mogu mogu MOGGY

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時速1kmの思考

牡蠣と熱海レモンのマリネ

庭仕事の疲労が抜けない。まるで鉛製の背後霊に憑かれたかのように気だるく、ギリギリの戦闘力でスーパーを徘徊。パック売りしている牡蠣を見つけた刹那、身体の全細胞がタウリン!と叫んだ。
そういえば去年の今頃は厚岸から殻付きの牡蠣が届き、引越後の錆びた身体にいたく染みいったものだ。今年は家人が発注していないことが判明し、がっかりしていたのだ。

殻がついていない牡蠣は労力もいらないし食べやすいものの、見た目がちょっと寂しい。そこで薬味たっぷりで彩度を補正することにした。ちょうど、近所の道具屋で辻売りしていたレモンもあるし、新鮮なパクチーも湯河原で手に入ったばかりだ。島唐辛子、生姜、ナンプラー胡麻油につけこんで、冷蔵庫で冷やす。まぁいつも殻付き牡蠣にのっけているものを混ぜ込んだ、というだけである。

手近のタウリンといえばリポDだ。家人が先ごろ会社から持ち帰ったものが2本、テーブルの隅に置かれていた。灯台もと暗し。タウリンは目の前にあったのか。リポビタンDには1本あたり1000mgのタウリンが含有されている。牡蠣は100g中1300mgと同サイトにあった。
そういえば昔、リポDのキャップでおっとっと晩酌よろしくちびちび飲むのが好きだったが、いま酒に合うのは圧倒的に後者、牡蠣のタウリンだろう。疲労回復を願って、無我夢中で流し込む。

牡蠣と熱海レモンのマリネ

材料

生牡蠣 9個 必ず生食できるものを
パクチー ひとつかみ ざく切り
ショウガ 薄切り3枚 せん切り
島唐辛子 1個 種をとってみじん切り
レモン 1/4個
ナンプラー 少々
胡麻 少々 レモンの酸味と合うように調整

つくりかた

  1. 牡蠣を流水で洗う。今回はパックのものを使ったが、殻付きを使う場合はこちらを参考に。konpeito.hatenablog.jp
  2. すべての材料を合わせて、冷蔵庫で30分ほど馴染ませる。

イドニッシュオムレツ

熱海に移住して2年目。2月までにはやることがある。庭の木の剪定だ。
去年はびびりすぎて九分刈りにとどめたせいか、夏を迎えるころに庭はジャングルと化した。ジャングルは天国なのだろう。虫も鳥も動物もひっきりなしに現れ、人生を謳歌していた。生半可な剪定は命取りと学んだ1年目だった。

裏庭に捨て置かれたボロい開かずの倉庫。一年ぶりに足を踏み入れてみると、脚立が見つかった。錆びてはいるが何とか使えそうだ。一週間まるまる木こりになった。屋根にしだれかかった柿の木を切り、アンテナを巻き込んだ蔓を引き抜き、雨樋を破壊していた隣家から伸びた木も伐採。連日に渡る慣れない作業に、飯を作るも食べるも這々の体である。

とにかく疲労回復しない。そんな日は豚肉一択だ。
豚ロースをよろしく焼いて、トマトと発酵青唐辛子のアチャールをソースに。
付け合わせのポテサラはネパールだし、〆はパスタだし、統一感とか言ってられないドロドロの疲労度だが、まずは栄養だ。

インド式オムレツは丸く焼いてスパニッシュスタイルにしたので、イドニッシュオムレツと命名する。油でクミンをテンパリングしてからケチャップを投入。
それにしてもなぜ黄色いトマトを混ぜ込んでしまったんだろう。玉子に擬態してしまった。

イドニッシュオムレツ(インド風野菜のオムレツ)


材料(18cmの鉄フライパン使用)

玉子 3個
ミニトマト(黄) 4個 みじん切り
タマネギ 1/4個 みじん切り
パクチー ひとつかみ みじん切り
発酵青唐辛子 1本 みじん切り
ケチャップ 大さじ3
●クミン 小さじ1/2
●カイエンペッパー 小さじ1/8 辛いのが好みであれば

つくりかた

  1. 玉子を割りほぐし、塩2つまみ、野菜をすべて加える。
  2. 小鍋に米油大さじ1、クミンを加えて弱火で加熱。クミンがはじけてきたら、カイエンペッパーとケチャップを加えてよく混ぜる。
  3. 油ならししたフライパンに卵液を流し込み、中火でスクランブルエッグのように半熟に火を通す。
  4. 弱火にして両面をじっくり焼く。
  5. ケチャップを添えて出来上がり。

