「あ〜しば漬け食べたい」
仕事に疲れた山口美江扮するバリキャリOLがそう吐露するフジッコ・漬物百選のCMはいまだに覚えている。「しば漬け食べたい」というフレーズとともに柴漬けが一世風靡したバブル時代。当時10歳にも満たない私は柴漬けがどんなものかも分かっていないまま、「しば漬けたべた〜い」とモノマネしていたものだ。
あれから三十数年たったいま、第二次しば漬けブームが到来している。たしかに、大人になったら「しば漬け」が食べたくなるものなのかもしれない。酸っぱい! と感じていた漬物が美味しく感じるようになったのはやはり加齢によるところが大きいように思える。ピクルスとは違った発酵食品ならではの不思議な酸味を欲する体になってきたということだろう。しば漬けとご飯があれば、一人の昼飯なんかは十分だったりする。
梅雨にはいる直前には赤紫蘇、規格外のナスとキュウリ、新生姜が出回っているから仕込むのは6月の前半。本格的な漬物樽や石がなくても、けっこう簡単につくれるものである。必要なのはのんびり待つ時間くらいなものだ。
しば漬け(柴漬け)
材料
ナス | 1001g(11本) | |
キュウリ | 470g(5本) | |
ミョウガ | 63g(3本) | |
新ショウガ | 119g(1本) | |
天然粗塩① | 80g | 野菜の重量の4%。下漬けに使用 |
水 | 1.5リットル | |
天然粗塩② | 60g | 本漬けに使用。水と合わせて4%の塩水にする |
つくりかた
野菜を漬ける
漬物樽に紫蘇→塩→ナス→塩→キュウリ→塩→新ショウガとミョウガ→塩・・・・・・の順番で隙間無く詰めていく。
うちの場合は漬物樽がなかったので、野田琺瑯のたらいを使っている。白いので漬け汁の色の変化がよくわかる。
最後は紫蘇で全体を覆い、最後の塩を振ったら出来上がり。
なるべく空気が入らないようにラップで包み、皿をおいて重石をのっける。
今回の重石はルクルーゼ鍋。事前によく洗っておくこと。
一晩おくと、水がなみなみとあがってくる。色はややどす黒い。これで下漬けは終了だ。本漬けに移る前に、水に粗塩②を加えて、沸騰させて常温に冷ましておこう。
濁った水を一度ざっと捨てるんだが、さほど神経質にならなくても大丈夫だ。私などは皿で抑えてざーっと流している。
新たに4%の塩水を注ぐ。
なるべく空気が入らないよう、落としラップをして、また重石をしたら、常温で5日間くらい放置する。暖かい気候なら発酵も早く進み、寒ければ進まないので、5日は目安としてほしい。