和食とは家庭料理である
日本には食材が溢れている。まったくありがたいことである。
農業の革新によって、夏の野菜は冬でも食べることができるし、その逆もまたしかり。世界中の食材が日本に集まり、TPPによってさらにそれは加速するだろう。ちょっと大げさかもしれないが、日本の食材は、季節も国境もなくなってしまったわけだ。
そんななか、2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、その流れが少しだけ押しとどまったような気がする。
「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」を、「和食;日本人の伝統的な食文化」と題して、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。*1
注目すべきは、登録されたのは「和食」という料理ではなく、「文化」であることだ。文化とは人々の日々の暮らしのなかから生まれるものだから、日本の家庭料理こそが、和食といってもいいんじゃないか。
家庭料理に季節感を折り込むには、
どうしたらいいのか
農水省によれば、和食には4つの特徴があるという。
① 多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
② 健康的な食生活を支える栄養バランス
③ 自然の美しさや季節の移ろいの表現
④ 正月などの年中行事との密接な関わり
この4つを踏まえた家庭料理をつくればいい。すべてなんとなく出来ているような気もするのだが、それにしても③のハードルが高いことよ。相当な人生の余裕がなければ、こんなことを考えながら日々の食事をつくれるはずがない。
ならば、毎日つくらなければいい。月に1度でも、2度でも、自分のペースでやればいいだけのことだ。ちょうど日本には、二十四節気という季節感を表した暦がある。月二回。これなら無理がなさそうだ。さらには酒に合う食事ならば、言うことなしだ。
くつろぎのひと時、八寸
八寸は、会席の中盤あたりで提供される献立である。茶懐石では、一汁三菜の食事のあとに、主人と客が酒を酌み交わすときに出されるので、酒の肴といってもいいだろう。
旬の食材、それも海、山、里の幸を少量ずつ取りあわせた料理が、八寸(24cm)四方の盆(折敷:おしき)に盛って供されたことから、この名前がついた。
見た目にも美しい八寸は、作り手のこだわり、客への思いを表現する献立。ある程度の作り置きができるのも魅力のひとつだ。晩酌が欠かせない我が家にとっては、ぴったりの家庭料理ではないか!
おうち八寸のルール
まずは一年を目標におき、自分のルールを書き出してみた。
① 二十四節気の暦にそって、月2回。
旬の食材を積極的にとりいれるべく、季節感をより敏感に感じられる二十四節気にそって実施する。
② 和洋中にとらわれず、旬の食材を意識する。
和食にとらわれず、自分が食べたい調理をする。イタリアン八寸だって、中華八寸だっていいじゃないか。
③ お金をかけずに、気軽に手軽に。
季節の安い青物をさっと茹で上げただけでも、立派な八寸のひとつである。気張らず、ゆるゆると。
おうち八寸
立春
雨水
啓蟄
春分
清明
穀雨
立夏
小満
芒種
夏至
大暑
白露
寒露
大雪