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時速1kmの思考

アマトリチャーナを食べてイタリアにエールを!

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コロナ騒動に収束の兆しがみえない。テレビをつければコロナ・コロナ・コロナ。もともと外出しないほうだし、家人の勤める会社も在宅勤務が奨励されないため、そこまで生活に変化はないけれど、どうもテレビをつけているだけで滅入ってくるので、最近は映画を流しっぱなしである。

逆に、こんな時だからこそできることもある。
ずるずるサボっていた冷蔵庫の整理と掃除。
製氷機の掃除。
包丁研ぎ。
欲しいと思っていたモノの購入。マウスとか、友人が売っているアクセサリーとか、カスエラとか。のんびりとネットで経済活動。
それからトマトソースの仕込みだ。年に2〜3回の恒例行事は続いている。
konpeito.hatenablog.jp

あと出来ることといえば・・・しっかり食べて、免疫力高めておくことくらいだろう。どんな状況であろうと、食事は楽しまなければいけないと思う。

さて、今日は自家製トマトソースを使ったアマトリチャーナ。ローマのコロッセオ近くにあるレストランで食べた懐かしい味を再現したい。

かつて、2016年8月24日に起きたイタリア中部地震で被災したアマトリーチェ村を復興させるべく、世界中のレストランがアマトリチャーナをつくって被災地を支援しようという草の根運動があった。アマトリチャーナが復興と世界の連携のシンボルになったのだ。

いまイタリアでは感染の勢いが止まらず、再び辛い時期にある。状況はもっと悪いかもしれないけれど、きっとすべてが好転すると信じて、アマトリチャーナを頬張る。

アマトリチャーナ

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材料

スパゲッティ 160g ディチェコ11番使用
トマトソース 200cc つくりかたはこちらへ
たまねぎ小 1/4個(50gくらい) 薄切り
パンチェッタ 50g ラスピニ パンチェッタブロックを使用。薄切り。もっといれてもいい
乾燥唐辛子 1〜2本 種をとって千切る
ペコリーノロマーノ 好きなだけ すり下ろす
イタリアンパセリ 適量 みじん切り
オリーブオイル 大さじ1〜
少々

つくりかた

  1. 100gのパスタに対して湯1リットル、粗塩は10g(小さじ2)を沸騰させ、パスタを6〜7分※茹でる。
  2. アルミパンにオリーブオイルをひと回しして、ベーコンを炒める。ベーコンから脂がでてきたところで赤唐辛子を加える。
  3. 香りが出てきたら、タマネギを炒め、火が通ったらあればワインでフランベして、トマトソースを加えて焦がさないように煮る。
  4. ソースが濃すぎるようであれば、パスタの茹で汁でのばして、ここで味付け。生ベーコンがしょっぱいので、塩はほとんどいらないくらい。
  5. パスタを湯切りし、ソースによくからめる。
  6. ペコリーノロマーノはパスタに絡めても、あとのせダブルでもいい。イタリアンパセリをかけて出来上がり。

※ディチェコ11番の推奨ゆで時間9分だが、その数分前に引き上げてトマトソースの中でアルデンテに仕上げる。感覚的にいってしまうと、噛んでみてちょっと芯が残っているくらいでソースと和えてしまっている。

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サヨリ【細魚】をまるごと食べる

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春一番が吹く少し前、店頭ではサヨリ(細魚)が銀色に輝いていた。長く伸びた下顎が紅に染まり、「海の貴婦人」という別名が実にそれらしいが、「さよりのような人」と言われたら、見かけによらず「腹黒い人・女」という意味になってしまうから日本語は面白い。

品のいい見た目とは裏腹に、その腹の黒さは料理人も敬遠するほど。内臓を掃除していると爪や指が黒くなってしまうので、サヨリの出回る時期は、わざわざ割り箸に布を巻いて、サヨリ専用の掃除棒が登場するそうだ。

とはいえ、その腹黒さも通り越して美人なんだから、食べたい衝動はなかなか抑えられるものではなく、さっそく買い込んで、板長に捌き方を教えてもらった。細くて、小さめのサヨリだったので、最初は神経を使ったけれど、ようやく慣れてきたころだ。

サヨリをさばく

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うろこをとる。

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腹びれが硬いので取り除く。お尻のほうから包丁を滑らせて、引っかかったところを切りとる。

