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時速1kmの思考

かくや和え風浅漬け

古漬けになってしまったぬか漬けを、細かく切って醤油で味付けした「かくや和え」という食べ物がある。

江戸時代の料理人・岩下覚弥が徳川家康に献上したとか、たくあん漬けの考案者、沢庵和尚の弟子・覚也がつくった(三代・家光が食べたそう)とか、高野山は隔夜堂を守る歯の悪い老僧のためにつくられたとか……。

諸説あるものの、保存食を無駄にせず、食べる者に食べやすく、見た目にも美しくと先人の知恵ともてなしの心がこもった料理だというのが、江戸セレブたちが好んだ由縁かもしれない。

我が家では古漬けが毎度あるわけではないから、大根を基本とした余り野菜でつくるフレッシュかくや和えが定番だ。
古漬け特有の酸味が足りないので、酔い止め薬として常備しているかりかり梅を忍ばせている。

家人はこれを、食事のあいだひっきりなしにポリポリポリポリ咀嚼している。
だんだんと愛猫たちがカリカリを貪っている姿と重なってくる。

鶏つくね、鯵りゅうきゅうなどメインディッシュが二番手、三番手に成り下がり翌日に繰り越されるのは不本意極まりないが、「これなら一生食べつづけられるよ」とヨイショもぶっこんでくるので、もてなし側としてはまぁよしとするしかない。

個人的には、熱々の白米にのっけてかっこんだり、冷や飯なら茶漬けにするのが王道だと信じて疑わない。
が、たしかに、そうなるとおかずが一切いらないことにいま気づく。

かくや和え風浅漬け

材料

大根 15cm ごく細切り
大根の葉 適量 みじん切り
ニンジン 1/3本 ごく細切り
かりかり梅 10個 粗みじん
紫蘇 10枚 ごく細切りして水に放っておく
昆布 適量 一番出汁をひいた後のものを再利用。ごく細切り
ショウガ、ミョウガ胡麻、鰹節など好みの香味野菜 適量
薄口醤油 少々

つくりかた

  1. 大根とニンジンはかつらむきにしてからごく細く切りそろえるときれいに仕上がる。
  2. 2%の塩水(800ccの水に対して塩16g)に昆布、大根とニンジンを加えて、しんなりするまで浸けておく。
  3. その間に、かりかり梅、紫蘇、昆布など他の食材を刻んでおく。
  4. しんなりした大根とニンジンを軽くしぼり、薬味を加えて和える。もし大根とニンジンの塩味が強い場合は、さっと水で洗う。
  5. 冷蔵庫でしっかり冷やす。
  6. 食べる直前に味見をして、足りなければ醤油を加える。