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時速1kmの思考

青菜炒めの「正解」を考える

中華料理屋に行ったら必ずオーダーするものといえば、青菜炒めである。空芯菜、豆苗、ひゆ菜、小松菜。気の利いた店だと「季節の青菜」という札が下がっていて、それを尋ねるのも一興だ。
餃子、麻婆豆腐、エビチリ、炒飯、ラーメンといった主菜はどれを食うか迷いに迷うが、青菜炒めだけは即決。席についたと同時に「とりあえず、ビールと青菜炒め」が第一声となる。

ところで、外食の青菜炒めの値段設定は、かなり強気だ。街中華でさえ1000円程度、1000円を超える店もざらにある。料理人の技術料が転嫁されているとしても、利益率はかなり高いんじゃなかろうか。家でつくれば数百円で済む。

とはいえ青菜炒めほどプロと素人の明暗がはっきり分かれる料理もない。外で食べる青菜炒めは格別だ。青菜が中華鍋に放り込まれ、鍋を煽り、秒で皿に盛るプロの華麗な動作。そんな姿に憧れて力任せに中華鍋をふり続けてきたが、どうも店のような味にならない。わかっちゃいたが、腕の差か? 火力の差か? 移住してせっかくコンロも新調したというのに。

そんなある日、家人が「うまい」と褒めた青菜炒めは、やる気レスでつくったものだった。鍋を持ち上げる気力もなければ飯もつくりたくもない、そんな日である。もしかしたら、鍋は煽らないほうがいいのか。これまで煽りすぎていたのだろうか?という考えが頭をもたげる。そこで華麗な動作は諦め、火力を鍋底に集中させるよう、ゆったりとした炒めるよう心がけるようになった。ポイントは「3A」、

  • 煽らない(Aoranai)
  • 焦らない(Aseranai)
  • 油をケチらない(Abura wo Kechiranai)

この青菜炒めがはたして「正解」かどうかはわかならないが、ひとまず自分としては「正しい」方向に一歩前進したような気がする。
寒くて生野菜を摂取しづらい季節だ。青菜炒めをホットサラダとして常食すれば、食養生になるのではないか、と思いせっせと炒めている今冬である。

使用する鍋はリバーライトの中華鍋(30cm)。
コンロはノーリツの+do(プラスドゥ)。炒め物用の高火力モードあり。
konpeito.hatenablog.jp

青菜炒めの下準備

  • たっぷりの水に10分ほどさらす。その後水気をふり払い、ザルにあげて水気をとる。
  • 食感の違う根と葉は分けておく。
  • 調味液、盛りつける皿などはコンロの横に用意しておく。

青菜炒めの基本の材料

いま落ち着いている基本の分量は以下だ。青菜の種類や季節(身体が求める塩分)によって多少の違いはあれど、だいたいこれでうまくいく。

青菜 160〜180g  
ニンニク 1片 軽く叩き潰してみじん切り
ピーナッツ油 大さじ2
小さじ1/2 粗塩使用。サラサラの精製塩なら控える
調味液 無塩スープか水60cc、酒小さじ2 あらかじめ合わせておく
香辛料 適量 胡椒、鷹の爪、仕上げのごま油などお好みで

ほうれん草を炒める

ほうれん草 1把(160〜180g) ざっくり3等分ほどの長さに切り揃える。赤い根の部分は掃除して割く
ニンニク 1片 軽く叩き潰してみじん切り
ピーナッツ油 大さじ2
小さじ1/2
調味液 スープか水60cc、紹興酒小さじ2、胡椒 あらかじめ合わせておく
仕上げのごま油 少々  
青菜炒め, ほうれん草炒め
青菜に塩をおき、調味液とニンニクを手に届くところにセット。こちらは春菊。
  1. ほうれん草の赤い根に十字の切れ込みを入れ、しばらく水につけておく。水分がしっかりはいると根が反ってくる。土が入り込んでいるのでしっかり洗うこと。
  2. ざっくりと三等分に切ったら、ザルにあげるのだが、葉は下のほうに、茎を上になるように盛り、てっぺんに塩をおく。
  3. 油ならしした中華鍋を中火で点火。ピーナッツ油、ニンニクを加える(油をケチらない)。
  4. 強火にして鍋肌からうっすら煙がたてば、ほうれん草のザルを天地ひっくり返して鍋に加える(茎が下になる)。
  5. ここでかき混ぜない(煽らない)。バチバチっとはぜる音がしたところで、鍋肌から調味液を加える。調味液がしゅぅっと蒸発するところで、手早くかき混ぜる。このときも火元から鍋を離さないこと(焦らない)。
  6. 仕上げのごま油を鍋肌から入れ、仕上げに鍋を煽って全体を馴染ませて皿に盛る。