ダルバート覚書

ネパール,ダルバート, アチャール, カレー, スパイスカレー
上から時計回りに、ジャガイモ、干し大根、チキンカレー、トマトと発酵青唐辛子のアチャール、水菜の漬物、ダルスープ

熱海駅前の第1ビルに入っているネパール料理屋「circle(サークル)」で、ダルバート定食をはじめたとききつけお邪魔した。チキンカレーとダルスープ、惣菜4種とパリパリ煎餅がついて980円だ。

気に入ったのはネパール風のポテサラだ。苦手なキュウリが混入していたにもかかわらず、スパイスの力か、軽く火を通してあるのか、ぱりぱりした歯触りが小気味よい。米と汁と惣菜が混ざり合って一口ごとに食欲がブーストしていくダルバートは、つくづく沼のような食べ物だと思う。黙々とスプーンを動かし電光石火で完食。我に返ってふと棚に目をむけると、Amazonの買い物リストにはいっていた豆、ダールを売っているではないか。即1kg購入した。

記憶が新鮮なうちにダルバートにとりかかる。
メインはダルスープとチキンカレー。惣菜はジャガイモ、大根、トマトのアチャールでどうだろう。

ネパール,ダルバート, アチャール, カレー, スパイスカレーネパール,ダルバート, アチャール, カレー, スパイスカレー
食べかけぐちゃぐちゃで申し訳ないが、これが旨いのだ。

家人は10分でダルバートを飲み干し「もっと喰いたい」と言いながらホッケーへ出かけた。
まぁ、お茶漬けみたいなもんだからな。ダルスープは懐かしい恵比寿のソルティモードを思い出しながら、旨味は足さずにシンプルに。
すべてのアチャールにレモンを投入しているが、熱海に移住してよかったのは国産レモンが安いこと。惜しみなく搾りまくる。

ダルスープ

一口食べて衝撃を受けた、恵比寿の老舗ソルティモードを目指す。トマトやニンニクは足さず、あくまで豆が主役。ポイントは悪魔の糞と呼ばれるほど強烈な臭いを放つヒング(アサフェティダ)なるスパイスだ。プラスチックの筒に入っているが、臭いが漏れるので我が家では筒ごと瓶に密閉している。
宗教によってはニンニクはタブー食材だ。たとえばヒンドゥー教では五葷(ごくん:ニンニク、ニラ、ラッキョウ、タマネギ、アサツキ)は禁忌とされている。日本でも精進する山伏が行者ニンニクを隠れ食いしていたと聞いたことがある。ニンニクやタマネギを使えない厳格な者でも食べられ、かつそそる香りをつけてくれるスパイスがヒングなのだ。

イエロームングダール 100g 洗ってザルにあげておく
タマネギ 1/4個 粗みじん
700cc
無塩バター 10g
乾燥唐辛子 2本
●ホールスパイス
クミン 小さじ1
●パウダースパイス
ターメリック 小さじ1/2
ヒング 耳かき1杯
  1. 豆と水を火にかけ、沸騰したらアクをとり、ターメリックを加え、豆が指で潰せるくらい柔らかく煮る。
  2. 熱湯で水分を足し、好みのとろみになったら塩で調味。ご飯にかけるのでちょっとしょっぱいくらいが旨い。
  3. 小鍋でバターをとかし、唐辛子、クミンを加える。パチパチはじけてきたら、ヒング、タマネギを加え、うっすら焦げ付く程度になったら、豆の鍋に加え、10分ほど煮る。






アサフェティダ ヒン ヒング パウダー 粉末 粉 50g アメ横 大津屋 業務用 スパイス ドライ ハーブ ティー ポプリ asafoetida アギ 阿魏 悪魔の糞

産地:インド産






ムングダール 緑豆 ムング豆 (Moong Dal) - 日本語レシピ付き (1kg イエロームングダール)

Ambika インド産

大根のアチャール(ムラコアチャール

ネパール,ダルバート, アチャール, カレー, スパイスカレー
ムラコアチャールは干し大根の胡麻和え

本来は大量につくって発酵させる漬物のような存在だが、はやく食べたかったのでレモンと発酵唐辛子でまとめた。とはいえ大根を干して、調味料を加えて一日寝かせたので、3日はかかる。

