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時速1kmの思考

【暮らしの道具】長谷園の「かまどさん」

「おめでとう。これ使ってみて」
祝いの品と友人から手渡された箱は、見た目よりもずっしりしていて、ちょうど骨壷のようだ。早速あけてみると、それは黒い土鍋だった。長谷園というメーカーで、読み方はあのお茶漬けの永谷園と同じだ。
「それでお米を炊くと、美味しいよ。うちも使ってるんだ」



長谷園 土鍋 ご飯鍋 かまどさん 二合炊
21 cm 直火 専用 黒 伊賀焼 日本製 鍋敷き & しゃもじ & レシピ 付 CT-03

もらったときは、嬉しいような、参ったような、複雑な気分ではあった。毎日のことなのに、わざわざ土鍋で米を炊くなんて、ハイセンスな雑誌に出てきそうな理想の家庭だが、このずぼらな自分には手に余るんじゃないか。ふと頭に浮かんだのは「はじめチョロチョロ中パッパ、赤子泣いてもふた取るな*1」という謳い文句だ。

炊飯器が普及する前と後では、旧石器時代新石器時代かくらいの差があるように思える。後者の時代に生まれた者にとっては、この節の意味するところがいったいどんな状況なのかさっぱりわからないが、たしかに昔、母が口ずさんでいたことを覚えている。しかも炊飯器の前で。
母の家に初めて電気釜がやってきたのは、母が10歳のころだったという。家から数キロいった北条に三洋電機の工場があったから、電気釜をはじめ冷蔵庫、テレビなどの白物家電はすべて三洋製だったと彼女は記憶している*2。それまでは“おくどさん”で米を炊いていた。拾ってきた茶色に枯れた松葉を竈にくべ、マッチで火をつけ、火が大きくなってきたころあいに薪をくべる。「はじめチョロチョロ中パッパ」。そういいながら米を炊く祖母を見て育ったから、母のDNAにも深く刻み込まれているのだろう。マッチを摩るのが怖くてたまらなかったそうだ。「今となっちゃみんなおくどさんで炊いた米がうまいとか言ってありがたがるけど、毎日のことだから大変だよ。誰もつくり手のことなんて考えないんだから。電気釜のほうが楽だし、よっぽど米もおいしいわ」と彼女はいう。

さて、私がそれまで使っていたのは、一人暮らし用の小さな電気釜だった。聞いたこともないメーカーだし、機能的にはあれこれと問題はあったものの、場所もとらないし、壊れてもいないので、買い替える必要性はみじんも感じていなかった。

新しい土鍋を前にし、説明書に目を通す。基本的にはいつもの手順と同じだ。米を研ぎ、鍋に入れる。そして規定量の水…ここでひっかかる。説明書では、二合の米に対して、400ccの水を入れるとなっているのだ。それまでは水と米を同量で炊いていたが、水は米の1.1倍入れることを三十路も過ぎて学んだのである(ただし新米は例外だ)。三十年間、ろくに米も炊けなかったのかと思うと、なんだか情けない。

そして、いざ火入れの時を迎え、妙な緊張感が走る。「はじめチョロチョロ中パッパ」、これは米を炊くときの火加減のコツを手短に唱っている。つまり、弱火から(はじめチョロチョロ)、一気に強火にし(中パッパ)、蒸らす(赤子泣いてもふた取るな)わけである。再度説明書に目を落とす。

中強火で12分。その後20分蒸らす

以上だ。火加減は必要ないのである。あまりにそっけない文章に、これがラブレターだったら号泣するところである。

日本製の炊飯器と言えば、科学技術の粋が詰め込まれた文明の利器だ。炊飯器を買うためにわざわざこの極東の地を訪れる人がいるくらいだから、白米文化に住む者にとっては夢のような魔法の釜、黄金の国ジパングに炊飯器ありなのである。電気釜のなかで、「テルマエ・ロマエ」よろしく奴隷たちが「はじめチョロチョロ中パッパ」を絶妙に制御している…わけではない。

にもかかわらず、この旧石器時代の土鍋は、そんなことはおかまいなしに、ただ火にかけるだけなのである。しかも、わずか十数分だ。手持ちの炊飯器では30分はかかるというのに。とはいえ、この土鍋もその後20分蒸らすわけだから、合計は32分かかることになる。しかし、だ。やはり味が違うのだ。

