酸辣湯は、具だくさんの味噌汁…酸っぱい豚汁のようなものだと解釈してみると、すごく身近な中華料理のひとつになった。
スープの味さえ決まれば、具材なんて好きなものをどんどん加えていけばいいだけ。
もずく酸辣湯を作り始めたのは、久米島出身の沖縄料理店の店主が「たくさん仕入れちゃったからもってって!」と分けてくれたのがきっかけだった。はじめは生真面目に酢醤油で食べていたけれど、いくら旨くてもさすがに飽きがくる。いま思えば、冷凍してしまえば日持ちしたのに、当時は「生もずくだからさっさと喰わねば!」とあの手この手で食べ始める。そのなかでも一番のヒットが「もずく酸辣湯」だった。もともと酢で食べるもずくだから合わないはずがない。春雨の代わりに入れれば糖質制限中でも深夜でも罪悪感なしに食べられる。
うまい酸辣湯はタイミングが命
玉子を入れるタイミング
水溶き片栗粉でとろみをつけてから玉子をいれることで、ふんわりした食感のかき玉になる。
酢を入れるタイミング
黒酢や米酢といった揮発性の酢酸は、加熱すると酸味が飛んでしまうので、加えたら煮立ててはいけない。余談だが、ワインビネガーやリンゴ酢、梅酢、柑橘酢などは、煮詰めても酸味が飛ばない。
もずく酸辣湯
基本、具材は何を入れてもおいしい自由なスープ。春雨、ベーコン、キノコ類、ネギ、タケノコ……冷蔵庫にある好きなものを加えてほしい。
分量もとりあえず書いておいたものの、神経質にならなくても問題なし。ただし豆腐やトマトなど水分が多い食材をたくさん入れる場合は、煮ていくうちに水分がでてくるので、あらかじめ茹でておいたり、調味料を増やしたりして調整してほしい。
また、干し椎茸や干し貝柱を加えると出汁に深みがでるのでオススメ。その場合は、戻し汁を一緒に加える。
材料
もずく | 60g | |
小エビ | ひとつかみ | |
鶏むね肉 | 50g | 細切り。豚肉のロースとか、ササミとかでもいい |
シイタケ | 1枚 | 細切り |
豆腐 | 90g | 細切り |
玉子 | 1個 | |
ショウガ | ごく薄切り3枚 | 千切り |
スープ | ||
熱湯 | 600c | |
鶏ガラスープの素 | 小さじ2 | |
豆板醤 | 大さじ1 | |
乾燥唐辛子 | 1/2本 | 種を抜く |
濃口醤油 | 小さじ2〜3 | |
砂糖 | 小さじ1 | |
塩・胡椒 | 少々 | |
水溶き片栗粉 | 適量 | |
仕上げの調味料 | ||
酢 | 大さじ2〜 | 黒酢 or 米酢 or 混合 |
胡麻油 | 少々 | |
ラー油 | 少々 | |
パクチーやネギ | 適量 |
つくりかた
中国料理には上漿(シャンヂャン)とか醃(イェン)といった独特の下ごしらえがある。肉や魚介類の臭味をとりつつ、下味をつけ、旨味を補填し、食感もよくする中華の偉大な技。
面倒臭いがこれをやればお家中華のレベルが格段に上がることは間違いない。が、無理のない範囲でやればいいので、スープをつくる工程まですっ飛ばしてもらってもかまわない。
エビの下ごしらえ
スーパーで売っている輸入エビ、冷凍エビは下処理をするとぷりっぷりのエビに生まれ変わる。
- エビの背わたをとる。
- エビのひとつまみの塩と片栗粉、同量の水(白いどろりとした液体糊状)を揉み込む。だんだんと汚れがでてくるので一度洗い流し、汚れがとれるまでくり返す(通常2回やればきれいになる)。揉み込んだエビの繊維がもろもろっとほどけたような状態になるはずだ。
- キッチンペーパーでエビの水気をしっかりとる。エビを潰さない程度の力加減で、両手でしっかり押さえこむ。
- ボウルに入れたエビに、酒を加える。③で失った水分と旨味を補ってやるつもりで、少量ずつ加えて手で優しく和えて、しっとりするくらいが目安。(びちゃびちゃになるくらい入れてはいけない。もし汁気が残っているなら捨ててしまう)。
- 塩・胡椒を加えて優しく混ぜる。
鶏むね肉の下ごしらえ
ぱさつきを抑えてつるんとした喉ごしの食感になる。
- 胸肉を細切りにする。
- 胸肉がしっとる湿るくらいの酒、塩・胡椒ひとつまみで下味をつける。
- 卵白を加えて指先でリズミカルに揉み込む。泡が立ってくる。
- 片栗粉を加えて、調味液と玉子を吸わせる。とろりとヨーグルトのような薄い膜が肉まとわりついている状態。
- 油をひと垂らし加えて指先で軽く混ぜる。落としラップをして冷蔵庫でしばらく休ませる。
下茹でする
- エビ、胸肉、椎茸はあらかじめさっと下茹でして、七分どおり加熱しておく。アクでスープも濁らない。
- 豆腐もあらかじめ茹でておくと余計な水分がとれて味が決まりやすいが、今回は割愛。