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時速1kmの思考

リベンジおひとりさまステーキ

週末に山を越え、神奈川県のデニーズへ行った。少なくとも4年ぶりのはずだ。どうしたことか無性に肉を欲していて、「ミニッツステーキ(ハーフポンド)」なるものを頼むことにした。ファミレスで2000円越えする単品は人生初だ。家人は昔から慣れ親しんでいるというチキンジャンバラヤをオーダー。サイドにコブサラダ、ドリンク、炭水化物。

料理が届いて、二人は唖然とする。写真と違いすぎるのだ。両者とも鉄板で提供されたんだが、鉄板の柄は握手できるほどぬるい。え? 鉄板の意味がない。仮にもし熱をこれ以上通したくないなら皿でよいのでは?脳内ではジュージューいってたよ。付け合わせのほうれん草のソテーはほうれん草の味がしない。ナニコノクサ?

ジャンバラヤに至ってはソースがケチャップみたいなのに変わり、単なる唐揚げがのっていたそうで。コスパのため共通化したいのはわかるが、パソコンや車の部品の共通化とは意味が違ってくる。これでは料理そのものが破綻している。経営者が味音痴なんだろうか。

会話がなくなり、我々は黙々と処理する。家人が静かに飯を食べてると異様な雰囲気さえするが、あまりにショックだったんだろうとお察しする。

会計5000円超。ものすごい徒労感と敗北感を背に店を出ると、「もう行くのやめよう」とため息混じりの家人。デニーズで青春を過ごした彼においては気の毒としか言いようがないが、仕方ない。
車に乗り込み国道を数分走ると、カフェやらハンバーガー屋やら、何やら気の利いた食事処が目につく。二重に敗北感を味わい、なんであのとき空腹を我慢できなかったんだ!と咽び泣く我々。不用意な外食は命取りになるのだなと学んだ。


今日は八百屋の手伝い。風がなく蒸し暑い日で、小1時間で汗だくになった。昨晩は、自分の誕生日パーティなのに眠りこけたあげく翌日登場し、皆疲れているなか、二次会はカラオケ行こうと自ら予約するも誰も現れず、新たに違う友達に「みんな帰ったよ!」と告げられるという夢を見た。そのストーリーは転じて、また眠っている夢を見たほど、眠気に支配されている。

肉を食べよう。リベンジじゃ!
お買い得のステーキ肉をジャジャっと焼いた。鉄板にはデニーズよろしく輪切りの玉ねぎを忍ばせる。
うんめ。少なくともデニーズより旨い。熱い。柔らかい。197gで784円だよ。まあ3倍したらデニーズくらいの価格になるけどさぁ。

手が滑って、葡萄と葡萄酒が被ってしまった。
甲斐キングという、ピオーネと巨峰をかけあわせた品種だそうだ。種無しで粒が大きくて滴るジューシー。皮は厚くて食べられないが、皮の香りとても良く、一口目は皮ごと食べて、二口目に指で押して中身を食べるのがオススメ。キングにふさわしい味わいだった。八百屋ありがとう。
シャインマスカット界に激震が走るかもしれない。

リベンジ・おひとりさまステーキ

祖母の形見のおひとりさま鉄板を使用。

  1. 一人用の鉄板を温め、まずは輪切りのタマネギを弱火でじっくり焼く。時間差でブロッコリーも火を通す。火が通れば、一度別の皿にとっておく。
  2. 強火にして、塩で下味をつけた肉を焼く。片面15秒くらいで、2回ほどひっくり返しながら焼き、別皿にひきあげる。
  3. 弱火にもどし、鉄板にタマネギをしき、肉を盛りつけて、焼肉のタレをジュッ流し込む。
  4. 好みで大根おろしを添える。

