五月某日、台風一過。のはずがいまだ低気圧が居座っているのか、腰がどうにも痛む。湿度は82から68%まで下がり、玄関をでればいい風がさらり流れていくが、部屋の中にいるとじっとり汗ばむ朝。一食目に悩む。
温かい麺類だと余計に暑いし、かといって冷たい麺にするにはうすら寒い。こういったどっちつかずの気候のときはたいていサンドイッチになる。定番のハム&チーズ、もう一つはオムレツを挟むことにした。
こしらえているうちに、汁物がほしくなってきた。寝汗をかいていたのだろうか。コーヒーではなく、俄然しょっぱいものを欲している。冷蔵庫をあさり、トマトとインゲンに狙いを定める。
出汁を沸かして湯むきしたざく切りトマトを投入。湯むきが面倒ならすりおろして直に鍋投入したってかまやしない。とろみをつけたら溶き卵をまわしかけ、余熱で火を通す。いわば和風の「酸湯」といったところか。
すべてはトマトのポテンシャルにかかってくるスープだが、酸味が足りなければ仕上がりに酢を少々、逆に酸味が強すぎる場合は砂糖で調整してほしい。
酸味のおかげで寝ぼけた身体がしゃきっとしたし、うっすら汗もかく。これでひとっ風呂あびれば完璧だろう。そういえばサウナ好きの人々が「整う」という言葉を連発しているが、もしかしたらこんな感覚なのだろうか。一日うまく乗り越えられそうな気さえする、陽気にピタリはまるスープだった。