
ニラ玉が嫌いな家人が「こいつは米泥棒だ」と脱帽したのが、「孤独のグルメSeason7」の最終話に登場した、八丁堀の中華シブヤ風のニラ玉だ。
ニラが好きなわけでもない。硬めに焼いた中華オムレツよりも、バターたっぷり洋食の半熟オムレツを好む家人である。ニラにとっても、玉子にとっても、相思相愛の相手といえるのか、などと、つくづく面倒くさいご意見番だ。そういう料理だと割り切ってしまえばいい話じゃないか。嫌ならけっこうとニラを買うチャンスはめっきり減っている。
とはいえ、強烈にニラを欲する瞬間というものはある。たまりにたまった疲労とか、自律神経あたりの故障がそうさせるのだろう。
中華シブヤのニラ玉は、大量のニラに豚肉を忍ばせた炒めものに、半熟の玉子をかぶせるセパレートタイプ。いわゆる"卵でとじる"慣れ親しんだ形態とは一線を画す。玉子は玉子として主張し、ニラはニラとして匂い立ち、豚の脂が橋渡しをする。前菜の域をでないニラ玉が、がっつり主菜に昇格している。
味付けは濃いのは織り込み済みだ。淡い玉子と白米をかき込む前提なのだから問題ない。しかもニラの香気成分が、豚肉のビタミンB1と結合すると、糖質の分解を後押ししてくれる。米ありきの料理として太鼓判を押されたようなものだ。大いに米を喰うべし。
卵は2個にしたが、3個でもいいかもなぁ。終盤には皿の上で小競り合いが起きるのだ。
築地市場の移転にともない、惜しまれつつ閉店した中華シブヤだが、このスタイルを日本中に広めた功績は、ノーベル賞ものだ。なんせ味の素がシブヤ監修の「町中華 肉ニラ玉の素」を売り出すほどの影響力。店が消えても引き継がれていく料理。料理人にとってこれほど誉れなことはないだろう。
中華シブヤ風ニラ玉

材料
| ニラ | 1束(110g) | 4cmにざく切り。葉と芯は別々にしておく |
| 豚肉(こま、バラ) | 100g | 一口大に切り、少々の塩と紹興酒をもみこむ |
| 卵 | 2個 | 塩ひとつまみ加えてほぐす |
| ラード(あれば) | 小さじ1 | |
| 合わせ調味料 | オイスターソース・紹興酒・水を各大さじ1、醤油大さじ1/2、砂糖小さじ1、胡椒 | |
| 胡麻油 | 小さじ1 |
つくりかた
熱々を食べたいので、中華鍋と鉄フライパン(18cm)の二刀流でいくのが自分流ってことで。
両方とも火でカンカンに熱して、油返しをしておくこと。皿も準備しておいたほうがいい。
- 米油、もしくはラードを中華鍋に加え、豚肉を炒める。8割ほど火が通ったら、ニラの芯も入れて炒める。
- ニラの芯がしんなりしたら葉を一気に投入。軽く炒めたら、合わせ調味料を流し入れて混ぜる。
- 胡麻油で風味をつけ、皿に盛る。
- フライパンに米油少々を加え、卵液を一気に流し込み、ドレスドオムレツをつくる。ゴムべらでフライパンの縁をなぞるように回転させ、ヒダをつくりながらまとめていく。
- 炒まったニラにオムレツをのせて完成。

