タイ北東部のイサーン地方は食の宝庫。イサーンのサラダといえばラープ(Laab)が有名だけれど、ナムトック(Nam Tok)という肉とハーブをふんだんに使うスパイシーなサラダも外せない。英語ではWaterfall Salada、直訳すれば「滝のサラダ」となるが、一説によれば肉を焼いたときにあふれ出る滝のような肉汁に由来があるという。
本来は脂がのった牛肉や豚トロ(豚のネック)などの塊をハーブや調味料に漬け込んでから焼き、それを薄切りにしてハーブとドレッシングで和えていくかなり手の込んだサラダだけれど、もっと手軽に食べる方法はないかと模索していたところ、和牛の切り落としを使うのが定番となった2019年夏。だってステーキ肉ならそのままステーキとして食べたいじゃない、和牛。
肉はさっと湯がいて、辛甘酸っぱいタレで和えていく。健康のことも考え、野菜もたっぷり加えてがっつり系のサラダに。食欲が落ちていてもさっぱりしているからもりもりいけてしまう。年々蒸し暑くなってきている日本の夏にはぴったりの食事なのだ。
さて、ナムトックやラープといったイサーンの和え物に欠かせないのが、カオクアの存在だ。生のもち米をバイマックルー(カフィアライムの葉)やガランガル、パクチーの根と一緒に煎り、粉に挽いたもので、これがナムトックやラープの決め手といっても過言ではない。ドレッシングにカオクアを加えるととろみがでて、食材と絡みやすくなるうえ、独特の香ばしさが食欲をそそるのだ。
西洋では油を使ってドレッシングに粘度を出したりするが、この方法はいろいろと使えそうである。
今回は常備しているもち麦でカオクアをつくることにした。
もち麦のカオクア
もち麦ははくばくのものを使っている。一袋50gだが、これでけっこうな量がつくれる。
現地では中華鍋で大量につくるが、少量の場合は胡麻いり器がとても重宝する。だいたい5〜10分くらいで色が変わって、香ばしい煙があがってくる。
今回はミルサーで挽いたが、石の乳鉢でもぜんぜん問題なし。IKEAのものを長年愛用しているが、現地のシェフとおそろいでだったので使い勝手は悪くないはず。