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時速1kmの思考

2022年のおせち備忘録

2022年おせちの備忘録
2022年元日

あけまして
おめでとう
ございます

2021年の一大事といえば、家を買ったことだろう。
築88年の古民家はそこかしこにガタがきていて、一筋縄ではいかないボロ具合だった。

猛暑を予感させるかんかん照りの6月。がらんとした薄暗い室内は蒸した陰気がビタッと張り付いていた。不動産屋が小走りで窓をあける。

堰を切ったかのように塩気混じりの空気の塊がどどどっとなだれ込んできた。
縁側から臨む水平線はくっきり海と空を分け、真ん中にぽっかり浮かぶ初島、その奥に霞みがかっている大陸は、大島だった。
「いい風が吹きますねぇ」
「そうなんですよ!」それまでガチガチの営業スマイルだった不動産屋がほころんだ。

7月3日。熱海に土石流が襲った。翌日に二度目の内見を予定していた我々は、まさかと目を疑った。テレビから流れる携帯サイズの映像が生々しく、言葉を失った。道路は寸断され、交通手段もなくなり、内見は延期となった。

1週間後、現地に赴く。えぐられた家々や泥の痕が車窓から見え、同行者はみな絶句。市内ですれ違うのは、全国から駆けつけた自衛隊のものものしいトラックだった。いまだ国道は復旧していないが、全国から援助が届いてありがたいと、担当者がこぼしていた。

数日後、契約書に判を押す。
こんなことがあったばかりだし、これからどうなるかわからないけど、ここに住んでみようと腹をくくる。
その後、不動産にまつわる諸問題がこじれにこじれ、家の鍵が手元にきたのが10月。リフォームの話がようやく進み出した年末だった。

年内に引っ越すプランは崩れ、結局、仮住まいのまま新年を迎えることになった。一年のほとんどが蔓延防止措置だったから、外食も数えるほどで、日々の飯づくりに疲弊。心技体の全てがお節づくりを拒否していた。
そこでWakeaiというサイトで伊勢エビをポチったのが12月4日。これでなんとか体裁をとり繕おうという魂胆だった。

クリスマスを過ぎるとスーパーも俄然前のめりでお節の食材を推しはじめる。見て見ぬふりをしてたけれど、海老芋の特売日を境に、ずるずるとお節アイテムの収集がはじまる。

心技体不完全ながらも、なんとか作り上げた2022年のお節はこんな具合だ。

おせち備忘録

紫芋の栗きんとん

紫芋の栗きんとん
ゴッホな栗きんとん
紫芋 3本(皮をむいたら400g程度だった) 繊維が残らないよう厚めに皮をむいて2cmの輪切り
焼きミョウバン 少々
水飴 255g 甘さ控え目仕様
少々
栗甘露煮 市販
あく抜き(12/28)

たっぷりの水に焼きミョウバン紫芋を入れて一晩おく。

ゆがく(12/29)
  • 紫芋をしばらく水にさらして、柔らかくなるまで湯がく。
  • 水気をきって熱いうちに裏ごしをして、アルミ鍋に移す。
  • 水飴を加え弱火にかけ、木べらで鍋底を掘るようにして、ぽってりとするまで練りあげる。
  • 上がりに塩を加え練ったら、ガラスの器に移して粗熱をとり、冷蔵庫に保存。
栗を包む(12/31)
  • サランラップを広げ、アイスクリームスクープ一杯分の紫芋を中央におく。
  • 真ん中に栗を立てて押しこみ、包んでひねって茶巾に絞る。

干し柿クリームチーズ

干し柿クリームチーズ巻
ワインに合う干し柿
干し柿 4個
kiriクリームチーズ 2個 三等分に切る
干し柿でチーズを包む(12/29)
切る(12/31)

鮭西京焼き

鮭西京焼き、ホタテ黄身焼き
鮭西京焼き、ホタテ黄身焼き
塩鮭の切り身 4切れ
大根おろし 半本分
西京味噌(粒) 漬け込む容器にはいるほど
煮きったみりんと酒 大さじ3〜4 つくりかたはこちらへ

