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時速1kmの思考

猫に学んだ、計量いらずの一番だし

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一番だしのとり方なんて、ネットで検索すればあまた出てくる。和食の本をめくれば1ページ目に書いてある基本中の基本、政治家風にいえば“和食の一丁目一番地”なのである。
だがこのご時世、出汁をとるのは面倒臭い。味噌汁一杯つくるのに出汁をひく時間が惜しい。すべてが秒速で流れていく現代社会に逆行する行為だ。
もちろん頭では、出汁をとったほうがうまいとわかっていても、実際はやらない。だから店で皆、拝むようにして出汁を吸う。ご多分に漏れず、私もその一人だった。ではなぜ私が出汁をとるようになったのか? それは面倒臭い原因がわかったからだ。

なぜ出汁をとるのは面倒臭いのか?

いちばんの面倒臭いポイントは、計量だった。レシピを見れば、水●リットルに対して、昆布●グラム、鰹節●グラムとか書いてある。水を計量カップではかって、秤を使って1グラム単位で昆布と鰹節の重さをはかる。昆布はまだしも、鰹節には何かしらの容器が必要だから、洗い物も増える。あぁ、めんどくせ……顆粒でいいか〜、という思考回路だ。
そこで、計量するのをやめることにした。もちろん闇雲に適当というわけでなく、そこには一定の勘がいる。
では、いかにその勘を養うのか? それが今日のお題である。

一番だしの勘を養う

自分の出汁の色を覚える

まず自分の目指す出汁をつくるべく、水も昆布も鰹節もしっかり計量してつくる。そして、出来上がった出汁の色を記憶しておくと目安になるというものだ。
これは尊敬する料理人に教わった知恵だが、たしかに毎度色を意識してつくっていると濃い、薄い、いつも通り、いつもと違うなど変化がわかってくるもんで、見た目というのは想像以上に大事なのだと痛感した。

自分の「ひとつかみ」を知る

好みの鰹節をひとつかみして、その重さをはかってみる。私の場合は右手ひとつかみ20g前後だった。もちろん増減はあるものの、自分の手という唯一無二の計量カップの目安がわかれば、わざわざ秤にかける必要もない。

二番だしはとらない

一番だしをとったあとに残る昆布と鰹節。もったいないから二番だしもとらなければ……。かつてはその“エセもったいない精神”から二番だしをとっていたが、それをやめた。
というのは、一番だしをとったあとの鰹節は猫でさえ「ふんっ!」とそっぽを向くからだった。嗅ぎはするが、舐めもしない。出汁ができった鰹節は猫にとっても魅力ゼロ。実際食べてみても、まずい。さすが御猫さまの嗅覚と味覚は一流である。
「二番だしをとらなければ!」という脅迫観念によって面倒臭くなり、出汁をとらなくなるほうがもったいないというものだ。

だから鰹節は適量に

鰹節をケチってはいけないが、たくさん入れればうまい出汁になるかといえば、それは違う。
鰹節の風味はかなり強い。食材によってはその香りに負けてしまうものもある。だから、適切な量の鰹節でしっかり出汁をとれば、その鰹節はもはや天寿を全うしてくれたということだから、捨てればいいのだ。

水と昆布と鰹節をどう操るか?

ベストセラー『和食宝典』では、和食の第一人者たちの出汁の取り方が掲載されているが、どれもこれも十人十色。出汁というのはなんて自由なものなのかと、驚かされた。一流の料理人は一流の昆布と鰹節を使っているのだろう。だから本と同じようにやっても、味を再現するのは難しい。背伸びしたって仕方がない。毎日食べるものだから、経済的にも無理なく続けられるように出汁をとっていけばいいのだ。そして、うまいと思える出汁に出会ったら、どうやってつくっているのかを尋ねる。そうやって試行錯誤していくうちに家庭の味になっていくのだろう。

moggy流 一番だしのひきかた

材料

あっさりで身軽な出汁が私の理想なので、分量は目安くらいに思ってほしい。とはいえ、昆布と鰹節から味が引き出せているか、これに関してはポイントがある。

1500cc
昆布 10g 道南産真昆布使用
鰹節 20g 築地・秋山商店の鰹上削り(2番)

水は普通の水道水。1500ccというのは、いつも出汁をとるヤットコ鍋にメモリがついていて、それに合わせている。
昆布はあらかじめに切り分けてあるものを買っている。大きな昆布の場合は、一度に使う量にざっくり切っておくといい。
鰹節は私の手でひとつかみ+α。
konpeito.hatenablog.jp

つくりかた

水に昆布をひたす

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水に乾燥した昆布をひたすと、30分くらいで2倍くらいの大きさにふやけてくる。ふやけたところを見計らって、火をつける。
沸騰するころになると、鍋肌に気泡がわいてくる。そこでいちど、昆布を触ってみる。昆布を爪でつまんで、爪の跡がついたら、昆布を引き上げる合図。
昆布をひきあげたら一度沸騰させて、アクを取り除く。沸騰させることで、昆布独特の磯臭さも飛んでいく。

鰹節を入れる

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火を弱火、もしくは消してしまって、鰹節を一気に投入し、1分待つ。
さて、鰹節から出汁がしっかりでたかどうか、一口食べてみる。しっかり出汁がでていれば、鰹節はまずいはずだ。

漉す

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目の細かい網で、漉す。
無理に鰹節から出汁をとろうとすると雑味がでるというが、ガーゼで漉して端をねじっていくと、余計な力を入れることなく出汁がとれる。

出汁を保管する

万が一、出汁があまってしまったら冷蔵庫で保管すれば数日はもつ。おすすめはタケヤ化学の「手づくり 出汁ポット だし名人」だ。水出しでも一晩で手作りの出汁がとれるという商品だが、すばらしいのは、余計なハンドルもなく、蓋がきっちりしまって、寝かせて保管できるところ。冷蔵庫のポケットに空きがないいことはよくある話だ。耐熱設計だが、蓋をしめる前には粗熱をとってほしい。同商品は現在、次の新モデルになっている。

出汁をとるのは面倒臭いと言ったが、世界的にみたらこんなに楽な出汁はそうそうない。西欧諸国を見渡せば、出汁をとるのに数時間、いや数日。一般家庭でそんなこと、毎日できるはずがあろうか? そう考えると、日本の出汁というのは、手軽かつ短時間でうまみを引き出せるのだから、なかなかにすごい食文化だと思ってしまうわけだ。