大根 4cmの長さの輪切りを2本 拍子切り
発酵青唐辛子 1本 細く斜め切り
白ごま 大さじ3 すりつぶす
レモン 1/4個~ だんだんと発酵するので少なめに
●ホールスパイス
マスタードシード 大さじ1 から煎りしてすりつぶす
フェヌグリーク 小さじ1
ショウガ 1片 すりおろす
ニンニク 1片 すりおろす
●パウダースパイス
ターメリック 小さじ1
クミン 小さじ1
  1. 大根の重量の2%の塩をまぶし、1時間おく。水気がでてくるのでよく絞る。できればザルにのせて一日干したい。すりつぶしたマスタードシードとともにボウルにいれておく。
  2. フライパンに米油大さじ2にフェヌグリークを加えて弱火にかける。色が黒くなったら、ニンニクとショウガをさっと炒め、パウダースパイスを加える。軽くかき混ぜたら、大根にかける。
  3. 胡麻、レモンを加えてよく混ぜ、塩で味を調整。ラップをして(長期保存の場合は瓶で)常温で保管。

ジャガイモのアチャール(ネワリアチャール

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ネワリアチャールはスパイスの効いたネパール風ポテトサラダ

スパイスの効いたネパール風ポテトサラダ。ぶっちゃけジャガイモとタマネギ以外はなにをいれても問題なさそう。歯ごたえのある野菜が合う。
ポイントは、生野菜に熱々のスパイスオイルをかけてから、ジャガイモと馴染ませること。発色と歯ごたえもいいし、芋が油っぽくならない。

ジャガイモ 2個 皮ごと水に入れ、柔らかくなるまで茹でる
タマネギ 1/4個 薄切り
ニンジン 1/4本 細切り
ピーマン 1個 細切り
パクチー 適量 ざく切り
米油 大さじ3
黒ごま 大さじ1 すりつぶす
レモン 1/4個
●ホールスパイス
フェヌグリーク 小さじ1
●パウダースパイス
ターメリック 小さじ1
  1. ジャガイモ以外の切った野菜をボウルにいれておく。
  2. フライパンに米油とフェヌグリークを加え弱火にかけ、真っ黒になるまで加熱したらターメリックを加える。しゅわっと溶けたら野菜めがけてかけて、混ぜる。
  3. 大まかに切ったジャガイモも加え、すりこぎで半つぶしにしながら混ぜる。
  4. 胡麻、レモン、塩で味を調整し、パクチーを混ぜいれる。

トマトと発酵青唐辛子のアチャール

ネパール,ダルバート, アチャール, カレー, スパイスカレー
トマトと発酵青唐辛子のアチャール
トマト(中) 1個 小さめに切る
タマネギ みじん切り
発酵青唐辛子 みじん切り
パクチー 適量 みじん切り
レモン 1/4個
  1. ボウルにすべての材料を入れ、レモンと塩で味付け。冷蔵庫で30分ほど冷やす。

出汁要らずなのに旨い鶏ひき肉のフォー

骨から透き通った出汁をひき、鶏肉を茹で、湯がいた米麺を丼に盛りつけ熱々のスープをはる。ナンプラーやレモンで好みの味付けにし、香草や野菜のせていただく。
鶏肉のフォーはまじめに作ろうとするとけっこう手間がかかる食べ物だ。朝にさくっと食べたいと調理にとりかかっても、スープを煮込むうちに昼をまわってしまうだろう。もっと手軽につくる方法はないかと思案していたところ不精の神が降りてきた。「鶏ひき肉でフォー!」。筋骨隆々の神は、黒革でぴちぴちの装束をまとっていた。

それはそうと、鶏ひき肉のフォーは、出汁要らず。そして1人~大人数まで量を調節しやすく、調理時間も短い点で大変にお手軽だ。
ポイントはひき肉に日本酒と塩少々加えて、肉をほぐしてから点火。肉から透き通った汁気が出るまでしっかりと炒めて鶏そぼろにすることだ。酒の旨味が加わり、さらに酒が蒸発する力で鶏肉特有の臭みなども消してくれる。これは和食の師匠に教わった鶏そぼろの作り方で、これに醤油や砂糖を加えれば定番の鶏そぼろご飯もおいしくできる。

炒めた鶏そぼろに水を投入して沸かし、入念にアクを取ったらスープ完成。藻塩やナンプラーで味調整する。もちろん骨からとったスープには劣るだろうが、思い立ったらすぐにありつけるこのフォーは、我が家の救世主だ。

