三枚おろしの練習をするのに、アジほど格好の魚はいない。
なにせ安いから繰り返し練習できるし、ごく一般的な魚の形状をしたアジさえ攻略すれば、大半の魚は捌けるようになるはずだ。
2013年の日記を振り返ると、どうやって魚をさばけばいいのか、試行錯誤している様子がうかがえる。3歳児並の魚の絵の横に「魚を捌くコツは肛門にあり!」と赤ペンで書き殴ってあるページを見つけた。
当時は本や動画で独学していたわけだが、初心者にとって難しかったのは、魚のどの部分に包丁を入れていけばいいのかが、うまくつかめなかったことだ。なので、絵を描いてその構造を理解しようとしていたわけだ。
このヘタな絵が功を奏したのかはわからないが、今ではすっかりアジを捌くのも苦じゃなくなった。もしかしたら絵を描くというのは初心者にとってはけっこういい攻略法だったのかもしれない。
アジの三枚おろしを考察する
下手くそな絵で恐縮なんだが、まずはアジの全体構造からはじめたい(上の写真と見比べてほしい)。
ピンクに塗りつぶしたのが三枚おろしにしたときの可食部分、緑の部分は内臓と腹骨、そして赤い線は最初に包丁をいれる部分である。
日本では一般的に、魚の頭を左向きにしておく。その状態で上になるピンクの可食部分が上身、その反対の下側の身を下身と呼ぶ。下身は常に魚自身の体重がかかってしまうため、上身のほうが上等とされる。なので、もし柵で買うとすれば、上身がベターだ。
三枚おろしのゴールは、ピンクの部分のような形に切り分けることだ。
なお、「ぜいご」は突起状の硬いウロコでアジ特有のものである。刺身にするなら皮をひくときにゼイゴもいっしょにとれるが、すぐに食べない場合や焼き魚、フライにする場合はとっておいたほうがいい。
アジの三枚おろし
頭を切り落とす(かま下落とし、たすき落とし)
頭から胸びれの付け根、腹びれの根元にそって包丁を入れて、骨に当たったら包丁をいったん引き抜く。
左手で頭をむこうがわにひっくり返し、裏側も同様に頭から胸びれの付け根、腹びれにそって包丁を入れて頭を完全に切り離す。
なるべく身が多く残るよう、気持ち包丁を寝かせるようにして切り込むのがポイント。
洗う・水分をとる
真水で腹の中までしっかりと洗う。内臓があった部分はささらなどでしっかりと汚れを落とす。
ささらががなくても、魚の骨抜きの手持ち部分や、歯ブラシ、もしく輪ゴムで束ねた竹串でも問題なし。
キッチンペーパーでしっかりと水分もとる。この工程が三枚おろしの最大のポイント。ここからは魚を水につけてはいけないので、包丁や手に残る水分もしっかりとる。
三枚おろしにする
図の赤い線に沿って表・裏に包丁を入れて身と骨を切り離せば三枚おろしの完成だ。
まずは上身の背から包丁を入れていく(もちろん腹からでもかまわないが)。どちらにせよ切り込むのは3回を目途にするといい。
- 1回目は皮を切る。→包丁を差し込む印をつけるイメージで。包丁は立たせ気味でいい。
- 2回目は中骨に沿って身を切る→包丁を寝かせて、中骨になでつけるようなイメージで。切ろうと意識しないほうがいい。
- 3回目に背骨に包丁が当たる→2回目と同じイメージで切る。
重要なポイントは、包丁の刃の全体を使って、なでるように切ることだ。
次に180℃回転させて、腹側も3回を目途に切る。
ここまでくれば骨から身を外すだけ。尾の付け根に包丁を差し込む。
包丁を刃を進行方向に戻す。
左手で尾を固定したまま、包丁を骨に沿って頭のほうへ滑らせるようにして身を切り離す。
けっこう思いきりよくやったほうが身離れがいい。下身も同様にして、切り離す。
上が上身、中央が下身、下が中骨だ。
腹骨をとる
薄い緑の部分を覆う腹骨を取り除く。
骨が突起している赤い線に沿って、逆包丁で一度骨を起こしてあげると、そぎ切りしやすい。
起こした骨に沿って、包丁を寝かせてそぎ切りするイメージで薄く骨をすきとる。
一発ですきとるのではなく、何度か包丁を入れてゆっくり行うといい。
ひとまず三枚おろしは終了だ。
このまま揚げれば鯵フライになるし、皮をひけば刺身になるが、これはまた改めてアップしたい。
とにかく回数をこなすのが上達の早道。失敗してもそれなりの料理になるので心配無用だ。
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魚を捌くのに便利な道具
やっぱり出刃包丁と刺身包丁があると便利だけれど、アジくらいだったらよく研いだ三徳包丁でも十分うまくいく。
個人的に気になっているのは、漁師が舟の上で使っているという舟行包丁だ。出刃よりも小ぶりなので狭い船内でも取り扱いやすく、刺身包丁とペティも兼務してくれるというから、なかなかの万能っぷりだ。