mogu mogu MOGGY

mogu mogu MOGGY

時速1kmの思考

グアム飯をつくろう② 土鍋で炊くBBQチキンとチャモロレッドライス

https://68.media.tumblr.com/a7c21678efbb56ba62946d3ce14d3301/tumblr_p48rivpSUn1tvgyjgo1_1280.jpg

レッドライスには、BBQした肉が合う。ただしBBQは思いついてすぐにできるような代物ではない。スパイスに漬け込んだ肉を、日がな一日蒸し焼きにしていく、手間はかからないが時間だけはとんでもなくかかる料理だ。低温でじっくりと焼いていくから、大きな塊肉はほろほろに柔らかくなる。

今からBBQをしようなんて、無謀だ。すでに日はとっぷりと暮れた。腹を空かせた男の目はだんだんと虚ろになってきているし、このままでは叛乱が起こりそう。そんなときにやおろずの神が囁いた。「肉と一緒に米を炊いちゃえば?」。きびすを返し台所へ駆け込み、鶏肉を包んだラップを引っぺがし、米を洗う。取り憑かれたように手を動かす。米を火にかけているあいだに副菜をこしらえ、炊きあがった土鍋を食卓にどんとおく。さぁ、飯だ!

死んだ魚の目は、土鍋の蓋をあけたとたんに生き返った。日本の炊き込みご飯と違うのは、肉を塊のまま入れてしまうことで、米料理という枠を越えて肉料理と重なる点だろう。ピットマスター気取りで肉を切り分け、レッドライスの上にのせる。空っぽの胃に刺激を与えるべく、ここはあえて大げさに演出だ。さぁ、辛いフィナデニソースをたっぷりつけて、食べるがよい。

「なんだかわからんけど、これうまいよ」

みるみるうちになくなっていく釜の飯。育ち盛りのおっさんを目の前に、安堵と疲れがどっと押し寄せた日曜日の夜。

BBQチキンとチャモロ・レッドライス

材料

レッドライス    
 米 2合(360cc)  
 水 2合分(400cc) 手持ちの炊飯器による
 タマネギ 1/4個 みじん切り
 ニンニク 1/2片 みじん切り。お好みで
 アチョーテパウダー 小さじ2  
 ベーコン 適量 お好みで
レッドライスの調味料    
 塩 小2/3  
 コリアンダーパウダー 小さじ1/4 お好みで
 オリーブオイル 小さじ2  
BBQチキン    
鶏モモ肉 250〜300gを1枚  
 塩 小さじ1/2  
 砂糖 小さじ1/3  
 パプリカ 小さじ1/4  
 コリアンダー 小さじ1/4  
 ブラックペッパー 小さじ1/4  
 ガーリックパウダー 小さじ1/4  
 クミンパウダー 小さじ1/4  
 レモン汁 小さじ2  
フィナデニソース 好きなだけ つくりかたはこちらへ

つくりかた

  1. BBQチキンの調味料をすべて混ぜ、鶏肉全体にすりこみ、(できれば)数時間置いておく。米を洗い、ざるにとって水気を切る。米2合分の水にアチョーテパウダーを丁寧に溶かす。https://68.media.tumblr.com/3e3f480a5e4d33aafe1b53031d27d8dc/tumblr_ongjuwLG5a1tvgyjgo1_1280.jpg
  2. フライパンにオリーブオイルを熱し、タマネギとニンニクを炒める。分量外の塩をひとつまみ入れ、水分をとばしながら焦がさないように炒める。猪の肉があったのでみじん切りにして一緒に炒めた。https://68.media.tumblr.com/093bb67f5d09445207d67a22c91e1f5c/tumblr_ongjuwLG5a1tvgyjgo3_1280.jpg
  3. 鶏肉を皮面から強火で焼く。完全に火を通す必要はないが、しっかりと焦げ目をつけていく。
  4. 土鍋に、①、②、③を入れてよく混ぜ、焼いた鶏肉をおく。https://68.media.tumblr.com/a3929f8c841b0b50fffb09ae042c7ec0/tumblr_ongjuwLG5a1tvgyjgo4_1280.jpg https://68.media.tumblr.com/34ce158e32ba2b314103608ca67e0928/tumblr_ongjuwLG5a1tvgyjgo5_1280.jpg
  5. 飯を炊く。https://68.media.tumblr.com/6b69e74689a41e5c721e5b27e5a536d9/tumblr_ongjuwLG5a1tvgyjgo6_1280.jpg
  6. レッドライスを皿に盛り、一口サイズに切った鶏肉をのせる。フィナデニをたっぷりかけて食べる。https://68.media.tumblr.com/b3255a5a25225fed0aacb243c103863b/tumblr_ongjuwLG5a1tvgyjgo7_1280.jpg

konpeito.hatenablog.jp
konpeito.hatenablog.jp
konpeito.hatenablog.jp

使ってよかった暮らしの道具

長谷園のかまどさん

たった12分の火入れで飯が炊ける魔法の土鍋。しかも、米が断然うまい。もともと友人にプレゼントしてもらったものだが、不注意で一度蓋を割ってしまった。だが、長谷園の公式サイトでは、蓋、内蓋、本体が別売りしているので、蓋だけリピート。日本の技術の粋が詰まったすばらしい土鍋である。



