鶏肉を使った料理のなかでも登場回数が多いのが蒸し鶏。ネギとショウガに鶏もも肉を挟んで蒸すだけの料理なので、忙しいときには重宝している。最近ではネギの青い部分がたまってきたら、「蒸し鶏をつくれ!」という合図のような気もしてきた。
蒸すという調理法は、高温の蒸気で短時間というのがセオリーだ。たとえば、焼売のように比較的小ぶりな肉は一気に蒸し上げることで、皮がついてることもあるが、水分と旨味の流出を最小限に抑えることができる。
だが今回のように肉の塊を使う場合はちょっとばかり勝手が違う。
100℃の蒸気で長時間蒸し上げてしまえば表面ばかりに火が通ってしまい、水分は失われていくばかり。中心にまで火が通る頃には外側のタンパク質が凝固してしまう。
たとえばサウナに入ったところを思い浮かべてくれ。まず皮膚が熱くなって、汗がどばどばではじめるが、体の芯まで温めるにはそれなりに時間がかかるのでじっと堪える。ようやく温まったら水風呂にドボン。人間なら水風呂にはいって水分を補えばいいけれど、鶏肉となるとそうもいかない・・・。
鶏肉をやわらかくしっとり蒸す方法
肉の塊を蒸す場合、中心まで熱がつたわるまで穏やかに火入れしてあげることが重要だ。理論的には70〜80℃くらいの水蒸気のなかで蒸すといいといわれている。
これを実現するには色んなやりかたがあるだろうが、素人でも簡単にできるのは次の2つ。
- 蒸し器の蓋をずらして、熱を外へ逃がしてやる。
- 火加減を調整して蒸気を穏やかにしてやる。
使っている調理器具によって、これを使い分ければいい。
私の場合、中華鍋に簡易の蒸し器を敷き、蓋をして蒸し上げる場合は前者の手法を、セイロで蒸し上げる場合は後者を使っている。
蒸し鶏
材料
鶏モモ肉 | 300g | |
塩 | 4.5g | モモ肉の1.5% |
ネギの青いところ | 1本分 | ざく切り |
ショウガ | 薄切り10枚ほど | |
パクチー | 1枝 | |
酒 | 60cc〜 | 紹興酒でも日本酒でも |
濃口醤油 | 小さじ1〜2 | |
胡麻油 | 適量 | |
麻辣油 | 適量 | つくりかたはこちらへ |
つくりかた
鶏肉は筋をとり、分量外の塩を塗して常温に戻す。
水分をしっかりふきとってから、改めて塩を揉み込む。
バットに、ネギとショウガを敷き詰め、鶏肉を形よくおき、さらにショウガ、ネギでふたをしたら、酒をふりかける。
蓋をすこしずらして、中・強火で15〜20分蒸す。
金串をさしてみて、透明の汁がでてくれば火が通っている。バットから取り出してまな板の上におき、胡麻油を塗ってしばらく休ませている間にタレにとりかかろう。
ショウガやネギは捨てて、バットに残ったスープをボウルに移す。
スープの塩分を確認してから、濃口醤油で調味する。
鶏肉を食べやすい大きさに切る。
温めておいた皿に鶏肉を盛り、タレをかけ、好みで麻辣油を加え、パクチーを添える。
今回は麻辣湯とパクチーにしたが、白髪ネギに熱した胡麻油をジュッとかけるのもいけるし、七味唐辛子なんかだと和風になったりして、その日の気分に合わせてアレンジ自在。