※生鮭が手に入らなかったので、大根おろしで塩気を抜いてから使う。新巻鮭などもこの手段で塩気がいい塩梅に抜け、臭みも和らぐ。

鮭の塩気を抜く(12/28)
塩鮭の塩抜き
塩鮭の塩抜きは大根おろし
味噌に漬ける(12/29)
  • 鮭についた大根おろしを洗い流し、水気をしっかりとる。
  • 西京味噌に煮きりみりん酒を少しずつ加え、マヨネーズよりもやや固いくらいに練ってのばす。
  • バットに味噌の半量をしき、キッチンペーパーをのせて平らにして、重ならないように鮭を並べる。鮭の上にもキッチンペーパーをのせ、残りの西京味噌ではさむ。玄関の寒いところで保存。
焼く(12/31)
鮭西京焼き
できるだけ焦がさないように焼く
  • 鮭を味噌床からだし、一人分ずつに切りわけて魚串にさす。
  • 焦げやすいので、弱火でじっくり焼く。

ホタテ黄身焼き(12/31)

ホタテ黄身焼き
焦がさないよう焼く
ホタテ 11個 冷凍の刺身用を使用
黄身 1個分
  • 2%の塩水でホタテを解凍する。
  • 水気をふいて、酒をからめてから魚串に刺す。
  • 弱火で焦がさないように焼く。両面が白くなったら、片面を刷毛で黄身を塗りながら、乾かす程度に火を入れる。2〜3回くり返す。ときどき串を指先で転がしてあげると、串を抜くときの身離れがよい。
  • 熱いうちに串からはずす。

炊き合わせ【海老芋白煮・タケノコ・いんげん】(12/30)

野菜の炊き合わせと裏白椎茸
3の重:炊き合わせと裏白椎茸
海老芋白煮
  • よく洗って、皮を厚めに、なめらかな切り口になるよう一気にむく。
  • 水1.8Lに焼きミョウバン大さじ1をいれ、海老芋を30分つけたら、水にさらしておく。
  • 米のとぎ汁に酢を少々、海老芋を加え、落としぶたをして火にかける。火が湧いたら芋が躍らないくらいの火加減に落としてごく静かに茹でる(とても割れやすい)。
  • 串がすっと通るほどに芋が柔らかくなったら、落としぶたをしたまま少しずつ水を加え、ぬるくなったら芋のぬめりを優しく洗う。
  • 調味液を火にかけ、温まったら芋を戻す。
出汁 薄口醤油 砂糖 砂糖
400cc 15cc 大さじ2 小さじ1/2
  • キッチンペーパーで鰹節をつつみ、芋の上におく。
  • 落としぶたをしてごくごく弱火。30分ほど炊き、そのまま冷ます。落としラップをして冷蔵庫で保存。
タケノコ
  • 水煮を購入したので、臭味をとるためにさっと下茹でし、一口大に切る。
  • 調味液を沸かし、タケノコを加える。
出汁 薄口 みりん
320cc 40cc 80cc 少々
  • キッチンペーパーで鰹節をつつみ、タケノコの上におく。
  • 落としぶたをして、弱火で30分ほど炊き、そのまま冷ます。落としラップをして冷蔵庫で保存。
いんげん
  • 筋があればとり、塩で板ずりしたら熱湯でさっと湯がき、冷水にさらす。
  • 食べてみて、塩気が足りなければ、うっすらと塩を振って3cmほどに切って冷蔵保存。

裏白椎茸

去年は海老のすり身を使ったが、今年はお安く鶏肉で。普段使いもできてけっこう便利。

鶏胸ひき肉 200g モモ肉の場合、バターは少なめに調整する
ニンジン小 1本(10cmくらい)
バター 20g
ショウガ汁 少々
卵白 1個分
マヨネーズ 大さじ1
椎茸 6個 軸をとり、菜箸で傘をたたいてゴミをとる
裏白椎茸を蒸す(12/30)
  • ニンジンを縦四つ割りにし、バターといっしょにレンジで2分ほどチンして柔らかくする。粗熱がとれたら包丁の背でつぶす。
  • ひき肉に塩ひとつまみ、薄口少々、砂糖小さじ1/2、水、胡椒を加えてよく練る(けっこうゆるい種)。
  • 卵白とマヨネーズも加えてさらに練る。
  • ニンジンを加えたらざっくり混ぜる。
  • 軸をとった椎茸の傘の内側に刷毛で小麦粉をはたき、種をたっぷりと塗る。
  • 蒸籠で5分くらい蒸す。