ことさら新米を炊くとその違いが歴然だった。黒い釜の中で艶やかな米がびっしりと敬礼している姿にはほれぼれしてしまう。炊きたての米が最高だけど、そうもいかない場合は熱いうちにラップして、冷凍庫へ入れる。保温機能がないのはある意味何かを切り捨てたような、晴れ晴れした気分になれた。炊飯器で保温された黄ばんだ米とはすっかりご無沙汰だ。

もちろん土鍋だから、米を炊くだけにその使命はとどまらない。鍋物は当たり前のこと、洋風の煮込み、アラブの蒸し料理など、その調理の可能性は計り知れない。この土鍋には蓋が二つ付属しているのが大きな特徴のひとつだ。内蓋には一種の圧力鍋のような効果があるようで、スネ肉や羊などの固い肉もほろほろに柔らかくなるのだ。しかも圧力鍋と違って、調理中に蓋を開けていつでも料理の様子をうかがえる。

そういえば、今年に入って不注意から外蓋を割ってしまった。それでも迷うことはなかった。新しい炊飯器を買うという選択肢はもはやなく、買ったのは外蓋のスペアパーツだ。もちろんバカ高いわけでもない。壊れたら次の新商品を、という時代に、同じものを長く売り続けることは大変だろうが、買う側からしてみればこんなにありがたいサービスはない。だからまた、いっそうの愛着も湧く。

ところで、この土鍋を使うようになってから、ひとつ買いましたものがある。キッチンタイマーだ。手持ちのiPhoneにもタイマーはついているが、料理中に携帯をいじるのも不衛生だし、最終的には火を消すのが目的だから、結局キッチンには出向かなければならないのである。ならばキッチンに常設してある大音量のタイマーの方が便利だ。二連式なので、ご飯を炊きながら、半熟卵を茹でるといったこともできるので、重宝している。




dretec(ドリテック) ダブルタイマー デジタル ホワイト T-551WT

サイズ:7.5×7.5×1.0cm

この土鍋を使いはじめてからはや四年。つまり姓が変わって四年、長いようであっという間だった。日々米を炊いて、食べて、また研いで、秋には新米が届く。そうして歳を重ねていくのだろう。いつまでそんな暮らしが続くかはわからないが、そんな平々凡々たる暮らしを支えてくれているのが長谷園の「かまどさん」だったのだ。

*1:「はじめチョロチョロ中パッパ、ジュウジュウ吹いたら火を引いて、ひと握りのわら燃やし、赤子泣いてもふた取るな」というロングバージョンもあるようだ。こちらのが懇切丁寧な説明だ

*2:三洋電機で炊飯器の第一号EC-601型が発売されたのは1958年(昭和32年)のことだ。母が1949年生まれだからほぼ記憶は正しいようだ

【続】三ツ星『シェフ』を目指せ! キューバサンドイッチへの道⑤〜キューバブレッドを焼く

先日の記事キューバサンドイッチは一度お休みしようと思っていたのだが、やはりキューバブレッドなるものが気になってしまったので焼いてみた。
参考にしたのは、前回紹介したFood WishesのシェフJohnのレシピだ。
foodwishes.blogspot.jp

キューバブレッドを焼こう

材料

スターター   パンを焼く前日に仕込む
温水 120cc  
強力粉 60g オリジナルではオールパーパスフラワー
アクティブ・ドライイースト 1.5g 赤サフ使用
生地    
(A) アクティブ・ドライイースト 7g 赤サフ使用。※1
(A) 砂糖 小さじ2 きび砂糖使用
(A) 温水 180cc  
植物性ショートニング 大さじ3 オリジナルではラードを使用
小さじ2  
薄力粉 90g ※2
強力粉 270g ※2
植物油 適量 乾燥防止のため
※1 メモ

アクティブ・ドライイーストは、予備発酵を必要としないイーストだ。オリジナルの分量は1 packageだが、赤サフ(インスタント・ドライイースト)を使う場合は、もう少し抑えてもいいかもしれない。この分量では、驚くほど速く発酵する。