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エラをとる。

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腹から尻にかけて包丁を入れて、内臓をかき出す。

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このように、サヨリはかなり腹が黒い。よく洗って、黒い被膜を取り除く。

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きれいになったら、水気をしっかりふきとる。

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大名おろしにしていくが、今回は頭を残すやりかたで(理由は後ほど・・・・・・)。頭から胸びれにかけて斜めに包丁を入れて、左手で押さえつつ尾まで骨に沿っておろしていく。

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下身(裏側)も同様におろしていくが、なんせ身が薄いのでちょっとやりにくい。
右利きの場合、左手で腹骨のところをすこしめくり上げてやると包丁が入りやすい。

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皮をとる。包丁でもいいけれど、意外と手でもするりとむける。たった3尾だと少なすぎるけど、大漁であれば皮を串に巻き付けて塩焼きすると美味だそう。

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身を少しだけ重ねながら整列させて、端を切りそろえ、半分に切る。
さて、いよいよ盛りつけだが、頭を残したのでこんな遊びをしてみる。

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尾をくるりと丸めて、エラがあったところに差し込むんで台座をつくる。

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骨の台座に、紫蘇や大根などの薬味をのせて、刺身を盛るのだ。

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名付けて、サヨリオーメン盛り。「666」に見えるでしょ。

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普通に盛ってもいいんだけどね。その場合、頭と骨が残るわけだが、使い道は他にもある。

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干して揚げると、頭ごと食べられる骨煎餅になるのだ! 板長いわく、「捨てるところ一切なし!」である。

手羽先チューリップをパリッと素揚げにする仕込み術

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素揚げした手羽先の皮をパリッとさせるには、どうしたらいいか。これがしばらくの悩みの種だった。粉をつけて揚げる唐揚げに比べるとどうも難易度が高いように感じる。

「低温から揚げる」「二度揚げする」とかいろいろやってみたものの、皮とパリッとさせれば肉が加熱しすぎで硬くなったり、その逆だと色が白っぽくておいしそうに見えず、とにかくそのあたりのバランスがうまくとれない。それをカバーする腕もない・・・・・・。

そこで以前、なにかで見た「砂糖水で下茹でする」という方法を試してみると、これが思いのほか調子がいい。色よく、皮パリ、ジューシーな素揚げが出来上がったので、検証してみたい。

砂糖水で手羽先を茹でる効果

原理としては、北京ダックの調理法に似ている。
北京ダックは、下味をつけた合鴨に熱湯をかけて皮をピンと張らせてから、飴糖水という麦芽糖と水を溶かしたものを鴨にむらなくかけて、干したのちに焼くことによって、パリッとした皮を食べるという手の込んだ料理だ。

皮に砂糖水がまんべんなくついているので、焼いた時に表面がカラメル化し、飴色の深い色合いと皮のパリパリ感が生まれる。

砂糖水で茹でてから揚げても、似たような効果が期待できるということだ。

手羽先を加熱してから揚げる効果

もうひとつ、「EAT THE WORLD ep4. 料理の啓蒙」で紹介した韓国の料理人フランチェスコ・チュウ(Francesco Chu)のつくる手羽先料理も参考になる。

彼はまずは手羽肉を1~2分揚げて肉汁を閉じ込め、一度冷凍してから、高温の油で揚げ、最後に唐辛子の風味をつけるべく炒めていく。冷凍することよって鶏皮が膨らむのだという。

以上を踏まえると、あらかじめ加熱処理をしてから手羽先を揚げるという方法は、理に適ったやり方なのかもしれない。
たくさん手羽先を仕入れてしまっても、半調理しておけば生よりは日持ちするし、一人で複数の調理をするワンオペでも、最後は高温でがんがんと揚げていけばいいだけだから細かい温度管理から解放される。

かけるタレ次第でアレンジしやすいのが素揚げのよいところ。ネギと胡麻油で中華風とか、ポン酢で和風でもいいけれど、今回はナンプラーパクチーで、タイ風の味付けにした。

手羽先チューリップの素揚げ・タイ風ソース

材料

手羽先チューリップ 8本 手羽先をチューリップにするやり方はこちらへ
 塩 少々
1L 下茹で用
 みりん 大さじ1
 砂糖 小さじ1
ソース
ナンプラー 大1
濃口醤油 大1
大1
ハチミツ 大1
レモン 大2
レモンの皮 少々
パクチー 少々
島唐辛子 1個

