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時速1kmの思考

エボダイの姿揚げと骨煎餅

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筑地市場にて

筑地で一目惚れしたエボダイ。体長15cmくらいの小さなものだったが、愛くるしいつぶらな瞳から放たれるその眼差しから目が離せなかった。ややピンクを帯びたメタリックの輝きは携帯の最新機種のようにも見え、値は張るものの期待感が先走る。

調べてみれば、これまでずっと「エボダイ」だと思っていたこの魚は、本来「イボダイ」が正式名称で、全国的に獲れるものだから日本各地で「メダイ」「シズ」「モチウオ」などなど地方色豊かな名称がたくさんあるらしい。
だがいまさらイボダイと呼ぶのも他人行儀な感じがするし、築地でもエボダイと書いてあったから、このまま「エボダイ」を貫いていこうと思う。

エボダイは骨や身が柔らかく、揚げると丸ごと食べられるというので、ちょっと工夫をこらした姿揚げに挑戦することにした。

エボダイの唐揚げ

まずはウロコとって、エラをかき、腹の脇くらいから小さく切り込んで内臓を取り出し、きれいに洗って水気をとる。
背から開いて、弧を描くように包丁を入れて、腹ギリギリまで開いて袋状にし、頭と尾の中骨の付け根をトンと包丁で落とし、中骨をごっそり取り出す。

エボダイの唐揚げ

薄力粉をはたいてそのまま揚げてもいいが、尾の付け根からアゴ下に向けて竹串を刺してスズメに見立てる。横からだとわかりづらいんだが
、正面から見るとたしかにスズメが羽を広げているような格好だ。

エボダイの唐揚げ

低温の油で中骨と一緒にじっくり揚げていく。10分弱くらいだろうか。バリバリになるまでけっこう時間がかかるので、ここは気長に構える。仕上げに油の温度を上げて、手で触ってみて固ければ油から引き上げる。

エボダイの唐揚げ

熱々を皿に盛り、ポン酢とネギ、一味を振りかけて頭からかぶりつく。
衣はザクザク、身はふんわりで、我ながら天才かと勘違いするほどの出来栄えだが、味付け等なにもしてないため、全てはエボダイのポテンシャルで成り立った料理である。
中骨もしっかりと煎餅になっており、普段なら捨ててしまうところが立派な一品になったことが満足度を跳ね上げているのかもしれない。

エボダイの唐揚げ

グアムでよく食べるミルクフィッシュのフライにフィナデニソースをかけたものもを思い出す味だったが、小さなエボダイなら揚げやすいうえ、ポン酢があればより手軽なこともわかった。

エボダイの唐揚げ

そういえば、車でしか行けない少し離れたスーパーでは、小柴漁港産のエボダイが雑魚のような値段で売られている。これからは積極的に揚げて食うことを心に誓う。