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時速1kmの思考

叔母直伝。酸っぱくない、胡麻と油揚げの紅白なます

友人から忘年会の報せ届く。「明日から本気出そう」ともがいているうちに、もう11月か。カレンダーをめくる手が震える。お節も射程圏内にはいってきた。今年のお節は、叔母直伝のなますを忍ばせる予定だ。

コロナ前は、親戚一同が集まる持ち寄り新年会が恒例だったが、叔母の料理は毎年、手の込んだすばらしいものだった。なかでも一線を画していたのは紅白なますだ。

紅白なますは、お節初心者が十中八九手を出すお節のアイコンだと思う。千切りした大根とニンジンを甘酢に漬けるだけだ。参入障壁が低いがために、なますが被りまくる年もあったが、叔母のなますだけは完売御礼だ。

いままで食べてきたどのなますよりも、酸味が穏やかでまろやか。とにかく食べやすいのだ。ふわっと胡麻が香る。その奥から何やら謎の香ばしさが漂ってくる。思わず「これは誰のなます?」と声をはってしまった。
「それね、珍しいでしょ」
当ててご覧なさいと叔母はほくそ笑んだ。酒浸しの脳みそからは、なにも出てこない。
「油揚げはいってるのよ。おとうさんの郷里の味みたい」

お節におけるなますは、口の中を引き締める、箸休めの役割を担っていると思っていたが、おばちゃんのなますはすり鉢をかかえて食べたい、おかずのような立ち位置だ。油揚げの油分でここまで味が変わるとは驚きだった。
酢の物が苦手な家人にも叔母直伝なますは好評なので、正月料理だけにしておくにはもったいない。常備菜のレパートリーに加えることにしよう。

胡麻と油揚げの紅白なます

材料

大根 150g ごく細切り※
ニンジン 50g ごく細切り※
胡麻 大さじ3
油揚げ 1枚
薄口醤油 小さじ1
甘酢 200cc 穀物酢80cc、冷まし水120cc、グラニュー糖大さじ1、塩小さじ1/2(全量を10として酸味控えめの6:4の割合)。あれば柑橘の薄切りを一枚加えると香りよし
昆布 5×5cm

※大根と人参の細切りは、スーパーベンリナーが超絶便利です。






ベンリナー スーパーベンリナーNo.95 スライス幅(まな板幅)95mm 95

厚さ調整ダイヤルで、0.5mm~8mmまで野菜の切れる厚さが調節できる。
3種類の交換刃(小歯、中歯、荒歯)付属。

つくりかた

  1. 甘酢を合わせてよく溶かす。さっと沸かして冷ましてもよし。
  2. 500ccの水(分量外)に塩小さじ2をよく溶かし、千切りした大根とニンジンを浸して15分ほどおく。
  3. 野菜がしんなりしたら、水分を手で絞って甘酢につけ、昆布をおいて落としラップをして冷蔵庫で3時間休ませる。ここまでの工程で普通のなますになる。
  4. 油揚げをトースターで表面がからりとするまで焼く。あら熱がとれたら、細かく切る。
  5. すり鉢で胡麻、油揚げの順にあたる。すりつぶれたら、醤油を加える。
  6. 甘酢にひたした野菜をザルにとり、水分を自然にきったら(手で絞らない)、すり胡麻と油揚げに和える。お好みで砂糖と薄口で味を調整。