※2 メモ

オリジナルでは中力粉(オールパーパスフラワー)と強力粉を1.5C(180g)ずつ入れているが、中力粉が手元になかったので、上記のような配分にした。

つくりかた

① スターターをつくる

材料をすべてボウルにいれて、よくかき混ぜ、ラップをかけて冷蔵庫で一晩寝かせる。

② 生地をつくる

(A)を混ぜて、15分おく。イーストが反応して少し泡だってくるはずだ。
冷蔵庫から出したスターターを一度撹拌し、②へ入れて混ぜる。

オリジナルのレシピでは、スターターのうち1/4カップ(60cc)を、次のパン作りのためにとっておいてもよいとあるが、今回は全量を入れた。そのため、生地はかなりゆるくなるので、その分、分量外の打ち粉が多めに必要となった。

③ 他の調味料をいれる

砂糖、塩、ラードを加えて混ぜる。

④ 生地を練る

小麦粉を少しずつ足しながら、生地をまとめていく。120gほど小麦粉を残し、ある程度まとまったら、調理台の上のせて練る。

残した粉を打ち粉にして捏ねていくが、だいぶ生地がゆるかったので、分量外の打ち粉もしながら練る。ショートニングの固い塊(冷蔵庫にはいっていたのでかちこち)が滑らかになるくらいを目安に、調理台に生地がつかなくなるまで練った。

⑤ 成形して一次発酵する

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丸く成形した生地をボウルに入れ、乾燥防止の油を塗り、絞った濡れ布巾をかぶせて一次発酵させる。オリジナルでは2時間だが、1時間ほどで2倍に膨らんでいた。

⑥ パンチングして成形する

生地を打ち粉をした調理台に戻し、空気を抜くようにして優しく押さえながら、長方形の形に整えて、2分割する。
手で生地を押さえながら、全長およそ30cmくらいの平たい長方形に整え、端からきつめに巻いていく。

⑦ 二次発酵

継ぎ目を下にして置き、上から軽く押さえながら、均一の太さになるように成形する。乾いた布巾をかぶせ、二次発酵させる。オリジナルでは1.5〜2時間とあったが、1時間ほどで倍に膨らんでいた。↓moggy発酵中 https://68.media.tumblr.com/6716bc53d441a57fa95566eaabfe2e20/tumblr_on3rk1cpis1qbz7lgo1_1280.jpg

⑧ パンに切れ目をいれる

発酵後、良く切れるナイフで、パンの中央に縦の切れ目を入れる。

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⑨ 焼く

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パンに霧吹きで水をかけて、200℃で20〜25分焼く。うちのオーブンは少し強いので、190℃で15分で焼いた。なので、見た目は少し白い。ただ、結果これでよかったと思う。というのは、サンドウィッチにするときに、またグリルパンで焼くからだ。

⑩ 完成

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15分ほどラックで休ませる。
焼きたてはふんわり柔らかくきめ細かい。食感はコッペパンのようで、サンドイッチにするにはふわふわすぎて心配になるくらいだ。風味もよく、危惧していたイースト臭もなかった。
翌朝、満を持してサンドウィッチにとりかかる。

キューバサンドイッチをつくろう!

2. ローストポークを温める

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3. 具を挟む

パン(底部)に、ローストポーク、チーズ、ピクルスをのせて、もう片方のパンにはマスタードを塗り、サンドイッチをとじる。

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konpeito.hatenablog.jp

4. サンドイッチを焼く

パンの上部とグリルパンにバターをたっぷり塗り、鉄板などで押しながら焼く。片面3分、両面とも焼く。

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5. できあがり

パンがこんがりと焼き上がり、チーズが溶けたらできあがり。

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食べる

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ふわふわだったあのパンが、こんなに変貌するとは想像もしなかった。外側はバターでカリッと焼けているが、ほどよくやわらかさが残ったサンドイッチは、歯切れが良くて食べやすい。どうやらこのパンは、そのまま食べるよりも、焼いてから本領発揮するようだ。

ハード系のバケット類を使ったヨーロッパの噛み応えのある洗練されたサンドイッチとは違い、甘みのあるパンがどこか懐かしく、ジャンクだが勢いがある等身大のサンドイッチ。ローストポークとバターの香り、そして酸味のピクルスとマスタードが絶妙。もう一口、もう一口と、止まらなくなってしまい、二日連続で食べてしまった。しばらくはどっぷりはまってしまいそうだ。
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【二十四節気を食べるおうち八寸】春分の献立

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2017年3月20日/太陽視黄経 0 度
日天の中を行て昼夜等分の時也(暦便覧)

