7月も終わり。列島すべからく猛暑の日々が続いている。熱海も例外ではないが、32度は越えることは滅多にない。海のおかげか、山のおかげか知るよしもないが、ありがたいことだ。
週末は焼肉にしようと心に決めていた。
湯河原のスーパーで求めた「競合店対抗商品」と銘打った国産牛の切り落としが、焼肉にしてくださいと言わんばかりの大きさ、厚み、脂のノリ加減だったからだ。
梨が安く出回る時期になると毎年、焼肉のタレを仕込んでおくんだが、去年は移住を見越してスキップしていた。焼肉のタレを買いに走るかどうか、悩んでいたところ目に留まったのが、梅シロップだ。
引越にともない冷蔵庫の整理にとりかかったのが今年の正月明け。義母に託された梅1kgが冷凍庫の死角からふいと現れた。県またぎの移動のため作業も二日かかる。冷凍庫から出した梅を丸腰でもっていくわけにはいかず、氷砂糖1kgとともに瓶に突っ込んだ。苦し紛れの梅シロップだったが、梅が凍っていたのが功を奏したらしく、あっというまに水があがり琥珀色の雅な液体になった。引越後の疲れた身体に梅スカッシュと洒落込もうと新居の棚に飾っていたが、酒瓶各種に埋もれてすっかり忘れていたのだ。
焼肉のタレにはいつも、梨かりんごを忍ばせる。梅だったらどうなるだろう。
瓶から取り出した梅はエキスが抜けて、ヤングからアダルトへと変貌をとげていた。囓ってみると、干しあんずのような味わいで、これはこれでうまい。茶請けにとっておこう。
焼肉のもみダレとつけダレ
梅風味の焼肉つけダレ
梅シロップと濃口醤油を1:1の割合で混ぜる。以上。
即席の焼肉もみダレ(肉300g)材料
濃口醤油 | 大さじ2.5 | |
きび砂糖 | 大さじ1 | |
酒 | 大さじ1 | |
みりん | 大さじ1 | ※補足あり |
ネギ | 大さじ2.5 | みじん切り |
白胡麻 | 大さじ1 | |
ニンニク | 1/2片(小さじ1ほど) | すりおろす |
胡椒 | 少々 | |
胡麻油 | 大さじ1 | ※補足あり |
※補足
- 明らかに肉質が固い場合は、みりんをやめて酒と砂糖を増量し、さきに砂糖と酒を肉に揉み込んでから他の調味料を加える。(ミリンは素材を引き締め、酒は軟らかくする。)
- 胡麻油は最後にさっと和えるだけ。先に調味料を肉に吸わせる。
つくりかた
肉を焼く直前に、もみダレで肉を揉み込み、胡麻油をまとわせる。鉄板には脂をしいていないが、胡麻油の力でくっつかなかった。
肉が焼けたところを、梅風味の焼肉のタレでいただく。ほどよい酸味。梅はほんのり。というか梅とはほぼわからない。透き通った見た目も、焼肉屋のそれと比べてなんら遜色ない。
「このタレはなんだ!」
家人は頭をひねっている。目の前にある梅シロップが答えなんだが・・・・・・。
種あかしをすると、「これは特許をとったほうがいい!売りだそう!」と前のめりで焼肉をほおばっている。
そうなると、商品名は「苦し紛れ焼肉のタレ」になるだろうか。「梅ぇ焼肉のタレ」とかどうだろう?
どちらにせよ、梅がいけるなら、桃とかマンゴーの缶詰の汁でもいけてしまうかもしれない。夢は膨らむばかりだ。