鶏ひき肉のフォー


鶏ひき肉 170g
●日本酒 適量 挽肉がひたひたになるくらい
●塩 ふたつまみ
800cc 一人400ccのスープで換算
塩or藻塩 小さじ1
ナンプラー 少々
野菜 適量 モヤシ、薄切りのタマネギetc
薬味 好きなだけ パクチー、レモン、唐辛子、フライドオニオン、ネギetc
フォー 180g 商品によるが、20分くらいぬるま湯につけておく

つくりかた

  1. 鍋(やっとこ鍋19.5cm使用)に鶏肉、日本酒、塩を加えて、しっかりほぐす。
  2. 点火して、混ぜながら火を通す。酒が蒸発し、肉から出た濁った汁が透明になるまでしっかり炒める。
  3. 水800cc、あればパクチーの根やショウガを加えて沸かし、適宜アクをとる。10分ほど弱火で煮込み、塩とナンプラーで味を調整。
  4. フォーを茹でて器に分ける。
  5. 挽肉、生野菜をのせて、熱々のスープをかける。

青梗菜と椎茸の塩炒め

目覚めると、左顔面が鈍く痛む。どうしたことか。そっと触れてみても判然としない。寝ぼけ目でよろよろと洗面所へ向かい、電気をつけると、鏡のむこうにお岩さんが立っていた。左目が腫れ上がっているのだ。顔を近づけてよくよく観察すると、顔面の左側だけが歪に変型している。
お岩に叩き起こされた家人は大騒ぎし、近場の病院へ車を飛ばしてくれた。

一通り検査を受けて、診療1分。「虫刺されかなんかですかね?」という医師の見立てだ。
「ふぇ?」アホみたいな声をだしてしまった。よりによってなぜ大学病院にきてしまったのか。今頃「虫刺されのお岩さん」と噂されているのではないかと気がかりだが、春らしい熱海の陽気に後押しされ、処方された軟膏を握りしめ颯爽と帰宅するお岩さんだ。

朝っぱらのドタバタ劇でぐったり疲れてしまい、二度寝を決めようと部屋にむかったところ、白い壁に染みのようなものがついている。虫だ。
手が届かぬところだったので、家人をよび、蚊トリーヌで電撃してもらう。ティッシュで潰すと、赤い体液がどろりと出てきた。呆れるほど吸っている。医師は正しかった。さすが大学病院だ。
温泉と軟膏の効果か、午後には腫れが収まってきたが、次第にぽつぽつと蚊に刺された箇所のみが目立つようになる。左顔面だけで4カ所やられていた。文字通り、ボコボコにやられていた。


そういえば最近、八百屋がもってくる青梗菜がいいので、毎週欠かさず買っている。昼食のラーメンにのせる青物要員として優秀で、インスタントラーメンが店っぽくなると家人の受けがいい。
それにしても自分は青梗菜という野菜のことをあまり知らない。中華料理に使う野菜でしょ、くらいな知識だ。そもそも日本に入ってきたのは中国との国交が正常化した1972年以降だというから、比較的新しい野菜といえるのではないか。
医食同源を重んじる中国のことだ。きっと薬効があるのではないかとさらに調べを進めると、薬膳に詳しいサイトにいきあたった。それによると「けがによる腫れ物を消滅させる」というではないか。蚊に刺されも怪我みたいなもんだろう。
ということで、医者にもらった軟膏を放り投げて青梗菜を食べている。

青梗菜と椎茸の塩炒め

材料

青梗菜 2株 しばらく水にさらしてぱりっとさせる
椎茸 5枚 軸をとり、キッチンペーパーで傘を拭いて、半分に切る
ニンニク 1/2片 薄切り
調味液 ●を合わせておく
 ●水 60cc
 ●塩 小さじ1/2
 ●砂糖 小さじ1/2
 ●片栗粉 小さじ1/2

つくりかた

  1. 青梗菜を縦に8つ切りにし、根本を葉を二等分する。葉はザルに入れておく。ミニ青梗菜なら2つ割りで。
  2. 中華鍋に水500cc、塩4g、砂糖2g、油大さじ1を沸かす。
  3. 青梗菜の根本を茹でて柔らかくなったら、椎茸を加える。葉をいれたザルの上から流す。
  4. 中華鍋にピーナッツ油を大さじ1あたため、ニンニクを加えて香りがでたら、野菜をもどし、水分をとばすイメージでざっと炒める。
  5. 調味液を加えて数回煽ったら出来上がり。