春分の八寸

新玉葱と鶏皮ポン酢

スライスした新玉葱を冷水につけて水気をとり、湯がいた鶏皮、ネギをそえてポン酢をかける。

水菜と豆腐のサラダ

水菜、豆腐、トマトを一口大に切って和風ドレッシングで。

ニシンの開き
鶏皮と大根のスープ

鶏皮ポン酢を湯がいた汁で角切りの大根をいれて塩、胡椒で味を調える。

五目豆

母からのおすそわけ。

高野豆腐

母からのおすそわけ。

虎豆の煮豆

母からのおすそわけ。

これまでのおうち八寸まとめ

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三ツ星『シェフ』を目指せ! キューバサンドイッチへの道④〜ついに完食


そういえば、すっかりキューバサンドの記事が尻切れとんぼになっていたことに、先日気づいた。そもそも去年パソコンがクラッシュしてから、ブログを更新が滞り、食べたことすら忘れていた始末なので、後ればせながらご報告まで。前回は、肉を焼いたところで終わっていたはずだ。これまでの記事はこちらをご覧ください。
konpeito.hatenablog.jp
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ジョン・ファヴローキューバサンドイッチのつくりかた

材料(6人分)

茹でたハム 170g 薄切り。1人当たり約28g、映画では2枚
ローストポーク 340g 薄切り。1人当たり約57g、映画では3枚
バター たっぷり 室温に戻しておく
バゲット 6切れ 15cm(6インチ)のもの
イエローマスタード たっぷり ディジョンマスタードではなく、アメリカの黄色いやつ
スイスチーズ 227g 1人当たり約38g、映画では2枚
ハーフサワーディルピクルス 3つ 縦に薄切り。映画では2枚。half-sour dill picklesは、酸味の少ないピクルスで、浅漬けのようなものらしい

アメリカ人仕様のボリュームのあるサンドイッチなので、これをアレンジしてつくったほうがいいかもしれない。
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つくりかた

  1. グリルパンでハムを中火で焼いていく。一度ひっくり返し、色付くまで1分ほど焼き、別皿に移しておく。
  2. 半分に割ったバケットの内側にたっぷりのバターを塗り、黄金色になるまで1〜2分焼き、調理台に移す。
  3. バケットに、ハム、ローストポーク、チーズ、ピクルスの順に重ね、マスタードをたっぷり塗ったバケットでサンドイッチを閉じる。
  4. たっぷりのバターをハケバケットに塗り、さらにバターを塗ったグリルパンの上において、鉄板を押し当てながら中火で焼いていく。パンが黄金色になりチーズが溶けるまでだ。片面3分(つまり両面6分)が目安。パニーニプレスで調理するなら3分だ。

とにかくバターもマスタードも肉もケチらずたっぷり入れるのがキューバ流か。日本人にはちとこってりすぎるかもしれない。マヨネーズが入っていないのが意外だった。

それにしても映画を見返すたびにパニーニプレスをポチりそうになる衝動を抑えるのが大変だ。物欲がむらむらとわいていくる。しかも思ったより安いんだよ。唯一の問題は、置き場所だ...。今回は鉄のフライパンで上から押さえつけてつくる。

ついに念願の家キューバサンドイッチ!

バケットは、リラック大崎店で焼いているニッツァを使った。通常のバケットよりも水分が多いのか、やわらかいがもっちりとした食感だ。
また、バターはバケットの内側のみにたっぷり塗った。

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一口食べて、色んな意味で感動した。たしかに、とてもシンプルでうまいこともあるんだけど、ここまでたどり着いた達成感のほうが強かったのかもしれない。その見た目にも満足している。ただ、ここまで数日かけてつくってきたのに、食べるとなるとものの15分のことで、なんと儚い夢のようなサンドイッチだ。

そしていま落ち着いて振り返ってみれば、パンには再考の余地がある。おそらく、映画で使っていたパンは、もう少しソフトな食感ではないかと思うのだ。ニッツァはそれ自体はうまいんだが、ハードすぎる。ほしいのは、ドトールのソフトフランスくらいの食感だ。バターも恐ろしいくらいに吸ってくれるだろう。こちらにキューバのパンのレシピがあったので、また機会があればつくってみたいと思う。→結局つくった!
konpeito.hatenablog.jp

