
「漬物は塩だけが最上」と頑なに信念を曲げない男、それが家人である。白菜漬けも、大根漬けも、柴漬けも、梅干しも、原料は塩だけのものを好むので大変に面倒くさい。
このご時世、塩のみで漬けた漬物を探すのはハードルが高い。砂浜で落としたコンタクトを拾うくらい難しいことだと思う。手近のスーパーでは全滅であった。
専門店となれば塩のみの商品も存在するが、あまりに上品なパッケージなため家計への打撃は計り知れず。かつて親戚宅で「漬物ばかり食べないで」と優しい叔母にたしなめられたほどの男なのだ。
あまつさえ、沢庵やべったら、胡瓜のQちゃん、千枚漬け、福神漬など甘い漬物には決して口にしない。甘味が砂糖ならまだしも、人工甘味料ならなおのことの徹底ぶりなため、滅多に出先で漬物に手を出すことはなくなった。
漬物に対してさほどこだわりのない自分ではあるが、冬至に向けて一段と冷え込むこの季節、スーパーで見かけるとどうしても食べたくなるのが柚子大根だ。おそらく大根というより柚子の存在を感じたいのだと思う。
ちょうど八百屋で3個50円の柚子を手に入れたので、今年は自分のために少量、漬けることにした。大根は半分。もう半分はおでん用、先端はおろして干物に添え、葉は菜めしにすれば1本コンプリートできる。
通りすがりのSNSでみつけた、みりんを使うレシピでつくると、甘みを抑えた柚子大根ができることを知ったのは移住してからだ。べったりした甘みでないから、より柚子の香りを堪能できる気もする。
すき焼きを食べた日などは、こってりした口の中がリフレッシュされるので、ついつい箸が伸びる。気づけばポリポリやっている。
なにより家人も「まぁこの甘さなら」とほんの少しは口にいれるようになったのは、よい兆しではないだろうか。
味醂であっさり柚子大根

材料
| 大根 | 1/2本(約500g) | 拍子切り |
| 塩 | 5g | 大根の重量の1% |
| 調味液 | ||
| みりん | 75cc | |
| 穀物酢 | 大さじ1/2 | |
| 塩 | 5g | |
| 柚子果汁 | 1/2~1個 | 個体差で果汁のでかたが違うので酢との塩梅で調整 |
| 柚子の皮 | 1/2個 | ごく細切り。白い皮は極力取り除くこと |
| 昆布 | 5cm角1枚 | 細切り |
| 唐辛子 | 1本 | 種をとって輪切り |
つくりかた
- 大根に塩をもみこみ、30分以上おく。
- ゆずの果汁を絞る。種は取り除く。
- みりんを鍋に入れ、沸騰させてアルコールを飛ばす。火を止めたら、塩を加えて常温に冷ます。
- 大根の水気を軽く絞ってビニール袋に入れ、煮きったみりん、昆布、酢、柚子の皮と果汁、唐辛子を加える。なるべく空気を抜いて冷蔵庫で保管。
- 3時間ほどで浅漬け、1日おくとベストな頃合い。保管の際は調味液につかっているようにする。