※この状態でラップをして冷凍しておけば、けっこう日持ちする。

軸をとる笠が小さい場合はややえぐっておくと吉種をつくるシイタケに小麦粉をはたく種を盛る蒸すタレをかけながら焼く半分に切って重箱に盛る
裏白椎茸概要
焼く(12/31)
  • 濃口醤油、酒、みりんを同割りにする。
  • 裏白椎茸を魚串に刺し、タレを刷毛で塗りながら焼く(というよりも乾かすに近い)をくり返す。

蓮根甘酢

蓮根甘酢、二色うずら串、手羽先チューリップの素揚げ
蓮根甘酢、二色うずら串、手羽先チューリップの素揚げ
  • 花蓮根に飾り切りして(蓮根の穴と穴の間を包丁でVの字に切れ目を入れる。穴の周りを皮の中心から切れ目に向かって、穴に沿うよう、かつ丸みを帯びるように皮をむく)、薄切りにして、酢水につけておく。
  • 水:酢:砂糖を2:1:0.5で合わせ、塩少々、昆布ひとかけら、唐辛子半分を加える。
  • 蓮根を茹でて、甘酢につける。

二色うずら

うずらの卵 20個
味噌 適量
粉山椒 少々
梅酢 適量
うずらを茹でる(12/28)
  • うずらを茹でる(熱湯で2分)。急冷して、殻をとる。
漬ける(12/30)
  • 味噌(田舎味噌と八丁味噌の合わせ。色が濃いほうがいい)に粉山椒を加えてよく練る。ラップに味噌を塗って、玉子をはさんで1〜2時間くらい漬ける。
  • 赤梅酢に玉子を漬ける。1時間以上漬けると、しょっぱくなるので要注意。

※つけたては色が濃いが、冷蔵庫にいれると淡く退色する。

手羽先チューリップの素揚げ

手羽 人数分
ポン酢 適量

※基本的なつくりかたはこちら。
konpeito.hatenablog.jp

下ごしらえ(12/30)
  • 手羽先をチューリップに捌き、塩少々を揉み込む。詳細はこちらへ
  • 水1L、みりん大さじ1、砂糖小さじ1を沸かし、手羽先を茹でる。冷めたら冷蔵庫で保存。
揚げる(12/31)
  • 高温で色よく揚げ(2〜2分半くらい)、熱いうちにポン酢に浸す。

蟹爪クリームコロッケ

蟹爪クリームコロッケ
重箱におさまらず、セイロに詰めた

黒船亭のレシピを参考に。

12/30にクリームの具を作り、ひとばん冷蔵庫で休ませ、12/31に揚げる。
冷凍庫では具がかたまり切らず、蟹爪をいれた整形後に冷凍庫で保管。

伊勢海老刺身・炙り(12/31)

伊勢エビの刺身と炙り
三浦水産@伊豆の特大伊勢エビ
伊勢エビを捌く(12/31)
  • 流水に1時間つけて、伊勢エビを解凍。
  • 腹の両側にある黒いヒレをハサミで切り取る。
  • 頭のと胴体の境目に包丁を差し入れて、ぐるりと切り離す。
  • 頭と尾の付け根、両側の蛇腹にハサミで切り込みを入れて、頭をおさえて蛇腹の薄皮を剥がしとる。
  • 頭をひねって、胴と切り離す。
  • 腹にスプーンををいれて、胴から身をはがす。背わたをとり、氷水に放つ。水気をとって、キッチンペーパーとラップでくるみ、ステンレスの容器で保存。
  • 大鍋に塩を加えて沸騰させ、頭(20分くらい)と胴の殻(赤く色がでたら取り出す)を茹でて、冷ます。
解凍@洗面所黒いのが胸びれ胸びれとれた頭にナイフに差し込むぐるりとまわす蛇腹の薄皮のサイドを切る頭と胴にも切り込みを薄皮をべろりと剥がす
伊勢エビを捌く
刺身にする(1/1)
  • 一尾はさっと炙り、もう一尾はそのままで。一口大に切る。
  • 胴の殻を器にみたて、盛る。

