トムヤムクンの偉功を前にして霞んでしまいがちだけれど、トムヤムガイも隅に置けない実力派である。
「クン」が海老ならば、「ガイ」は鶏肉だ。私にとってはクンよりガイのほうが馴染みが深い。というのも現地でもやはり、海老より鶏肉のほうが懐に優しいのだ。
バンコク市内にあるショッピングセンターの周りでは屋台がひしめき合っていて、夜になると大した盛況ぶりである。そこで出会ったのがイサーン出身の青年が経営する屋台だった。タイ北東部のイサーン料理は辛くてうまいと評判だ。英語はまったく通じず、周りの屋台仲間が通訳をかってでてくれて、あれこれしてようやく注文できたのがトムヤムガイだった。
食べる前から、うまいのがわかった。これ以上ないくらいの鮮烈な香りを胸一杯に吸い込んだら生唾がでてきた。赤唐辛子は種がむき出しで、ざっと数えただけで10個以上は入ってるから、その透明なスープの辛さには遊びがない。鶏肉以上にハーブが惜しみなく入っている。食べ終えると碗の中は、その高さの半分がハーブ!
この香りこそタイ料理の醍醐味。これだけハーブを使うから、タイ料理は爽快なのだと納得した屋台料理だった。
さて、トムヤムガイに使うハーブは、トムヤムクンとほぼ同じ。カフィアライムの葉、ガランガル、レモングラスだ。
どれもよく洗って、レモングラスは一本ずつラップし、カフィアライムの葉は水気を拭いてからジップロックに、そしてガランガルは薄切りにしてからジップロックに入れて冷凍しておけば日持ちする。
トムヤムガイ(Tom yam kai)のつくりかた
材料
鶏肉 | 100g | もも肉もしくは胸肉を一口大に切り、塩ひとつまみで下味をつける |
手羽元もしくは手羽中 | 100g | 鍋用のぶつ切り肉はかなりオススメ |
水 | 600cc | 出汁用 |
パクチーの根と茎 | 1本分 | 出汁用 |
レモングラス(宮古島産) | 2本 | 鍋に入るよう2〜3等分に切る。さらに叩いておくと香りが出やすい |
カフィアライムの葉(バイマックルー) | 3〜5枚 | 葉脈を取り除いてちぎる |
ガランガル(カー) | 8枚 | 薄切りしたものを冷凍している |
島唐辛子(宮古島産) | 5個 | 辛いのがすきならば種ごとかるく潰す |
野菜 | ナス、ピーマン、トマトなど好みのもの | 一口大に切る |
キノコ | ふくろだけ、マッシュルーム、マイタケなど好みのもの | 一口大に切る |
ナンプラー | 大さじ2 | |
薄口醤油 | 大さじ2 | すべてナンプラーで味付けをしてもいいが、メーカーによってはかなりクセのある風味になる |
砂糖 | 小さじ1/2 | |
ライム | 1個 | |
パクチーやタイバジル | 2〜3株 | 飾り用 |