伊豆山の魚屋・魚久で熱海製麺の生ラーメンをみつけた刹那、貯金を全額ひきおろす時がきたと確信した。
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冷凍貯金しておいたのは、チダイが7尾に、ホウボウが1尾のアラをこんがり焼いたものだ。熱海では金目鯛ラーメンが名物なので、チ鯛ラーメンもありに違いない。
沸騰した湯にアラをどさっと入れ、使いかけのタマネギ半個、大根の皮、干し野菜寸前のミニ人参2本、ニンニクの皮、ショウガの薄切り、一番出汁をとったあとの昆布を投入。
ところで以前、私は海の家系ラーメンが好物だと書いたことがあるが、横浜出身の家人は生粋の家系ラーメン党である。こってり白濁したスープがお好みだ。
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先月の終わりに会社で不本意な事案に巻き込まれ殺伐としていた家人。ここは濁りきったスープでささやかなるエールを送ってやりたい。強火でぐつぐつと炊く。
アクをとりつつ、水分を足しつつ、1時間。あられもない相模湾の海が部屋中を席巻した。ザルにキッチンペーパーをかましスープをこして、麺に付属していた醤油ダレを加える。
俄然ラーメン屋っぽくなってきたではないか。ここで麺を2分30秒ゆがき、ちゃっちゃっと湯切りすると同時に丼鉢にスープを注ぎ・・・お一人ラーメン屋は忙しないな・・・麺をふわりとかぶせ、菜箸で折りたたむ。トッピングは葱のみのシンプルラーメン一丁あがりだ。
貯蔵性と簡便さが合わさって、ついついマルタイラーメンに走りがちだったが、この生麺はうまい。歯触りがいいし、唇にあたる滑らかさが心地よい。すすったときに爆ぜる感じもおてんばでいい。やっぱり生麺はいいもんだと納得できる味だった。
スープは超がつく濃厚さだ。煮詰まった相模湾の旨味がぐいぐい迫ってくる。腐っても鯛とはよくいうが、小さくても鯛なんだろう。一本筋の通った正調な魚介出汁だ。
惜しむらくは麺付属の醤油ダレを二袋入れてしまったころだ。当たり前だが、普通なら付属ダレだけでラーメンスープが完成するのだから、これに追い出汁すれば濃くなるのは当然なのである。
うまい麺が近場で手に入るとなれば、ますますアラ貯金に励まねばならぬ。自分の首をしめるような仕事が増えるばかりで、どうしたものかとは思っているが、このラーメンなら定期的に摂取したい。