エビと銀杏のバター焼き

ミニおせち
3日目のミニおせち。おかずが足りなくなり、急遽エビを投入。
  • エビの殻と背わたをとり、塩少々、片栗粉、水少々を加え、揉み込むようにて洗う。
  • 水で洗い流し、キッチンペーパーでしっかり水気を拭き取るり、酒少々、塩をふっておく。
  • エビに銀杏を巻き付け、爪楊枝で刺す。
  • フライパンにバターを温め、弱火で焼く。
エビと銀杏のバター焼き
普段使いできるエビと銀杏のバター焼き

梅流しうどんの効能

温梅おろしうどん
温梅おろしうどん

師走だ。
師走だというのに、謎の腹下しで悶絶している。熱もなければ吐き気もなく、腹は痛いが腹は減り、食べればトイレに直行せざるを得ない事態が続いているので、食事の選択肢が限られてしまう。

基本的には粥、白米、蕎麦、うどんで回しているが、いちばん胃が受け付けてくれてかつ美味しく感じるのが温かい「梅おろしうどん」だった。

つくりかたは常のとおり。出汁300cc、塩を小さじ1/2、薄口醤油と味醂を少々煮立たせ、冷凍うどんを投入。その間に6cmほどの大根をおろす。
うどんが煮立ち大根おろしを汁ごと加えたら煮えばなをどんぶりへ。真ん中に梅干しを埋めて、食す。

まずはスープをすくっては飲みを反復。梅干しが柔らかくなったところを見計らって箸でほぐし、そのまわりのスープを楽しむ。次にうどんをすすり、梅干しをちょびり齧り、咀嚼。

つくづく滋味であり、肢体の全方向に効いているだろうか、とたんにぽっぽと火照って背中に汗がにじり寄り、胸いっぱいの邪気を吐き出す。

梅干し
義母産梅干し

義母産の梅干しは、先日家の整理をしていたときに発掘されたという年代不詳のもので、梅干しというより化石なビジュアルだが、塩加減も酸味もまろやか、ゼラチンでかためたのごとく果肉の歯触りがしっかりしていてクセになる。
メンタルにも好影響なのか、来年は梅干しを漬けてみようかという気運すら高まってくるほどだ。

食後は布団に横になり、ぼんやりと携帯を眺めて過ごす。
すると見過ごせない記事が現れた。



【医師監修】大根×梅干しで便秘解消? 頑固な便秘に効果が期待できる“梅流し”でデトックス

温梅おろしうどん=梅流しうどん。下痢が止まらないのも納得した。健康的な食事療法というものは表裏一体だ。

そんな腹痛の合間を縫って年末の食材を求めスーパーをパトロールしている。去年の築地とは品揃えが違いすぎて、ギリギリに追い込まれているが、なんとか盛り返していきたい。

日式三杯鶏でメリークリスマス

三杯鶏
クリスマス。そうだ、三杯鶏(サンベイジー)をつくろう


ローストチキン
の記事の閲覧数が跳ね上がっていて、はて何ごとかと首を傾げていたところクリスマスイブであったことを思い出した。引きこり生活が板につきすぎてそういう晴れがましいイベントとはすっかり縁遠くなってしまっている。どちらかといえば頭の中は正月のお節でいっぱいの年頃だ。

そういえばスーパーの館内放送で「今年のクリスマスはオリンピックで神聖なチキンを〜♪」と流れていた。斬新なキャッチコピーだと感心してたんだが、よくよく耳を澄ませば「新鮮なチキンを」とのこと。いよいよ耳までも疲労が回ってきているようで、今年はチキンを焼く気概もなければ、借りぐらしでオーブンもない。

そんなクリスマスに完全に出遅れてしまった者たちでも手軽にそれなりに楽しめる鶏肉料理がある。

台湾の国民食である三杯鶏(サンベイジー)だ。
中国料理の世界史:美食のナショナリズムをこえて』によれば1970年代に台湾で広まった料理なので歴史はそう古くないが、たどれば江西省から伝わったものだろうというのが著者の見立てだ。

胡麻油、醤油、酒を一杯ずつ、つまり同割りにして鶏を煮付けることからこの「三杯鶏」という名がついたそうだ。なにが魅力的かといえば、この覚えやすさに尽きる。

和食にも酢、醤油、みりんを同量ずつ合わせた三杯酢、醤油とみりんと酒を同量ずつ合わせた幽庵(祐庵)地などがあって、この同割りという概念はアジア料理の根幹に横たわる大河のようなものに感じられる。