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秋の夜長とブルーチーズのリガトーニ

一夜にして空気が秋に変わった熱海。昨晩からクーラーをオフにした。
今日は網戸の張り替え。たしかゴールデンウィークあたりに張り替えたんだが、黒猫突進からのドリフト尻アタックにより、数日で儚く破れてしまったのだ。それを踏まえて、今回は上下左右の網の余白を必要以上たっぷりとることにした。
景色に割り込んでいた網戸の中央を横断する筋交も取り除いてみた。強度は下がるだろうが、景色を優先したかったのだ。素人作業ゆえ完璧な張り具合とはいえないが、一仕事おえて、カンパリソーダにシークワーサーを絞った陽気な飲み物で互いを労う。

窓をあけはなして腰をかけ、刻々と鴇色に染まりゆく空に感心し、風をあびた。ひたすらに心地がよい。初島も大島も、空も海も分断されることなく、一枚絵のように額縁におさまり、満足のいく仕上がりだ。
日暮れの時刻はすっかり早くなった。18時には墨汁を落としたような海になった。これからどんどん夜が長くなるのだな。最後まで粘った南の空の雲も闇に落ちそうなところで、ぶるんと身震いがでた。油断すれば風邪をひきそうだ。相模湾は店じまい。不思議なことに、昨日まで気色の悪いほど窓に張り付いていたカメムシは、ピタリと止んだ。

夜が短かろうが長かろうが、だらだら飲酒に耽るのはいつものことだが、秋の夜長にピタッとはまるパスタがある。ブルーチーズ入りのパスタだ。

友人Mはいつも、推しのチーズを手土産にもって泊まりにくる。神楽坂の専門店で扱う、由緒正しきチーズだ。こんな高級品を毎度もらってばかりで申し訳ないとは思うが、熱海では手に入らないので、ありがたく頂戴している。ブルーチーズは特に家人の気に入りのため、必ず1つはブロックで忍ばせてくる。先日は「ブルー デ コース」という名のチーズだった。ブルーチーズは物によってかなり違いがあるので、まずは説明書を拝読。

ブルー・デ・コース(Blue des Causses(Morin)A.O.P)
産地はフランスのオクスタニー地域圏アヴェロン県
上質のバターのような口どけ。ロックフォールの牛乳版。風味は強く、濃厚な味わい。エルミタージュなどのフルボディな赤、甘口白ワインと。

ナイフにへばりついたチーズを舐めてみると、あんちょこどおりバターのような口溶け。しかしながら青カビが強すぎず柔らかい印象で食べやすい。風味によっては苦手な品種もある自分といえば、ブルーチーズはそのまま食べるよりも、パスタに絡めるほうが好みだ。青カビのパンチの強弱によっていれる分量を調整する必要はあれど、チーズを溶かして和えるだけなので、多少酔っていてもだいたいうまいこと仕上がる。これをちまちまとフォークで刺しつつ、赤ワインをちびちびやれば、完璧にダラダラ夜長を楽しめる。

仕上げにドレッシングのピエトロが出している「フライドオニオン&ナッツ」をふりかけると、カリッとした食感と風味がジャンクを演出。バーで出すつまみのような雰囲気も漂い、これまた飲酒に拍車をかける初秋の顛末である。

ブルーチーズのリガトーニ

材料

リガトーニ 150g
ブルーチーズ 35~45g お好みで他のチーズを加えるのもあり
牛乳 60cc
生クリーム 150cc
お好みのナッツ 適量 ピエトロの「フライドオニオン&ナッツ」を使用

つくりかた

  1. リガトーニを1%の湯で湯がく。
  2. 鍋に牛乳とチーズを加えて弱火にかけ、チーズが溶けたら生クリームを加えてとろみがでるまで温める。
  3. 湯切りしたリガトーニを加えて優しく和える。
  4. 黒胡椒、ナッツを振りかけてできあがり。


前菜は残り野菜をぶち込んだミネストローネだ。細かく切った野菜をひたすらオリーブオイルで炒めてくったりしたところに水を加えて加圧15分。仕上げにソーセージを温めればメインになる。

