5年ほど前から年に一度、定期便のように訪れるぎっくり腰。ここのところ調子が良かったもんで、今年はなんとなくやり過ごせる気がしていたが、やはり魔女の一撃は交わせなかった。
台所に立つにもオットセイのような声が漏れ、くしゃみの時には全身で身構え、全神経が腰に集中するもんだから頭の中から人間らしさがずるずると失われていく。
数週間たち、ようやく腰も癒えてきたので、途中になってた記事に向かい合うものの、ぎっくり以前の記憶も曖昧になっている。そうそう、紹介したかったのはバルサミコソースだった。
今夏いちばん世話になったバルサミコソース。そもそもは板長の誕生日にバルサミコ酢をプレゼントしたのがきっかけだったが、牛肉に合うというこのソースを伝授しようと翌日には筑地にエシャロットを発注したそうだ。
つくりかたはいたってシンプル。
「バルサミコ酢に炒めたエシャロットを入れて煮詰め、醤油を加え一煮立ち」
以上である。
煮詰めたバルサミコにけっこうな量の濃口醤油を加えることで、和食にもしっかりマリアージュする仕様となっている。出来たてを舐めてみると、高級なウスターソースといった赴きもあり、コロッケなんかにもぴったりはまりそうである。
ステーキには塩胡椒! を頑なに貫いていた家人も、コロナをすり抜けて我が家を訪ねてきた友人も、何が入っているかよくわからないけれど高級っぽい味がすると驚いている。
瓶に詰めて冷蔵庫に入れておけば日持ちするのもありがたい。
香りが飛ばないよう、最後にワサビを加えるのがポイントだ。