ちなみに合わせ調味料については諸説ある。
志の島忠氏によれば三杯酢は一般的には「杯」と書くが、本来は酢と調味料を配分する意味合いから「配」と書くのが適当で、彼の三杯酢は酢5:薄口醤油5:みりん3の割合である。

幽庵地においても漬け込む食材や料理人の考え方によるところも多く、たとえば先の志の島忠氏はみりん5:醤油3:酒2の割合を基本としている。


調味料に胡麻油を使う点が三杯鶏を中華たらしめるが、その他の特徴として、①土鍋で煮て熱々を食すべし、②九層塔(ジュウ・ツン・タァ)という台湾バジルが味の決めてだ。

とはいっても手持ちには日式バジル紫蘇しかないため、否おうなしに「日式三杯鶏」となった。
紫蘇、赤ピーマン、ネギでクリスマスカラーを演出、鶏肉は手羽先を使ってクリスマス気分をお安く旨く盛り上げる魂胆だ。
調理時間も30分くらいなので、今からスーパーに走ればディナーに間に合うはず。
みなさま、よいクリスマスを!

日式三杯鶏

材料

手羽 8本 足先の関節で二等分する
濃口醤油 大さじ2+α
紹興酒 大さじ2
胡麻 大さじ2
きび砂糖 小さじ2
ショウガ 親指ほど 薄切り。たっぷりがうまい
ニンニク 1片 潰す
長ネギ 10cm 5mの長さで細切り
唐辛子 1〜2本 適当に砕く
赤ピーマン 1個 好みで。一口大に切りそろえる
紫蘇 10枚 5mmほどの千切り

つくりかた

三杯鶏
醤油で洗った手羽先を焼く

手羽先に分量外の濃口醤油を小さじ2ほどまぶし和える。醤油で洗うことで臭みを消しつつ、焼いたときに香ばしい色になるのだ。
10分ほどおいたらフライパンで鶏肉を焼き、こんがりと焼けたら皿にとっておく。

三杯鶏三杯鶏三杯鶏
ショウガの香りをがっつり引き出すのがポイント

土鍋に胡麻油、ショウガを加えて、弱火で香りをがっつり引き出したところに鶏肉を戻す。

三杯鶏三杯鶏
調味料と野菜を加える

紹興酒と醤油を加えたらかき混ぜて馴染ませてから、中火にして野菜を加える。かるくふたをして、たまにかき混ぜつつ煮詰めていく。

三杯鶏
紫蘇はたっぷりがいい

汁気が少なくなったら、紫蘇(もしくはバジル)をかけて、熱々を食卓に。
三杯鶏は飯泥棒的おかずなので、クリスマスではありますが、ぜひ米を炊いておくことを推奨します。

心おきなく銀杏を食べたい

ぎんなん, 銀杏, ぎんなんくんボス
翡翠銀杏

地獄の銀杏割りから数日後、銀杏割り器が届いたので、まだ在庫があるというのに慌てて真鶴へ遠征、フレッシュな銀杏を手に入れた。フレッシュといっても果肉を取り除いた核の部分である。

はるか昔は、イチョウ並木のど真ん中に居を構える祖母と銀杏をひろいながら近所を練り歩き、庭に埋めて果肉を腐らせ、それを丹念に洗い流さねばならなかった。その異臭からしても死体処理班の様相を呈していた祖母と孫なので、すでにここまでやってくれた御仁には足を向けて寝られない。マンション暮らしでは確実に通報される案件だろう。

手に入れたギア(銀杏割り器)の筆おろしを祝してか、今日も清々しい冬晴れだ。
さて、自分が習った銀杏の下処理はこうだ。

  1. 銀杏割り器で殻を割る(薄皮がついている状態)。
  2. 銀杏が重ならないよう鍋に入れ、銀杏にひたひたほどの水に重曹をひとつまみ加えて火にかける。
  3. 穴のあいたお玉の背で銀杏を転がしながら、薄皮を取り除く。湯が減ってきたら都度足す。
  4. 八分通り薄皮が剥けたら(だいたい20分くらい)、流水にさらす。