ダールとほうれん草のカレー

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ダールとほうれん草のカレー

ジョナサンには「タンドリーチキン&メキシカンピラフ」という実に旨いものがあると、家人は嬉しそうに話している。いわく男の夢を凝縮した洋風の腕白飯で、その味はファミレス界において唯一無二、他を寄せ付けない味だという。
インド、メキシコ、トルコの三つ巴。なんて貪欲な食べ物なのかと想像ふくらむ。見たことも食べたこともないのに見切り発車でタンドリーチキンの仕込みにはいる。鶏肉をヨーグルトとスパイスに漬け込んで二日たったところで、どうもメキシコでもトルコの気分でもなく、普通のジャスミンライスを欲していた。
となるとカレーに鶏肉使うのはぐいぐい来すぎ、というか考えただけで胃もたれ必須なので、ダールとほうれん草のカレーに舵を切ることになった。ネパールのサラサラ系ではなく、ぼってりととろみがついた豆久しいやつだ。
かつては肉なしカレーなんぞ見向きもしなかった家人だが、ダールはすっかり身体に馴染んだらしい。なんなら好きに傾いてきてる。
最近はチキンカレーがちょっと重たいなと思うことしばしばなので、鶏肉を別で焼けば各々で分量を調節できる点もたいへん気に入っている。

つくりかたは色々あるが、自分なりのポイントはこんな具合だ。
・豆(ダール)はなにを使ってもいいし、組み合わせてもいい。
・手順として、大鍋で炒めたルー(タマネギやトマト)に湯がいた豆を加える手法と、その逆、たとえば土鍋で煮た豆にフライパンで炒めたルー加えるやりかたがあるが、後者だと仕上げのテンパリングもフライパンを併用できる利点があった。
・カレーの場合、ニンニクと生姜を併用して香りを出すことが多いが、今回は生姜のみとした。というのも、付け合わせにもよるんだが、若干旨味が強すぎる気がしたのだ。ニンニクは他にも使うので、ここでは省くことにする。

それにしても、「豆は飲みもんだよなぁ」と貪る白髪交じりの家人を見ていると、我々も順調に歳をとってるなと思う。もちろん肝心なのは、「順調に」というところだろう。さて、そろそろ豆も買い足さねばならない。

ダールとほうれん草のカレー(Dal Palak)

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ダールとほうれん草のカレー&チキンティッカ

材料

イエロームングダル 200cc 豆の4倍ほどの水で煮る
トマト 1個 ざく切り
タマネギ(小) 1個 みじん切り
生姜 親指の先ほど すりおろす
発酵青唐辛子 1本 種をとってざくぎり
ほうれん草 1束 ざく切り
クミン(ホール) 小さじ1
ガラムマサラ 小さじ1
コリアンダー 小さじ1
ターメリック 小さじ1/4
仕上げのテンパリングスパイス
クミン(ホール) 小さじ1
ヒング 耳かき1杯
チリパウダーorパプリカパウダー 小さじ1
カスリメティ 小さじ2






アサフェティダ ヒン ヒング パウダー 粉末 粉 50g アメ横 大津屋 業務用 スパイス ドライ ハーブ ティー ポプリ asafoetida アギ 阿魏 悪魔の糞

産地:インド産






ムングダール 緑豆 ムング豆 (Moong Dal) - 日本語レシピ付き (1kg イエロームングダール)

Ambika インド産

つくりかた

  1. 豆を洗って鍋にいれ、800ccの水を加えて点火。沸騰したらターメリック小さじ1/4、塩少々を加え、豆がくずれるほど柔らかくなるまで煮る。ふきこぼれやすいので火加減注意のこと。
  2. 別鍋に米油大さじ2にクミンホールを加え、はじけてきたところでタマネギ、ニンニク、生姜、青唐辛子を炒める。
  3. タマネギが色づいてきたら火を弱め、●のスパイスを加えよく混ぜる。
  4. トマトと塩小さじ1/2加え、とろみがつくまで煮詰める。
  5. 柔らかくなった豆を鍋に加えて煮る。ここで水分と塩気も調整。
  6. 煮立ったらほうれん草を加え、かさが減るまで蓋をして5分ほど煮る。
  7. 米油(コクがほしければバター)大さじ2にクミンを加え、香りが出てきたらヒング、チリパウダー、カスリメティを加えて、すぐさまカレーにかけ軽くかき混ぜできあがり。好みでパクチーなど飾る。
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工程②、④、⑤
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工程⑥, 工程⑦

