鰤のカマの調理法といえば「焼く」「煮る」くらいしか思いつかなかったし、実際それが定番だろう。
だから、鰤のカマを揚げて、酸味の利いたタレにつけこむ「ぶりかま酢」という料理を板長がつくってくれたときはとても新鮮で、すっかりはまってしまった。
カマの脂×揚げ油。一見、胃もたれしそうな取り合わせなんだが、タレにつけると、それこそタレをすべて飲み干せるほどいい塩梅になるのだ。これこそ料理人の妙技である。
つくりかたはとても簡単だが、ポイントが2つある。
ひとつは、必ず天然のブリのカマを使うこと。たとえばヒラマサのカマでつくると、不思議なことにタレの酸味が立ちすぎてしまう。つまりカマに脂がのっていないと酢を弾かず、タレに負けてしまうのだ。
ちなみにこのタレは、焼餃子にも合うことがわかり、一堂驚いた。
ふたつめは、カマを醤油洗いすること。カマに適量の醤油をかけることで、魚介の生臭みを取りつつ、下味もつけることができる。
とにかく日本酒との相性が抜群で、幸せな気分になる料理だ。
ぶりかま酢
つくりかた
5. 揚げる
ブリカマに片栗粉をまぶして、しっかりと揚げる。