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時速1kmの思考

老いらくの恋。韓国カボチャのナムル

韓国カボチャ, カボッキー, マッチャン, リッチーナ
韓国カボチャ・カボッキーのナムル

「若き日の恋は、はにかみて おもて赤らめ、
壮子時(おさかり)の 四十歳(よそじ)の恋は、世の中に かれこれ心配(くば)れども
墓場に近き、老いらくの 恋は怖るる何ものもなし。」(川田順

本作りの師匠であるW氏に彼女ができた。御年69歳、老いらくの恋といっていいだろう。
きっかけはコロナだったらしい。韓国出身の彼女は居酒屋を切り盛りするだけあってエネルギッシュで、しかも料理が上手いときた。

コロナも収束しつつあった去年の夏まっさかり、久々にみなでW宅に集まることになった。彼女は本場韓国のチヂミをつくってくれるという。せっかくの機会なので、台所で彼女がつくるチヂミを拝見することにした。

「日本のみんなね、チヂミ、チヂミっていうけど、本当は"ジョン"っていう食べ物なのよ」
どうやら「チヂミ」というのは、某地方の方言だというのだ。へぇ~と感心しながら彼女の手元から目を離せない。リズムよくズッキーニが輪切りにされていく。

「あとね、本当は、韓国のカボチャを使うの。でも日本にないから、ズッキーニでもいいけどね」
へぇ~とあんまりピンとこないまま、ズッキーニに粉と卵がまぶされ、フライパンに並んだ。出来上がったチヂミはたいへん美味で、皿はあっという間に空になった。


先日、咲見町のイオンで伊豆産の韓国カボチャ・カボッキーと書かれてた野菜をみつけ、急に彼女の話を思い出したのだ。
彼女の言っていたカボチャはこれだろうか? さっそく写真をとって送ってみた。

「よくみつけましたね~! それにしても大きすぎるね。ジョンにするならもっと小さいやつのほうがいいです。育ちすぎちゃったやつは、切って炒めて、ナムルにすることが多いです」

二の腕ほどある太さの韓国カボチャだ。我が家の20cmのフライパンでは、一枚ずつしか焼けずキリがない。というかパンケーキ状態になるだろう。ズッキーニやキュウリと同様、一日収穫が遅れるとバカでかくなる系の野菜なのかもしれない。
彼女のアドバイスで、急遽ナムルに梶を切る。

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いざ、入刀

二つ割りにしてみると、種ができかけていた。切り口から水分が浮かび上がり、みずみずしい。生で囓ってみると、ほんのり甘く、メロン系の香り。キュウリや瓜系が苦手な自分だが、そっち系統ではない優しい香りだ。

ナムルといえば、胡麻油にニンニクや唐辛子などと一緒に火を入れるのが定番だが、今回は胡麻油を米油で香りを軽くし、塩だけで炒めた。これが正解だったと思う。繊細な韓国カボチャの味がしっかり感じられ、ずっと食べ続けられる飽きの来ないいい惣菜となった。

それにしても、人生は終盤にさしかかってもなにがあるかわからないものだ。
「韓国カボチャはどんぶり一杯食べてもカロリーはないのよ」と健康に気を使う彼女だ。長年の不摂生による太鼓腹をほこるW氏も、みるみるうちに健やかになっていくだろう。恋の力は偉大也。

韓国カボチャ、カボッキーのナムル

つくりかた

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韓国カボチャのナムル
  • 韓国カボチャの種をとり、2mmほどの厚さに切りそろえる。
  • 塩をふたつまみ加え、和える。
  • 中華鍋に胡麻油と米油を小さじ1ずつ加え、中火で熱する。
  • カボチャを加え、焦げないように炒める。全体がしんなりしたら出来上がり。


後日、半分残った韓国カボチャをクミンと炒め、スパイスカレーのお供にしたが、これもまた美味であった。


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