付け合わせのチキンティッカのレシピはこちらをどうぞ。
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念願の大容量パワフルミキサーHuanyu降臨

10年日記を再開した。
コロナ禍になってすっかりペンをとらなくなったが、日々の飯の記録や熱海移住のことも、日常が無為に流れていってしまうような気がして怖くなり、再開したのだ。

かつてはコクヨノートを使っていたが、もう定規で線を引くのも日付を書くのも疲れるばかりだから、その辺は金で解決しよう。石原出版社が出している日記帳をポチった。書く方に専念できていい。せっかくなので熱海に移住した去年2023年度版を買い求め、去年のことを思い出しながら書いているが、すでに記憶おぼろげだ。

古い日記を捲るとこの季節、毎年同じフレーズを書いている。
「そろそろ大きなミキサーほしい」
"この季節"というのは、夏野菜がではじめる季節である。トマト、トウモロコシ、カボチャなど、とりあえずスープにしておきたい野菜が目白押しなのだ。

愛用しているイワタニのミルサーはコンパクトで気に入っているが、スープをこしらえるには圧倒的に容量が足りず、ちまちま攪拌しては漉すの繰り返しは、スープをつくろうという気概をすり減らしていった。
毎年ミキサーを探しては心決まらず、季節を逃して翌夏がくる。
長年目をつけていたのはVitamixである。ミキサーやブレンダーを探すといきつく先はVitamixだ。それにしても高い。使いこなせなかったら言い訳できなさそうな値段で尻込みする。これは絶対必要な物なのかと、ノートには自問が綴られている。冷蔵庫や洗濯機と違って毎日使うわけでもないのだ。

メンテや初期不良を考えれば国産も見逃せないが、今夏は目先を変えた。自分のほしい機能のものを買おう。いきついたのが「Vitamixそっくり」とVitamix所有者が笑う台湾メーカーのミキサーだ。もともと産業用のホースをつくっているメーカーだが、台所用品のほか医療用の精密機器もつくっているようなので、ワンチャンあるかもしれない。ポチッとする。

数日後、大相撲の優勝杯みたいのが届く。ちょうど熟しすぎたトマトをタダみたいな値段でもらったばかりだ。まずは恒例のガスパチョだろう。
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Huanyu1800W ブレンダー 2L 業務用ミキサー

スバラシイ。
あっというまにトマト8個分で2リットルのガスパチョができた。大幅に時短できた。
Soパワフルな割にうるさくない。カップも軽くて取り回しやすい。いいじゃないか。

刃とカップが一体型(分解できない)なのでうまく洗浄できるか不安だったが、水と洗剤入れて攪拌すればきれいサッパリだ。
強いていえば、カップ裏のモーターに水につけてはならないというグレムリンのような誓約あるため、洗う時にはやや慎重にならざるをえない。だがちまちま300ccづつ砕いて漉してを繰り返すより俄然楽ちんで感涙。念のためザルで漉してみたけどカスもほとんど残らなかった。

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残りかすはほとんどない

取説の日本語がやや怪しく、説明も不足していると感じるが、基本はONとOFFとスピード調整のみのシンプル設計なので、使っているうちに仲良くなれるだろう。

ガスパチョ
ガスパチョ

今夏はトウモロコシやカボチャ、ジャガイモなど手当たりしだいスープにしてみたが、どれもなめらかに仕上がった。冷凍しておけば、朝食のサンドイッチに冷製スープと洒落込むことができる。
これまで潰すのに苦労していたジーマミー豆腐なんかも量産体制が視野にはいってきた。

例によって、「さっさと買っておけば良かった」案件に認定する。
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追記 2014年9月24日

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水分の少ない野菜でも攪拌できるのか?

