繁華街から離れた場所に拠点を据えると、どうしても夕飯難民になりがちだ。今夜もサウス・マリン・コア・ドライブを右往左往し、たどり着いたのはGPOにほど近いHafa Adai Exchange。うす暗い駐車場のような場所で、少し気味が悪い。
目当てのレストランが見つからないが、腹は減ってもう動くきがしない。ざっと周りを見渡し、後光がさす先にあったのがマイタイ(Mai Thai)だった。時計を見ると、夜も9時を過ぎている。決断が必要だ。
間口からは想像できない広い店内に、重厚な木のテーブルが並んでいる。だが客は一人もいない。どうも気まずい面持ちでテイクアウトしたい旨を伝えると、女性がメニューを渡してくれた。
正統派のタイ料理店という雰囲気だ。目に留まったのはカレーとトムヤムクン。だがこの二品だけでは足りそうにもない。
「トムヤムクンに麺はつけられる?」
「問題ないわよ!」
このホスピタリティ、なかなかグアムでは味わえない。入店時の不安が一気に払拭された。
料理ができるまで、チェンマイ出身だという彼女とタイの話で花が咲く。グアムにはタイからの移住者がかなりいて、来週には自分のコミュニティの祭があるという。
「たくさんタイ料理も食べられるから、来ない!?」
そういえばタイの旧正月、ソンクラーンはもうすぐだ。残念ながらその日はもう帰国していると言うと、「ではまた来年ね!」と明るく笑う。
丁寧に包まれた料理を渡され、礼を言って店を後にする。入口の看板は「Closed」に変わっていた。どうやら閉店ギリギリだったらしい。そりゃ客もいないはずである。
グアムで本格派タイ料理を食らう
タイカレー(Thai Curry)は$10.00。ココナッツミルクが効いている。そして惜しみなくタイのホーリーバジルが入っているのも嬉しい限り。辛みもなかなかで、かなり本場に近い味だといっていい。
うまい! 辛い! うまい! 辛い!
エンドレスに続く旨みのスパイラル。ビールとの相性も抜群だ。
次はトムヤムクン(Tom Yam Kung)$12.00だ。部屋中に広がるレモングラスの香りに心は躍る。テイクアウトするうえでの懸念点だった麺は、別盛りで包まれていた。この心遣いには感動した。正直、持ち帰るあいだに麺が伸びても仕方ないとタカをくくっていたからだ。
そしてスープを一口。
辛っ!!
全身の毛穴がどっと開いた。これは本場の辛さである。一口ごとに汗がしたたり落ちるのだが、また口に入れたくなる魔性の辛さなのだ。
また行きタイ
Mai Thai
一年後、ランチで頼んだのが鶏蕎麦(Chicken Noodle)だ。
スープが甘めで物足りなかったので、生の唐辛子をお願いして入れてみたところ、うまさ倍増。麺は優に2人分はあるし、鶏肉もたっぷり入っている。もう一品頼むならルンピアか生春巻きあたりにしておいたほうがよさそうだ。
タイ料理は、グアムの気候に本当によく合っている。タイ風バジル炒め(Phad Ka Prao)を食べてみたい。麺をすすりながら次回のメニューを決めるのだ。
Information
12-16 Hafa Adai Exchange, Tamuning, Guam 96931
以前はThapanee Thai Cuisine だったが、オーナーが代わってMai Thaiとなっている。GPOから徒歩で行ける距離だ。
営業時間:11:00〜15:00/17:00〜9:30 年中無休