魚屋でたまに見かけるメゴチ。たいてい売り場の目立たない場所においてある。
だがこちらもギンポと同じく、江戸前天ぷらの雄。1パック200円と格安なんだが、残念なのは「こちらの魚は下処理いたしません」とパックに明示してあることだ。たしかに、この小さな魚を捌くとなるとそれなりの人件費もかかるわけで、200円じゃ魚屋としても割に合わないんだろう。
つまり、メゴチの天ぷらを喰らうには自分で捌くしか選択肢がないというわけだ。
では早速、メゴチを松葉おろしにしてみよう。
松葉おろしは、キス、メゴチ、小さいアジなど小魚に向いた捌きかただ。そのおろした形が松葉に似ていることからこの名前がついている。小さくて最初は手こずるものの、慣れてくるとクセになるのが松葉おろしの醍醐味。なんせ頭でっかちで食べられるところが少ないから腹を満たすには何匹も捌かなくてはならない。だから目に見えるように上達していくのだ。
メゴチを松葉おろしにする
背びれをちょっと持ち上げて、尾っぽから頭に向かって皮を削いでいく。
頭のあたりまで削ぎ終わったら、垂直に切り込みを入れる。頭をすべて落とすのではなく、皮ぎりぎり一枚残す。
身をひっくり返し、頭を折る。
エラのあたりの中骨を包丁で押さえながら、折った頭を手で左にスライドさせると皮が剥ぎ取れる。これがうまくできると、気持ちいい。
中骨にそって包丁を入れて片身を剥がしていくが、尾はつなげたまま。
裏返してもう片方にも包丁を入れて身を剥がす。
松葉の形になったところで、中骨を尾の付け根で切り落とす。
しっかりと水気を取り除いたら高温でさっと揚げて天ぷらの出来上がり。