
ワンタンが食べたい。
ワンタンが食べたい。
ワンタンが食べたい。
取り憑かれたようにワンタンを欲していた先週。その辺の中華にでも行けばいいじゃないか、とは思いつつ、わざわざ行列に並ぶのも、店を予約するのも億劫な気怠い性格だ。となれば、やっぱり自作するしかないか。
通りがかった新宿製麺でワンタンの皮とメンマを求め、魚屋へ足を延ばし海老を手に入れた。
バナメイを包丁の腹ですりつぶし、錬った豚肉やら調味料やらを念入りに練り込んで、餡は完成。スプーンの柄で餡をすくって皮の端に置き、くるくる巻いて左手でぎゅっと握る、を無心で繰り返す。
当夜は純粋なスープとして、翌朝はワンタン麺とし、満腹感とともにようやく心に平穏が訪れた。

それにしても、よほどワンタン熱が高まっていたんだろう。勢いにのって仕込んだワンタンの餡は半分以上も余っていた。まぁ餃子や焼売の餡同様、この手の練り物はスープに放り込んでしまえば手っ取り早い・・・・・・が、その刹那、錆びついた脳内の記憶メモリがふいに再生を始めた。くり抜いた豆腐に餡を詰めて蒸した「百花醸豆腐」という料理だ。試してみたかったが、わざわざイチからつくるのもなぁ、と棚上げしていた料理でもある。チャンス到来か。
百花醸豆腐は本来、海老のすり身を詰めるのが王道だが、今回は豚入りの混成チーム。中華が二連投となってしまったので、タレは和食寄りの鼈甲あんの気分だ。湯気立ち上る熱々の豆腐に、これまた熱い餡をたっぷりかけて、慎重に口に運ぶ。
しれっと名菜ができてしまった。
餡は餃子に比べて滑らかに仕込んでいるので、豆腐のやわらかい舌触りと馴染む。栄養的にも申し分ないし、食べ応えもある。おまけに残り物感を醸さないビジュアル。
正直、あまり期待していなかったんだが、「もう1個食べていい?」と家人の箸は止まらず、自分の口に入ったのはたった2個だ。
ということで、ワンタンの餡はどれほど余っても問題ないことが立証された。今後も積極的に仕込んでおこう。なんなら百花醸豆腐をつくった残りをワンタンにまわしてもいい。それほど優秀なおかずだった。
ワンタンの餡をリメイク
百花醸豆腐

材料
豆腐 | 1丁 | 6等分 |
ワンタンの餡 | 適量 | |
タレ | 出汁180cc、濃口+薄口醤油30cc(各大さじ1)、みりん30cc、水溶き片栗粉小さじ1 | |
小ネギ | 少々 |