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時速1kmの思考

アスパラガスの茹でかた・焼きかた

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飲み友達のSさんが会社で毎年購入しているというアスパラガスを、今年は分けてもらうことになった。包み紙を開いてまずはその太さに眼を見張る。試しに端をポキッとおって口に放り込んでみた。ジュワッと甘い汁が広がり、皮も気にならない。これは自分史上最高のアスパラガスに出会ってしまったのかもしれない。

最近スーパーでも出回るようになったホワイトアスパラだが、個人的調査によれば苦手な人は40代以上に多いと感じる。瓶詰めのホワイトアスパラを食べてきた世代だ。どうもあの調味液とぐにゅぐにゅした食感がいただけないとみな声をそろえる。
たしかに瓶詰めのものと生のものでは、同じ野菜とは思えないほど味が違う。でも昔は瓶詰めしか手に入らなかったし、それを好んで食べていた私でさえ、生を食べるようになってからはもはや瓶には戻れない体質になってしまった。食体験のトラウマとはつくづく恐ろしいものである。

生で食べてもうまい新鮮なアスパラガスは手間をかけすぎずに食べるに限る。シンプルな料理だが、きっとアスパラガスが好きになってしまうはずだ。

アスパラガスをおいしく茹でる

丸元淑生の『システム料理学』によれば、アスパラガスの茹でかたはやや難解だ。茎根のかたい部分、中間の比較的柔らかい部分、穂先の部分は食感が違うから、これを一度に調理しようとすると無理が生じるのだ。といっても立派なアスパラガスを三等分に切ってしまうのは忍びない。欧米にはアスパラを丸ごと茹でる専用の鍋さえ存在するほどで、丸元氏はパーコレーターを使って丸ごと蒸し茹でる方法を提案しているが、西部開拓時代じゃあるまいしそんなもの持ち合わせていない。そこで石黒智子の重ね鍋に入れてみたところ、ぎりぎり入ったのでこれを使うことにした。
konpeito.hatenablog.jp

まずはピーラーで穂先から下の皮を厚めに削る。湯に削った皮とレモン一欠片、そして塩をいれて沸騰させる。レモンがなければ酢でもいい。束にしたアスパラを根元から1/3ほど湯に入れて2分ほど茹ででから全体を沈める。だいたい5分から8分くらいが目安に好みの硬さになるまで茹でる。面倒ならはじめからすべて沈めても問題ない。食感の違いを楽しむだけのことだ。
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アスパラガスをシンプルに食べる

白ワインに合う簡単な冷菜と温菜を二品つくることにしよう。

ホワイトアスパラガスのマリネ

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レモン汁、レモンの皮のすりおろし、酢(今回はシェリービネガー)、小指の先ほどのすりおろしたニンニク、塩、アスパラガスの湯がき汁、オリーブ油をボウルに入れてよく混ぜておく。
そこに茹で上がったアスパラガスを浸して、落としサランラップをしたら冷蔵庫で寝かせること数時間。
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目玉焼きも捨てがたいが今回はポーチドエッグをのせよう。好みで胡椒をふり、ちょうど育ってきたルッコラを数枚添える。初夏の冷菜、一品目だ。
konpeito.hatenablog.jp
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焼きグリーンアスパラガス

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二品目はグリーンアスパラガスを温菜にする。まずは皮をピーラーで削るんだが、こちらは根本から4〜5cmほどの固い部分だけ取り除けば十分だ。20秒ほど湯がいて冷水にとり、水気をとってからオリーブ油でマリネする。
熱したグリルパンにアスパラガスを並べてオリーブオイルをざっくばらんにかけて、じっくり焼いていこう。塩も少々かけておく。

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いい感じに火が通ったら皿に並べて、バージンオリーブオイルを一回し。パルミジャーノを散らして生ハムの布団をかけてやる。

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目玉焼きもいいんだよなぁ。

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サマートリュフを添えたスクランブルエッグも捨てがたい。レシピはこちらへ。

アスパラガスの豆知識

  • アスパラガスは収穫後も自らの糖分を使って成長しつづけるため、根本から固い繊維質になっていき、みるみるうちに風味は落ちていく。料理前に5〜10%の砂糖水に浸しておくと失った水分と糖分を補えるというが、とにかく買ってきたらすぐに調理するのがいいだろう。
  • 固い繊維質になってしまった根本は手でポキッと折ってしまえばいい。このアスパラガスにおける対処法は500年変わっていないというから人類の知恵とは偉大である。こちらのサイトが参考になる。

www.sirogohan.com

アスパラガス専用鍋

収納的にあれなんだが、見てるとほしくなる。パスタも茹でられるから悪くないかもしれないといまさら物欲が……。

アスパラガスの育てかた

なんだか著者の気概を感じる本だ。読むことはないかもしれないが、こういう実用書は価値がある。

参考書籍

丸元淑生のシステム料理学

いかに効率的に栄養を身体に取り込み、家庭料理を豊かなものにするのかに主眼をおいた本だ。レシピなどはとてもシンプルながら、丁寧かつ著者のこだわりを感じる。1982年初版というから、当時は調理という行為に革命を起こした一冊なのではと思う。もちろん、いま読んでも遜色はない。