レモンの皮をレモングラスにすればよりタイっぽいかな。

つくりかた

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手羽先をチューリップにさばく。やりかたはこちらへ
かるく塩をしておく。

下茹でする

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下茹で用の水にみりんと砂糖を加えて一煮立ちしたら、手羽先を3分茹でる。アクは小まめにとっておく。

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茹で上がったらしっかり乾かす。

ソースをつくる

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パクチー以外の材料をすり鉢でする。色が悪くなってしまうパクチーはみじん切りにして、食べる直前に加える。
香りが強いので、乳鉢があると便利。






IKEA(イケア) ADELSTEN 乳棒&乳鉢

サイズ:直径: 14 cm 高さ: 10 cm
材質:大理石製

揚げる

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手羽先を180度で揚げる。大きさによるけれど、2〜2分半くらい。
色よく揚がったら、手羽先をソースにさっとつけて皿に盛り、残りのソースをかけたらできあがり。

てっぱいに にんじん大根 春の味

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先日紹介した春日鯛の酢締め。酢でしめてから一枚ずつラップでぴっちりくるんで冷凍しているので、晩酌のつまみに重宝している。

konpeito.hatenablog.jp

とはいえ、いつも土佐酢ばかりじゃ飽きてしまうので、今回は目先を変えて、「てっぱい」をつくることにする。

てっぱいに 
にんじん、大根
冬の味
讃岐ふるさと 食農かるた』より

香川の郷土料理「てっぱい」は酢で締めた鮒に野菜を加え、酢味噌で和えたものだ。

ため池の水を抜いた後のふなを酢じめにし、旬の大根と金時にんじん(赤色が鮮やかな和にんじん:香川県が生産量全国一位)を短冊切りにしたものを、白みそを使って酢みそ和えにした、讃岐の冬ならではの料理です。(「鉄砲あえ」が「てっぱい」になったらしい)
本来は、ふなを使う料理ですが、最近は、ふなが手に入りにくく、さばやこのしろを代わりに使って作ることが多くなりました。
讃岐ふるさと 食農かるた』より

関東でいう「ぬた」、関西の「鉄砲和え」の親戚のような料理だと解釈したけれど、ワケギやワカメを使わずに大根やにんじんがといった農産物が主役級に扱われているのが「てっぱい」ならではだと思う。
ピンク色の春日鯛が白い大根から顔を出し、とても春らしい一品になった。


てっぱいに
にんじん大根
春の味

冷酒がすすむ。

春日鯛のてっぱい(酢味噌和え)

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材料

酢締めした春日鯛 4枚 短冊切り
大根 太いところ6cmくらい 短冊切り
ニンジン 3cmくらい 短冊切り
小口ネギ ニンジンと同じくらい
西京味噌 大盛り大さじ3
穀物 適量
砂糖 少々
乾燥唐辛子(option) 少々 みじん切り

分量をしっかり計らなかったが、感覚的にはニンジンと小口ネギは大根の1/3くらいの分量だと色のバランスが美しい。こういう家庭料理はあまり分量にこだわる必要はないのかも。和える酢味噌の味さえ決まれば、うまくいく。

料理屋では酢味噌をつくるときに玉味噌(白味噌、卵黄、酒、みりんを合わせて火にかけながら練ったもの)を使うけれど、稲刈りが一段落したあと、家族が集まって疲れた身体を酢で癒す食事だと思うので、わざわざ玉味噌などは使わずに、ざっくばらんに仕上げることにする。

つくりかた

  1. 大根、ニンジンは短冊に切って、2%くらいの塩水につけて(立て塩)、しんなりするまでおいておく。
  2. ネギはさっと湯がいて水にとる。
  3. 西京味噌に酢を加えて伸ばしてカスタードクリームくらいの固さに混ぜる。白味噌がかなり甘いので、砂糖は家族の好みに合わせる。今回はきび砂糖小さじ1/2が心地よい甘味だった。好みで乾燥唐辛子も加える。
  4. 野菜の水分をしっかり切って、食べる直前に春日鯛と合わせて酢味噌と和える。

