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時速1kmの思考

三ツ星シェフを目指せ! キューバサンドイッチへの道①

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シェフ 三ツ星フードトラック始めました」をみたら、
キューバサンドが食べたくなった

ふるさと納税で送られてきたのは、北海道は池田町、阿部農場の黒豚だ。ロース、肩ロース、モモ肉、バラ肉など総重量4.5kgのブロック。我が家二人と一匹では、ひとパックあけるのも勇気のいる大きさである。

だがこんなに立派な肉を、小売で売られているように細かく切りわけてしまうのは、実にもったいないではないか。では何をつくろう。そうだ、念願のキューバサンドをつくってみよう!

キューバサンドといえば、2014年に大ヒットした映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めましたChef」がいまだ記憶に新しい。

冴えない太った中年の親父がつくる繊細かつ涎が垂れそうな料理に驚嘆し、ロバート・ダウニーJr. やスカーレット・ヨハンソンなどの豪華顔ぶれに「なぜ、この映画に!」と驚愕してしまったのである(もちろん見てから納得の、素晴らしい映画でした)。

キューバ生まれ、アメリカ育ちの
キューバサンドイッチ

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d5/Tampa_Cuban_sandwich.jpg/800px-Tampa_Cuban_sandwich.jpg

Wikipediaによれば、キューバ・サンドイッチとは、ハムとチーズを主体とする軽食のことで、1980年代にキューバの労働者によってフロリダに持ち込まれた。史家いわく、「キューバ生まれ、キーウエスト育ち」の食べ物である。

その後1969年にキューバ革命が起こると、亡命者の波がマイアミにも押し寄せ、キューバサンドはアメリカの地で不動の地位をえることとなる。我が祖国のソウルフードが憎きアメリカに手に渡るなど、当時のカストロの心情をおもうと胸が痛むというものだ。

だが現在の洗練されたキューバサンド(ハム、ローストポーク、スイスチーズ、ピクルス、マスタード、サラミを平たいキューバのパンで挟んでいる)を見れば、資本主義国家でキューバサンドの文化は大きく花ひらいたともいえる。

この映画では低温でじっくりと焼き上げたローストポークを使うことで、スペシャリティを演出している。ということで、まずはローストポークづくりからはじめよう。

究極のしっとり柔らかを目指す
ジョン・ファヴローの低温ローストポーク

今回は、同映画で監督から主人公までつとめたジョン・ファヴローJon Favreau)が約2ヶ月前(2016年2月)にredditで公開したレシピに学ぶことにする(redditのリンクを貼るとバグではてなにエラー現象が起きるので脚注参照のこと)*1

なおこのレシピは、劇中の料理のコンサルを務めたシェフ、Roy Choiに著作権があり、「Chef」のサウンドトラックのライナーノーツにも記載されている。また、すべてカップ計量のレシピだったので(アメリカでは1カップが240cc)、換算しなおしたのが次だ*2

Job FavreauによるCuban Sandwich Recipe © Roy Choi

豚肩ロース 2.7kg  
ブライン液    ※ のちほど詳述する
オレンジジュース 960cc  
840cc  
米酢 120cc  
スパイスラム 120cc ヴァニラ、シナモン、クローブ、アニス、ナツメグコリアンダー、マンダリン、コーヒーなどのフレイバーをつけたラム酒
120cc  
砂糖 60cc  
ニンニク たくさん  lots of となっているので、とにかくたくさんいれてみよう。薄切りにする。
タイム 大1  フレッシュ
ローズマリー 大1  フレッシュ
オレガノ 大1  フレッシュ
セージ 大1  フレッシュ
ローリエ 3枚  
マリネ液   Mojo Marinadeという柑橘系を使ったキューバ独特のマリネ液
オリーブオイル 160cc  
オレンジジュース 120cc  
ライム果汁 120cc  
コリアンダー 160cc  
ニンニク 7片  
オレンジゼスト 大1.5 すり下ろしたオレンジの皮
オレガノ 小2 フレッシュ
クミンパウダー 小1  
黒胡椒 小2/3  
岩塩 小2/3  

ブライン液とマリネ液

このレシピは、まずブライン液で豚肉を漬け、さらにマリネ液で漬け込んでから、じっくり低温で焼く手法をとっている。

ブライン液とは、いってみれば食塩水だ。『マギーキッチンサイエンス』(p152)によれば、

主に鶏肉や豚肉などの肉を塩分3〜6%(重量パーセント)の塩水に数時間から2日間漬けておき(肉の厚さによる)、その後で普通に調理する。とてもジューシーな仕上がりとなる。

食肉は、加熱調理をすると重量の約20%の水分を失う。だから焼きすぎの肉はぱさついてうまくないのだ。だがあらかじめ肉の細胞に食塩水を吸収させておけば、焼いたあともジューシーさが残る。このレシピは約6%の濃度のブライン液である。

さらにこのレシピでは、酵素でタンパク質を分解して肉を柔らかくさせる米酢や柑橘果汁をふんだんに使っている。つまり、肉の「しっとり柔らか」を徹底的に追求したローストポークなのだ。

ただ、このレシピ通りにつくるわけにはいかない。ご覧いただいてわかるように、2.7kg(6ポンド)という業務用サイズの豚肉なのだ。

映画では、ジョン・レグイザモ演じるマーティンがノリノリでブライン液に肉を漬け込んでいるわけだが、これは2.7kgの肉が収まる大きなコンテナを使っている。肉をすべて浸すには、これくらいのブライン液が必要だということだ。

今回使うのは1kgなので、ビニール袋を使って真空にすれば、ブライン液とマリネ液を節約ができるはずだ。別にケチっているわけではないぞ。

そこで、ブライン液をオリジナルの1/4、マリネ液は1/2の分量で量り直したものが次である。

Moggyによる低温ローストポークのレシピ

豚肩ロース 1kg  
ブライン液    
オレンジジュース 240cc  
210cc  
米酢 大2  
スパイスラム 大2 ヴァニラ、シナモン、クローブ、アニス、ナツメグコリアンダー、マンダリン、コーヒーなどのフレイバーをつけたラム酒
大2  
砂糖 大1  
ニンニク たくさん   lots of となっているので、とにかくたくさんいれてみよう。薄切りにする。
タイム 小1  フレッシュ
ローズマリー 小1  フレッシュ
オレガノ 小1  フレッシュ
セージ 小1  フレッシュ
ローリエ 1枚  
マリネ液   Mojo Marinadeという柑橘系を使ったキューバ独特のマリネ液
オリーブオイル 80cc  
オレンジジュース 60cc  
ライム果汁 60cc  
コリアンダー 80cc  
ニンニク 4片  
オレンジゼスト 小2 すり下ろしたオレンジの皮
オレガノ 小2 フレッシュ
クミンパウダー 小2/1  
黒胡椒 小1/3  
岩塩 小1/3  

ここまで書いて、すでに息切れ。つづきはまた後日にしよう。

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参考書籍

マギーキッチンサイエンス

食物と調理の化学の権威ハロルド・マギーによる食のバイブル。上製、850ページ超という恐るべき大著である。

6804円と一瞬その価格に怯んだが、その情報量たるや、薄っぺらい食の科学の本を何冊も買うよりもよっぽど費用対効果は高い。だが枕にするにはちと高すぎる。

*1:による記事「Try Jon Favreau’s Cuban Sandwich Recipe」ではレシピが整理されている

*2:大→大さじ(15cc)、小→小さじ(5cc)を意味している