ところが手持ちの本を捲ってみると、聞き捨てならない記述を目にする。

・銀杏を一晩水につけておけば、銀杏の殻を割ると同時に薄皮もつるりとむける。
・銀杏を重曹水でゆがく意味はなく、塩水でよい。

それならばと、昨日から銀杏はたっぷりの水につけておいた。そして今朝、部屋中に漂う異臭で目覚めたのだ。水を含んだ銀杏は一回り大きく膨らんでおり、その異臭は不気味に泡だった水から放たれていた。よもや水死体・・・・・・まぁいい、とりかかろう。

はじめの数個の銀杏は見事に実をクラッシュさせてしまったが、数をこなしていくうちに器具のコツがわかってきた。
ひとつに、銀杏は器具の奥までしっかりいれること。次に、銀杏のやや尖ったほうを上に、かつ2本(ときどき3本あるが)の筋を挟むようにして器具にセットするとうまく割れる。

ぎんなんくんボスぎんなんくんボス
(左)奥までしっかり入れると実が潰れない(右)筋を挟む

残念なことに薄皮はしっかり残ったままで、水につけておいた効果はまったく感じられなかった。
浸水時間が長すぎたのかもしれないと思い、後日、1〜5時間の幅で一時間毎に殻を割ってみたが、やはり薄皮が簡単にとれるという事象はみることができなかった。
ただし、殻がふやけて柔らかくなるので、浸水時間に比例して握力的に楽に割れるのと、殻が飛び散らないのが利点かもしれない。

前回1時間以上かかった殻割りは30分短縮し、明らかに効率がよくなった。さすが専用の器具だ。「さっさとかっておけばよかった小道具リスト」に追加すべきかもしれない。
殻を捨て、薄皮をむく作業にはいる前に手を洗う。どうも臭いがとれない。入念に洗う。ごしごし擦る。そして気づいた。

重曹をひとつまみいれるのは、この臭いをとるためだったんじゃないか、と。掃除好きならご存知だろうが、重曹には消臭効果がある。

さらにもうひとつ、重曹については以前「ワラビのあく抜きとその科学」でも書いたことがある。

マヤやアステカの古代人はトウモロコシを、灰や石灰でつくったアルカリ性の溶液で煮ることで外皮を除きやすくして(ニシュタマリゼーション)トルティーヤをつくった。

ワラビのあく抜きとその科学 - mogu mogu MOGGY

そう、いまから銀杏の薄皮をむかんとしているのは、これと同じ効果を期待できないだろうか?

ついでにいえば、アク抜きをしていないワラビ同様に銀杏も、オーバードーズすると中毒を起こす。かつて食糧難にあえいだ戦時中には食べ過ぎで死に至るケースもあったという。
「銀杏は歳の数だけ食え」というのも死者を出さぬための啓蒙に勤しんだ先人の知恵なのだろう。なので自分も、御年70越えた板長の言葉を信じて、これからもまじないほどの重曹を加えることにした。科学的根拠など一切なく、ある意味オカルト的な境地から信じることで救われることもある。

銀杏を鍋に入れ、ひたひたの水に重曹ひとつまみ、点火。
お玉の背で転がしながら気長に薄皮がむけていくのを眺める。幼児の頬を撫でるかことくあくまでも優しく。皮がめくれていくごとに、鍋肌にも茶色い膜のようなものがへばりつく。アクだろうか?

銀杏をゆでる銀杏をゆでる
穴あきお玉で転がしながら

この作業ですべての薄皮を取り除くのはむずかしく、最後は流水にさらしながらの人力作業だ。指の腹でこすりながら、腰痛がぶり返していることに気づき、改めてこんな晴れた日にやるべきじゃないな、と思う。

ラストスパートだ。薄皮がむけた銀杏を鍋にいれ、同割りの酒と水をひたひたに注ぎ、煎っていく。ヤットコで煽りながら、水分がぎりぎりに煮詰りそうなところで塩を加え、完全に水分を飛ばす。薄皮をとったときの銀杏にはなかった艶がでており、思わず味見と称して口にポンポンと放り込む。もっちりとしてプーンと香り、うまい!