ワラビのあく抜きとその科学

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ワラビは山菜のなかでも灰汁(アク)が強いので、生で食べると中毒を起こしてしまう。なんでそんな毒性のある植物を人は手間暇かけて食べようと思ったのか、不可思議極まりないが、「五月蕨嫁に食わすな」なんて諺があるくらいだから、やはりワラビの美味さには抗えなかった、ということなのだろうか。

私たちの口に感じるえぐみ、渋み、苦味といったアクは大きくわけて、有機質と無機質の成分に分類されるそうだ。
有機にはシュウ酸(ほうれん草、タケノコ、山菜など)、ポリフェノール(ゴボウ、レンコンなど)等で、無機質はカリウムマグネシウム、カルシウムなどがある。

結論から言えば、ワラビのアクは、アルカリ性の水で加熱すれば消滅する。伝統的にはわら(藁)の灰や木炭を使ってあく抜きをする技術を日本では継承されてきたが、現代では重曹を使うのが主流だ。たしかに、灰を溜め込んでいる家も少ないだろう。昔の坊さんが灰を大事に集めていたのは、精進料理をつくるさい灰は欠かせなく、庫裏で常備されていたからなのかもしれない。

ワラビのあく抜きについて調べているうちに、J-STAGEで興味深い論文に巡り合った。
昭和55年に発表された「ワラビ中の無機成分含量に及ぼすあく抜き処理の影響*1」では、複数の産地のワラビをさまざまな方法であく抜きをして、ワラビに含まれる無機成分とその硬さを調べようというものだ。

実験:ワラビのあく抜き

日本各地(福井、滋賀、京都、奈良、和歌山、兵庫、岡山)で採取したワラビを、水道水、重曹液、木炭液、わら灰液、木炭上澄み液を用いて熱湯に浸けてあく抜きした場合、ワラビに含まれる無機成分(Fe:鉄、Mg:マグネシウム、Ca:カルシウム、Cu:銅、Mn:マンガン、Na:ナトリウム、K:カリウム)にどのような変化がでるのか、またその硬さ(食感に繋がる)に変化が起こるのか、ということを実験している。
実験の前提として、ワラビは400g使用。

実験1:わら灰液

ワラビをバットに並べ、わら灰を50gをふりかけ、熱湯を2L注ぎ、蓋をして12時間放置。
灰の量は熱湯の2.5%。

実験2:木灰液

ワラビをバットに並べ、木炭を50gをふりかけ、熱湯を2L注ぎ、蓋をして12時間放置。
灰の量は熱湯の2.5%。

実験3:木炭上澄み液

熱湯3Lに木炭300gを加え、30分後に布で漉して、上澄みを2L使う。蓋をして12時間放置。
木炭の量は熱湯の10%。

実験4:重曹

0.3%の重曹液を使用。つまり2Lの熱湯なら6g、小さじ1程度だ。蓋をして12時間放置。

実験5:水道水

ワラビに熱湯を注ぎ入れ、蓋をして12時間放置。

これらの処理をしたあと、2Lの水道水に1時間さらしている。どのやり方でもあくはしっかり抜けて、わらびの風味も損なわないという実験結果なので、この分量については大いに参考になる。

実験結果

導き出された実験結果は、産地を問わず共通項があった。

  • どのやり方でもK、Mg、Cuは減少したが、特にKについてその減少率が高く、その順番は「重曹液>沸騰水>木炭液>木炭上澄み液>わら灰液」だった。
  • 木炭やわら灰を使ったあく抜きはMgとFeが若干増加した。
  • Naは重曹処理で、Caは木炭とわら灰の処理で著しく増加した
  • アルカリ処理溶液のPHは「わら灰液>木炭液>木炭上澄み液>重曹液>水道水」の順番に高くなり、これに伴ってワラビの組織の軟化が促進された。

この実験結果をド素人ながら分析してみると、

  • 作り手やあく抜き後にどう調理するかによってあく抜きのやり方は一様に語れないが、料理人が「重曹なんて絶対に使わない」というのは、もしかしたらこの無機成分とともに風味まで抜けてしまうからだろうか。
  • 注目すべきは、アルカリ性が強いほど、ワラビが軟らかくなるということだ。これは調理後の食感につながる重要な結果である。

アルカリ性の液で野菜を煮た場合、調理時間が短くなる。たとえば豆なんかもそうだ。料理屋のように大量に、かつ時間制限のある中であく抜きするなら、わら灰液や木炭液を使ったほうが効率的だ。

