9月の記憶がほぼない。
突然の高熱に襲われた月頭。解熱剤の大量投与で一週間を乗り切ったものの、その後味覚がなくなり2週間。ついにコロナかと観念したが、隣で寝ている家人はぴんぴんしている。四六時中そばにいれば感染するはずなのに。不可解きわまりないまま現在に至っている。
悪いことは重なるもので、猫たちにはノミが発生してしまった。医師いわく、平屋あるあるらしい。ここ最近はハクビシンがとぼけた顔して家を覗いてくるし、アナグマも地域猫もいる。夏の日差しで庭の草花も伸びきった。ここは築88年の古屋。どこからノミが入ってきてもおかしくはない。
医師がおもむろに取り出したのは、手のひらサイズのドーム状をした、透明色の文鎮だった。よくよく目をこらすと、胡麻粒が入っている。標本だった。
「これがノミの卵で、こちらが第一形態、これが第二形態、成虫になると・・・・・・」とノミの一生を語り始めた。これ以上見たくないと身体が拒否するものの、静聴。
とにかくすべてのノミを駆逐せねばこの惨事は終わらないことだけはわかった。薬を投与された猫たちはひとまず安心だが、餌場を失ったノミどもは一斉に我々に襲いかかってくるだろう。
ネットで手当たり次第の対策グッズを買いあさり、掃除用具も買い足した。
解熱剤を投与しながら掃除と洗濯に明け暮れた。残暑は厳しいを通り越し、悪寒と汗が行ったり来たりの地獄のような日々だった。
唯一の救いといえば、筋弛緩剤の投与で腰痛がにわかに改善したことだろう。
心も体も削りとられてしまった。歳のせいか、とにかく回復が遅い。なにか身体によきものにすがるのが人情であろう。満身創痍、命からがらつくったスープが身体にしみわたった。
猫用ササミの湯がき汁に昆布を加え、塩と薄口醤油で調味。
レンコン入りの豚団子、里芋、キノコ。
乾燥したナツメを加えたら一気に薬膳の風吹きそうだ。
ナツメをちょびっと囓りながら、豚団子をほおばる。ほんのりした甘みと豚肉がふんわり広がる口福。もう少しだけ頑張れそうになる、そんなスープだった。
豚団子とナツメのスープ
豚団子
豚ひき肉 | 350g | |
●塩 | 3.5g(豚肉の1%) | |
●濃口醤油 | 小さじ1 | |
●ショウガ汁 | 大さじ1 | |
●紹興酒 | 大さじ1 | |
●砂糖 | 小さじ1 | |
蓮根 | 一節 | 粗みじんにして酢水につける |
片栗粉 | 大さじ2~ | |
胡椒 | 少々 |
- 豚肉に●の調味料を加えて粘るまでよく練る。
- 粗みじんしたレンコンの水気を切り、片栗粉をまぶす。
- 豚肉にレンコンを加えてざっくり混ぜて、冷蔵庫で休ませる。
野菜を下ごしらえする
里芋 | 4個 | 米のとぎ汁で湯がいておく |
マイタケ | 1房 | ほぐす |
シイタケ | 4個 | |
サトイモ | 4個 | 米のとぎ汁で下ゆで、もしくは蒸すなどしてやわらかくしておく |
乾燥ナツメ | 4個 | 爪楊枝で数カ所穴をあけておくと成分が出やすい |
ショウガ | 薄切り4枚 |
出汁をとる
鶏ささみ出汁 | 1L | |
昆布 | 5×5cmを一枚 | |
塩 | 8g | |
薄口醤油 | 小さじ2 |
- 土鍋に出汁と昆布、乾燥ナツメを加え、ゆっくり火をいれ、沸騰しそうになったら昆布は取り除く。
- 塩と醤油で調味したらショウガを加え、豚団子を丸めて加えていく。
- 残りの野菜を加え蓋をし、すべてに火が通れば出来上がり。