいじゃん、ピクルス」
「えっ、まじで?」

半信半疑で一口かじる。パリッとシャウエッセンばりの小気味いい音。熱を入れていないのでグニグニしておらず、終始ポリポリと軽い歯触りである。砂糖が入ってないから甘ったるくないし、酸味もまろやか。
いままで買ってた瓶のピクルスはなんだったんだろうか、あれはピクルスもどきだったんだろうか? と勘ぐるほどの違いである。
とにかく、あの泥水からは想像できない味だったことは間違いない。

結局ひと瓶500円ほどのピクルスになり、たしかに市販のほうが安いんだが、これは価値あるキュウリだったとつくづく感心しきっている。