ところで昔の・・・・・・40年くらい前のほうれん草はえぐみが強くて舌が痺れた記憶がある。品種改良された今では生でも食べられるサラダほうれん草なるものも登場している。やや値が張るが、これを炒めるとトロトロで最高だ。正直、生で食べるより旨いと思う。

あの舌の痺れとえぐみはシュウ酸という成分で、カルシウムや鉄分の吸収を阻害したり、時には尿路結石の原因となるらしく、母は必ず、茹でてから調理していたものだ。
炒める際に、ほうれん草を茹でるか否かは、各方面で論争の的だが、昔ながらのほうれん草を使うなら湯がいたほうが食べやすいのではないだろうか。試してみよう。

ほうれん草を炒める【応用編】

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【応用編】とろーり、ほうれん草炒め

上品な中華料理店で出てくるような、とろりと滑らかな仕上がりを目指す。ポイントは片栗粉なんだが、あらかじめ調味液に溶かして使う。

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湯を沸かすあいだに青菜の準備
ほうれん草 1把 下処理は上記と同じだが、根はとった
下茹で用スープ 水500cc、塩小さじ1弱、油大さじ1 0.8%くらいの塩分
ニンニク 1片 軽く叩き潰してみじん切り
ピーナッツ油 大さじ1
調味液 スープか水を大さじ3、紹興酒小さじ2、塩・砂糖小さじ1/2、水溶き片栗粉小さじ1、胡椒 あらかじめ合わせておく

ではいってみよう。

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茎→葉の順番で湯通しする
  1. 中華鍋に下ゆで用のスープを入れ沸騰させる。
  2. ほうれん草の根を先に、時間差で葉を加える。鮮やかな色になったらすぐにザルにあげる。
  3. 鍋にピーナッツ油大さじ1を加えて強火にし、ニンニクを加える。
  4. ほうれん草を戻し、ニンニクが行き渡るよう軽くほぐし、よくかき混ぜた調味液(片栗粉が沈殿している)を加えて、鍋を煽る。
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片栗粉をまとって全体的にとろりと照りがでる

優しい味わい。とろりとした食感が、まるで飲み物のような青菜炒めだ。ほうれん草の強い味わいは薄れるし、歯ごたえもないが、逆に食べやすいともいえる。一人でひと束、ぺろりといけた。

豆苗を炒める

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豆苗炒め

水耕栽培されている日本の豆苗は葉が小さく、茎が固く筋張っているため味が入りにくい。そこで葉物のほうれん草より気持ち、塩気を強くした。
また、調味液を加える前に上下をひっくり返すようにして大きくかき混ぜてから加えること。なんなら下茹でしてから炒めてもいいと思う。

豆苗 2~3パック
ニンニク 1片 軽く叩き潰してみじん切り
唐辛子 1本
調味液 スープか水60cc、紹興酒小さじ2、塩小さじ3/2 あらかじめ合わせておく

春菊を炒める

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春菊炒め

基本の青菜炒めと同じ。

春菊 1把(160〜180g)  
ニンニク 1片 軽く叩き潰してみじん切り
ピーナッツ油 大さじ2
調味液 スープか水60cc、紹興酒小さじ2、塩小さじ1/2、胡椒 あらかじめ合わせておく
仕上げのごま油 少々

セロリの葉を炒める

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セロリ炒め

基本の青菜炒めと同じ。
セロリの筋はとっておくとベター。

セロリの葉 160〜180g  
ニンニク 1片 軽く叩き潰してみじん切り
ピーナッツ油 大さじ2
調味液 スープか水60cc、紹興酒小さじ2、塩小さじ1/2、胡椒 あらかじめ合わせておく
仕上げのごま油 少々


引き続き、すきあらば青菜を炒めていきたい。