最後に、私の師匠のあく抜きの術も紹介したい。超時短かつ効率的なやり方である。

超時短のハイブリッド型あく抜き:灰と塩使う

灰と塩を同割で混ぜておいたものを使うハイブリッド型。
ワラビの茎をほんの少し切りそろえ、ワラビを縦にして切り口に灰&塩を擦りつけ、さらにバットに並べて全体にぱらぱらと振りかける。
熱湯で3〜5分煮て、好みの柔らかさになったらすぐに流水に1時間さらし、水を替えながら一晩おく。

塩を加える意味について考えていたが、マギーキッチンサイエンスにヒントがあった。

さまざまな塩類を梳かした水に浸ければ、さらに加熱時間を短縮できる。1%前後の食塩水(水1Lに小さじ2杯)を使えばかなり早く調理できる。細胞壁ペクチンのカルシウムやマグネシウムイオンがナトリウムに置き換わって、ペクチンが溶けやすくなるためとみられる。0.5%の重曹水(水1Lに小さじ1杯)を使えば、加熱時間が75%近くも短縮できる。

実際に手を動かすのはたったの数分、あとは水につけて放置すればよくて、あくもしっかり抜ける。ワンオペの料理人ならではの知恵である。

ワラビが手に入ったのでさっそくあく抜きを実践してみよう。まず七輪から炭をとって・・・と思ったら、夏の終わりにきれいに掃除してしまっていたのだ! 仕方ないので今回は重曹でやってみよう。

重曹でワラビのあく抜き

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熱湯2Lに小さじ1杯の重曹を溶かしておく。
ワラビの茎を切りそろえてから、重曹液にしっかり沈めて、蓋をしめる。

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5時間後。灰汁がしっかりでているようだ。

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流水(水道水をちょろちょろだしておく)に1時間ほどさらす。
ビニール袋にワラビと水を入れて、空気にふれさせないようにして冷蔵庫で保存。

https://66.media.tumblr.com/ef0e6f97b91d110da3cdde9c6c656f76/4fb322c4177fa671-be/s1280x1920/fef8778533b39b7441f5f405e28dcc3efdbf3d20.jpg

ちょっと話がそれるが、今回使った鍋は、北陸アルミニウムのアルマイト加工された鍋である。家人の会社が引っ越しとなり、非常時用の備蓄品が放出されたのだ。
見た目がちょいレトロかつ大きすぎないか!? と敬遠していたものの、使ってみるとその実力がよくわかった。
大きいのに軽いわ、湯が沸くのは早いわで、こんな便利なものがあったのか! バカにしててすみません、北アさん!
一昔前は嫁入り道具の定番だったというアルマイト鍋。納得のロングセラー商品なのだ。






北陸アルミ 両手鍋 26cm [ガス火専用] 軽量 純しゅう酸 味づくし

サイズ:直径26cm。16〜44cmのサイズ展開。
容量:6.3L
重量:599g
材質:アルミニウムプレス製。しゅう酸アルマイト加工
板厚:0.75mm
生産国:日本
備考:ガス火専用

人類の繁栄とアルカリ物質

最後に話がそらすが、アルカリ性の水で調理するという行為は、ローマ時代のアピキウスの料理集にも書かれているそうだ。

"omne holus smaragdimum fit, si cum nitro coquatur"
「すべての野菜は、硝石を使って調理すればエメラルド色になる」
〜マギーキッチンサイエンスより引用

硝石はアルカリ性の天然の鉱物だ。アクを抜くというよりも、緑色野菜を色よく調理する方法なんだが、これにはアルカリ性クロロフィルの科学が関係している。

マヤやアステカの古代人はトウモロコシを、灰や石灰でつくったアルカリ性の溶液で煮ることで外皮を除きやすくして(ニシュタマリゼーション)トルティーヤをつくった。

人類とその繁栄に、アルカリ性の物質は欠かせないということだ。それが人の移動によって広まったものなのか、各地で自然発生的に生まれた技術なのか、また新たな興味がふつふつと沸きあがってしまっている。

せっかくワラビのアクを抜いたんだから、料理も紹介しようと思っていたが、あまりに長くなったのでまた今度。

*1:日本家政学会関西支部、畑 明美、南光 美子