ポルトガルの発酵調味料マッサを仕込む。水分が抜けたパプリカを一口サイズに切ってからミキサーにかけたが、瞬殺でなめらかペーストに。有能すぎる。
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梅シロップの梅と豚肉の煮込み

冷蔵庫をあけるたびに、見て見ぬふりをしてきたものがある。梅を氷砂糖で漬けたあとに残る梅だ。もれなくエキスが搾りとられた梅は悲しいくらいに萎んでしまった。ひとつ口に含んでみると、果肉は干しアンズのようで、不味くはない。まだ梅として晩年を過ごしている穏やかな酸味だ。食べるかどうかはわからぬが、捨てるには惜しい気もして、とりあえず冷蔵庫の奥に隠蔽したのが一年くらい前だろうか。もう記憶にないほど前のことだが、いつまでも冷蔵庫のスペースを無駄に使うわけにもいくまい。なんとか使い道はないだろうか。

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先日、湯河原のスーパーで仕入れたのは豚肩ロースの塊だ。括弧書きでネックとあり、「煮込み用」と添えられていた。モロッコでも羊のタジンにはプルーンをいれたりする。そういった使い方を模索できないだろうか。

厚さ5mはゆうに越える豚肉に小麦粉をはたき、鉄のフライパンでこんがり焼き目をつける。これを土鍋にうつし、ソフリットフェンネル、白ワイン、赤ワインビネガー、梅8粒を加えて土鍋で2時間強煮込んだ。

煮込みも終盤にさしかかり家人が帰宅。きらきらした目で今日の飯はなにかと尋ねるから、「豚肉と梅の煮込み」だと答えると、目の奥から光が消えてしまった。土鍋をのぞきこみ「梅・・・・・・の臭いだわ」と言い残し、肩を落として風呂場へ消えていった。

シャワーでさっぱりしてビールをあけたら気を取り直して飯の時間だ。エアーズロックのような肉をどんと皿にのせ、ショートパスタを添えた。
「梅干しと豚肉の煮込み」だと思っていた家人はキツネにつままれた表情で、この料理の着地点を探っているようだ。「なんだかうまいな・・・クセになるな」予想外の反応だ。

赤身はホロホロ、脂身はプルン。お箸でいける。ふやけた梅を潰しつつ肉と食べる。甘くなりすぎず、酸味もまろやかでいい感じだ。だんだんとこの料理と自分との距離感がわかってきた。
「もう少しスパイス効かせてもいいかもしれない。クミンとかさ」
家人もいつもの調子が戻ってきたのか、スパークリングまであける始末だったので、結果オーライな晩飯と言えるだろう。

梅シロップの梅と豚肉の煮込み

材料

豚肩ロース塊(ネック) 500g 強めに塩胡椒をして、小麦粉(強力粉がベター)をはたく
梅シロップを漬けたあとの梅 8粒
ソフリット タマネギ1/2個、その半量のセロリとニンジン
ニンニク 1片 みじん切り
白ワイン 100cc
ワインビネガー 大さじ2
適量
スパイス フェンネル小さじ1、ベイリーフ1枚
イタリアンパセリ 少々 みじん切り

つくりかた

  1. 鉄のフライパンにオリーブオイルを熱し、タマネギ、セロリ、ニンジンを炒めてソフリットをつくる。ちょっと焦げ目がつくくらいでニンニクも加えて炒め、土鍋に移す。
  2. 肩ロースをこんがり焼いたら土鍋に移す。中まで火は通らなくていい。
  3. フライパンに白ワインを加えて、アルコールを飛ばして半量まで煮詰めたら土鍋に移す。
  4. 土鍋にワインビネガー、肉がかぶるくらいの水を加えて沸騰させる。アクをとったら、スパイスを加えて弱火で1時間、煮込む。
  5. 梅を加えて、さらに1時間煮込む。
  6. 塩で味を調整したら、皿に盛って、イタリアンパセリを散らす。