次のキューバサンドイッチは、NYタイムズで有名になった捏ねないパン(No-Knead Bread)を使った。焼きたては買ってきたものより勝るかもしれん。こちらのほうがさくさくで、バターも染み込みやすく、食べやすい。

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cooking.nytimes.com

書いていたら、また映画を見たくなってきた。そして夜中に腹が減ってくるんだろうなぁ…。

白飯おかわり! ボリューム満点のタイ料理—パッタヤ(PATTAYA)

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店は見かけによらぬもの

タイ スムージー&グリル(Thai Somoothie & Grill)マイタイ(Mai Thai)は、グアムで気に入っているタイ料理店だ。思えば、グアムのタイ料理はあまりはずしたことがない。ここパッタヤ(Pattaya)も口コミで評判だ。しかも先日は貸し切りパーティのため入れなかったので、今夜はそのリベンジとなる。

路地の暗がりに怪しく浮かび上がる看板。ここ本当に飲食店なのか、足を踏み入れた途端にダークサイドに引きずりこまれるんじゃないか、と二の足を踏む店構えであることは間違いない。まあ「人は見かけによらぬもの」と言うではないか。必要なのは、ほんの少しの覚悟だ。

カウンターが数席にテーブルも4つほどの、間口同様小さな店だ。ただでさえ狭い店内のそこかしこを飾る国籍不明のアジアン雑貨が不安を煽るものの、店内はほぼ満席で賑わっている。

店員にテイクアウトだと伝えると、「まぁ座ってくれ」とメニューをとりだし、カウンターの席を促してくれた。流暢な英語を話すフレンドリーな青年で、さっきまでくすぶっていた心許ない気分はすっかり晴れた。

待つこと十数分、作り置きかよ! と突っ込みたくなるほどの素速い仕事ぶりなんだが、テイクアウトボックスはしっかり熱い。どうやら出来たてのようだ。

ガパオ(Pad Ka Prao, Regular, $10)

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つゆだくのガパオ。ホテルの部屋に充満する新鮮なバジルとナンプラーの香りが食欲を駆り立てる。インゲン、タマネギ、パプリカなど彩り鮮やかで、鶏肉も惜しみなく入っている。

この歯ごたえが残るくらいの大きさに切られた鶏肉には好感がもてる。挽肉でつくったガパオは魅力が半減だ。このボリュームだと別盛りの白飯がいささか物足りなく感じる。ご飯は大盛りにしてもよかった、いや“すべき”であった。

ちなみにこの店ではほとんどの料理に、普通盛り(Regular)、大盛り(Large)がある。都内で食べたら4人分ほどあるだろうか。これがレギュラーだというからさすがここはUSAである。

チキンヌードルスープ(Chicken Noodle Soup, $10)

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麺とスープが別盛りなのはありがたいが、ひとつ問題が浮上する。麺をスープに入れるのは、どう見たって不可能だ。かといってその逆もしかり…。仕方なく勢いに任せてスープを麺に入れ、麺をスープに移すをくり返すことになった。白いテーブルは悲惨なありさまだ。

そんなことより問題は味。見た目どおりのあっさりしたスープだ。塩分も薄め。スープとしては薄味もいいんだが、これに米麺が入るとなると、いささかパンチが足りない。うっすら赤い脂が浮いているが、まったく辛くない。スパイシーソース、もしくは唐辛子を頼むべきだった。そして個人的には、ブロッコリーがこの料理にはまったく合わない。テイクアウトしたせいもあるが、火の通りすぎた歯ごたえのないブロッコリーほど食えないものはない。

今回頼んだ料理だけではなんとも評価しがたいが、料理によってだいぶムラがある印象だった。次はパッタイグリーンカレーあたりの定番を頼んでみようと思っている。そしてここ数日の教訓は、アジア料理をテイクアウトするなら辛みソースを頼むべし。

ちなみにこの日の夕食には、ペイレスで買ったベビーケールのサラダも追加した。

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プラスチックの容器にパンパンに詰め込まれたベビーケールは142gで6ドルだからお値打ちだ。ひとまず野菜不足は回避。

Information

Pattaya Authentic Thai Cuisine

場  所:113 Serenu Ave, Tamuning, Guam 96913
営業時間:月〜土曜日【ランチ】10:00-14:30【ディナー】17:00〜22:00
Facebookhttps://www.facebook.com/Pattaya-Authentic-Thai-Cuisine-1410239255880179/