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時速1kmの思考

世界のトップシェフに学ぶ、最高のスクランブルエッグのつくりかた

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スクランブルエッグといえば日曜の朝食の定番だったが、最近では夜の定番にもなりつつある。とろとろのスクランブルエッグにフォン・ド・ヴォーをかけると赤ワインにぴったりの、安くてうまい前菜になるのだ(夜のスクランブルエッグ、つくりかたはこちら)。

スクランブルエッグは卵料理のなかでも繊細で奥深い。スクランブルエッグという名前を冠していても、調理のさじ加減でまったく違う料理になってしまうからだ。あまたのレシピが存在するのもそのゆえんだろう。いったい世界の巨匠はどんなスクランブルエッグをつくるのか。今回はゴードン・ラムゼイ、ヘストン・ブルーメンソール、ビル・グレンジャーら三人がつくるスクランブルエッグを紹介したい。
注目すべき点は、火の入れ方、使っている調理器具、そして玉子と液体の食材(クリーム、牛乳etc)のバランスだが、共通するのは「低温と忍耐」だ。

それにしても、こんな巨匠のレシピが無料で見られるなんて、すごい時代になったものだ。

ゴードン・ラムゼイ(Gordon Ramsay)の
スクランブルエッグ


直火式/小鍋・スパチュラ

小鍋に玉子とバターを入れ火にかけ、たえずスパチュラでかき混ぜながら、火に近づけたり遠ざけたりして火加減を調整。クレームフレーシュを入れて仕上げる。液体の食材はいれず、とにかく気合いと技術と手際よさでとろとろを目指すスクランブルエッグだ。

玉子 3個  
バター 12.5g  
クレームフレーシュ(Crème fraîche) 大さじ1/2 サワークリームの一種
塩・胡椒 少々  
チャイブ 少々  

ヘストン・ブルーメンソール(Heston Blumenthal)の
スクランブルエッグ

湯煎式/ガラスのボウル・フォーク・ボウルより一回り大きい鍋

ボウルにすべての材料を入れフォークでほぐし、湯を張った鍋に置いて、スパチュラでかき混ぜながら15分ほどじっくりと火を通していく。ホテルのビュッフェで出てくるようなとろとろのスクランブルエッグだ。

玉子 7個  
牛乳 25cc  
生クリーム 20cc  
バター 20g  
塩・胡椒 少々  
シェリービネガー   風味付け
焦がしバター   風味付け

ビル・グレンジャー(Bill Granger)の
スクランブルエッグ

直火式/フライパン・木べら

熱したフライパンにバターをいれ、すべての材料を混ぜた卵液を一気に流し込み、ヒダを寄せるようにして木べらでゆっくり大きくかき混ぜていく。しっとりふわふわのスクランブルエッグ。

玉子 2個  
バター 10g  
生クリーム 80cc
少々  

三者三様だがどれも美味しそうだ。忙しい朝なんかは機関銃よろしくまくし立てるゴードン流がいいし、休日はゆらりとしたヘストン流、子供がいたらフォークで食べやすいビル流がいい。つまり、いつ、誰のためにつくるかで、変わってくるのだ。
我が家では、日曜の朝食はヘストン流の湯煎式を採用している。なぜなら、スクランブルエッグが炒り卵になってしまうリスクを大幅に軽減することができるからだ。リスクヘッジというと、なにも玉子料理に大げさな! と思う方もいるだろう。だがぜひやってみてほしい。成功率は99%だ。逆に夕食は、食べ応えを重視してビル・グレンジャー流だ。
konpeito.hatenablog.jp

隣人愛のスクランブルエッグ

世界各国にスクランブルエッグという料理はある。最後に紹介したいのはインドのスクランブルエッグだ。なんと玉子1000個を使っている。玉子を割るだけで腱鞘炎になりそうだ! 刻んだタマネギと青唐辛子を入れるのがインド流らしい。
どちらかといえば炒り玉子寄りの、大量のスクランブルエッグは小分けに包まれ、近隣の路上生活者に配られている。
栄養満点の完全食。誰もが幸せになってしまうのがスクランブルエッグという料理の魅力なのかもしれない。