銀杏, ぎんなん銀杏, ぎんなん
水分がとぶと銀杏に艶がでてくる

バットに移して粗熱がとれたら、ジップロックにいれて即冷凍。これでいつでも、好きなだけ銀杏が食べられるのだ!
ということで、さっそく炊き込みご飯を仕込むことにした。

銀杏, きのこ, むかご, 炊き込みご飯
秋の大三元

銀杏むかごキノコをこれでもかと釜にぶち込む。秋の大三元飯と呼ぶにふさわしい炊き込みご飯だった。

さっさと買っておけばよかった台所の小道具

モノが捨てられない質が災いしてか、もしくは「ないならないなりに」という親の教えが染み付いているせいか、モノを買うときは吟味に吟味を重ねすぎて無為に時間ばかりがすぎていく。石橋を叩きまくったあげく渡りそびれるタイプだ。

「あったら便利かもしれない」「なくてもなんとかなる」「専門性が高い」「代替案がある」「安くとも高くともない」
こういった要素が強い商品は「まぁ今でなくともいいか」と後回しにしがちだが、こちらが油断した頃合いを狙ってまた購買意欲を刺激してくるので、さらに無駄な時間を費やすことになるのだ。

「モノが増える」「単なる無駄使い」「使えなかったらどうしよう」などなど負の真理を乗り越え、「さっさと買っておけばよかったよ!」という高みまで昇華した道具はもう一生手放せないだろう。

ちょうど今日はブラック・フライデー、アメリカでは感謝祭(Thanks giving)にあたるらしい。アメリカの友人は毎年「よいThanks Givingを!」とメールをくれるが、正直、そういう習慣がないのでどう返してよいかわからずほぼスルーしてしまっていたが、いつのまにか日本にも名前をかえて上陸していたことを知ったのは、ついさっきだ。

ということで、日本列島の買い物気運が高まっている今こそ紹介したい、買ってよかったキッチン小道具を集めてみた。
それもこれも、「よいブラックフライデーを!」と言ってみたかったに他ならない。

調理器具編

クレーバートング エコノミータイプ




クレーバートング エコノミータイプ

外寸 :240mm
製品重量:60g
材質:18-0ステンレス・オールサテン仕上
原産国:日本
そのまま置いても卓上につかない

もはや箸や茶碗と同じレベルで「一人一本」がマストだと豪語したい細身のトング。
出番が多いのは焼肉すき焼き・しゃぶしゃぶといった肉鍋料理。薄い肉でもがっつりつかんで離さない。「菜箸でもいいじゃないか」と思っていたが、フライパン上での細かい作業さえ断然スピーディかつ楽になった。
テーブルに置いても先端が少し浮く形状で衛生面にも配慮されている工夫がすばらしい。

ステンレスのパイ皿




210mm 大 ステンレス 日本製

半調理した食材の一時置きとして使っている。中華なんかには有効で、「入れるの忘れてた!」といううっかり予防になる。
肉や魚を皿ごとオーブンで焼く正攻法はもちろん、鍋やフライパンの蓋としても使い勝手がいい。スープを煮込むときはパイ皿蓋の上にレードルや木べらを仮置きできるのが地味に便利である。ただし蓋にする場合は熱くなるので指の皮を厚くするなど鍛錬が必要となる。
縁の立ち上がりが緩やかなので、バットより洗いやすいのも嬉しいポイントだった。

サラダスピナー




サイズ展開が豊富(ノーマル、M、ジャンボ、スマートボウル、バケツタイプ、ビッグ)

冷蔵庫を買ったオマケに電気屋からもらったときは、「もっといい物くれよ」と悪態をついていたが、いまや必需品。やや収納が嵩張るものの生野菜は俄然生き生きするので、サラダ生活が楽しくなった。
初代は10年の時を経てついに壊れたので代用品を探していところ、図らずもまったく同じ商品が届く。蓋は進化しており、より軽い力で回しやすくなっていた。

角型の菜箸




サイズ:30cmと33cm
素材:国産天然竹 日本製

調理中に菜箸が転がって落ちる。これほど地味で苛つくストレスはなかったが、一発で解消してくれた角形。いろいろな太さがあると便利なので、都度買い足すようになった。
ボウルの上に橋渡しをして、その上にザルをおき、出汁を漉すといった、丸型ではできなかった作業もこなす。

お助けスプーン




【日本製】 ステンレス 取り分け サービススプーン 燕三条

一見ただのでかいスプーンだが、大皿料理(炒め物、麻婆豆腐アクアパッツァ、ピラフなど)を取り分けるには絶妙の大きさ、深さ、厚み。一度で適量をすくえるし、柔らかい豆腐や魚も崩すことなくサーブできる。何度もすくわなくてよいからこぼす率もおのずと減った。
金属製のスポンジはNG。

茶筅型ホイッパー




貝印 ドレッシング ウィスク kai SELECT 100 DH-3118

●サイズ:165×47×47mm ●重量:78g ●材質:ステンレススチール

少量のドレッシングをつくる、玉子をほぐす、味噌をとるなど、ケーキ用のホイッパーでは手に余るときに重宝する。
しかもワイヤーの先端がループしていない茶筅型がこんなに洗いやすいとは目から鱗。洗いやすいからまた使おうという気になるよい循環を促してくれる。

アイスクリーム・スクープ




サイズ展開複数あり:大(大さじ3)・中(大さじ1.5)・ミニ(大さじ1)

肉団子を超高速かつ均等に丸めることができる時短道具。
焼売の皮を将棋盤よろしくテーブルに並べ、スクープでとった肉をリズムよく配置し、空気を抜きながらつつヘラで包むと、通常の倍速で焼売ができあがる。OXOの40ml(大さじ1.5)と30ml(大さじ1)を愛用。

ミニ焼き網

食材を炙るには魚串が便利だが、手持ちの本数に限りがあるし、身の薄い魚においては崩れることもしばしば。そこで目に止まったのが小さな焼き網だった。直径16cmで手持ちつき。トレーをはずして、ガスの直火で炙っている。ネギや刺身など、本当にちょっとしたときに便利な大きさで、必要十分の機能。網は食材を点で支えられるよう波形に加工してあり、しっかり熱くしてから食材をのせるとこびりつきも少ない。

餃子ベラ

餃子専用のヘラを再掲。餃子においては必携の道具で、そのへんのナイフでは味わえない餡のキレの良さである。
餃子や焼売以外には、パンにマヨネーズやマスタード、玉子スプレッドを塗るときに便利なので、サンドウィッチ率が高い我が家では週に3回は登板している。
ペースト状の食材を扱うにはいちばん無駄がでない形状になっているのかもしれない。

Microplane おろし器




Microplane プレミアム ゼスターグレーター ブラック MP-0611

適応食材:ハードチーズ・ハードチーズ・チョコレート・タマネギ・アーモンド・ ナツメグ・ニンニク・ペッパー・シナモン・ジンジャー・柑橘類の皮

岩のように固いパルメザンチーズやナツメグから、レモンやユズの外皮といったしっとり系まで、さっとなでるがごとくバッサバサと削れるおろし器界の精鋭部隊。
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掃除編

水切れの抜群のスポンジ

スポンジほど毎日使い、あれこれ浮気してきた商品もないが、たどり着いたのはパックスナチュロンのスポンジだった。泡立ちがよく、水切れが抜群で乾きが早いのでカビることがない。もしカビたとしても漂白剤につけておけば復活する。
亀の子スポンジも遜色ない働きをしてくれたが、価格的にもパックスナチュロンに軍配があがった。

ゴム手袋




サイズ:SとM
商品ラインナップ:キッチン、センシティブ、アウトドア、バスルーム

コロナ渦と食器洗浄機がなくなった生活の末、持病に手荒れが加わってしまった。こうなると素手での洗い物は拷問に等しく、防戦一方である。最後の砦はゴムとなった。
指のグリップが効いているのか洗剤でぬるついた皿を落とすこともなく、ゴム素材も他と比べて厚手で破れにくい印象。使用感としては、半年に一度くらいの買い替えだ。
とにかく、手荒れだいぶ改善した。

海をまもるキッチンブラシ




サイズ:長さ11cm
ブラシ部分:特殊ポリエステル、ゴムラテックス
柄部分:ポリプロピレン(耐熱100℃)

1000円するブラシなど買ったことがなかったので相当悩んだ商品だ。
ブラシ部分の素材は毛足の長いゴムで、コシがかなり強い。このコシのおかげで、ザルや目の立ったおろし器なんかが洗いやすい。
洗剤を使わなくても汚れがおちるという触れ込みだったが、油汚れには不向きなようだ。
またゴムが密集しているので乾きにくく、ときどき黒くカビることがあるが、漂白剤につけておけば新品同様になる。
すでに5年ほど使っているがいまだ現役と考えると、費用対効果はよいといえる。