長谷園 土鍋 ご飯鍋 かまどさん 二合炊
21 cm 直火 専用 黒 伊賀焼 日本製 鍋敷き & しゃもじ & レシピ 付 CT-03

グアム飯をつくろう① チャモロレッドライス

https://68.media.tumblr.com/1e21d7208cfb11c5faa72fde224440a0/tumblr_inline_okkzcdCRx21qbouyg_1280.jpg

グアムの祝い事にかかせないのが、レッドライスだ。村の祭、フィエスタでは、豚の丸焼きやルンピアなど数え切れないほどの郷土料理を、山盛りのレッドライスとともに食べる。日本の赤飯みたいな象徴的存在だ。

初めて食べたのは十数年前、あれは忘れられない。まだうぶだった私は、ケチャップの味がしない赤い飯に、発狂しそうになったものだ。コーラかと思って飲んだら麺つゆだったみたいな、あの絶望感に似ている。この独特の色は、アチョーテの実(アナトーとも呼ばれる)から抽出されたものなのだと説明を受けたものの、どうも納得がいかず首を傾げたものだ。グアムではたいがいのレストランでレッドライスか白米かを選べるが、いまではすっかりレッドライス派だ。なにより気分が盛りあがるし、BBQとの相性は抜群なのだ。

さて、このレッドライス。本気でつくろうとするとけっこうな労力が要る。ぜひ「コニー先生のチャモロ料理教室」をみてほしい。ご飯を炊くというよりも、一つの鍋で調理していくピラフやパエリアにそのつくりかたは近い。たしかにスペインも米文化が発達しているから、レッドライスも統治時代に伝わった親戚くらいにはあたるのかもしれない。

ザックリとした作り方はこうだ。香味野菜を炒めて、水分をいれて煮込み、そこに米を入れて炊きあげるわけだ。つまり、鍋からあまり目が離せないから、そういう意味ではめんどくさいので、今回は日本の炊き込みご飯のように普通に炊くことにした。
youtu.be

アチョーテの実はグアムのスーパーのアジアコーナーで手に入る。ただ、1kgという日本の一般家庭で使いきれる代物ではない。そこで今回はすでに粉末のアチョーテを使うことにした。これ、グアム土産には最適だ。一袋10gで胸ポケットにだって入るうえに、たった1ドルだ。女子向けのばらまき土産にいかがだろう。

グアムのチャモロレッドライス

材料

2合(360cc)  
2合分(400cc) 手持ちの炊飯器による
タマネギ 1/4個 みじん切り
ニンニク 1/2片 みじん切り。お好みで
アチョーテパウダー 小さじ2  
ベーコン 適量 お好みで
調味料    
 塩 小1/2  
 コリアンダーパウダー 小さじ1/4 お好みで
 オリーブオイル 小さじ2  

つくりかた

  1. 米を洗い、ざるにとって水気を切る。
  2. フライパンにオリーブオイルを熱し、タマネギとニンニクを炒める。分量外の塩をひとつまみ入れ、水分をとばしながら焦がさないように炒める。ベーコンを入れる場合はここで追加。
  3. 米2合分の水にアチョーテパウダーを丁寧に溶かす。
  4. 土鍋に、①、②、③を入れてよく混ぜる。 https://68.media.tumblr.com/4c5a336a44ff32bd3eddb38ffab8da93/tumblr_inline_okkzcxnwxc1qbouyg_1280.jpg
  5. 飯を炊く。 https://68.media.tumblr.com/3b9951d087d6db3c21f2bd6880ce9e24/tumblr_inline_okkzd53vF91qbouyg_1280.jpg

メインは豪快に焼いた肉、素揚げした魚、じっくり煮込んだ鶏肉などもいいだろう。
konpeito.hatenablog.jp

使ってよかった暮らしの道具

たった12分の火入れで飯が炊ける魔法の土鍋。しかも、米が断然うまい。もともと友人にプレゼントしてもらったものだが、不注意で一度蓋を割ってしまった。だが、長谷園の公式サイトでは、蓋、内蓋、本体が別売りしているので、蓋だけリピート。日本の技術の粋が詰まったすばらしい土鍋である。
konpeito.hatenablog.jp

おふくろの味は白和えご飯

https://68.media.tumblr.com/4bec0f17c41e93a74e94f8f1aea0d717/tumblr_on989nFyzI1tvgyjgo1_1280.jpg

「うちのおふくろの味ってなんだった?」

そう母にたずねたのは数年前。気づけば母もそろそろ70歳にとどこうとしている。60代半ばにサルコイドーシスという難病にかかかり、がくっと痩せて愚痴りがちだが、いまだ銀座へ出かけるとなると生気を取り戻す。どうやら入るサイズの洋服が増えたのが嬉しいらしい。

「なんやろう。わからん」
「茄子の油焼きとかは?」
「そんなん、人に言うたらあかん、恥ずかしい」

その羞恥心はいったいどこからくるのか…よくわからないが、それを「おふくろの味」とは言ってほしくはないらしい。「ケーキなんてどうやろ?」

たしかに狭い台所でケーキを焼いていた母の姿は覚えているが、私が求めているのはそういう類のものではない。自家製とはいえど、彼女が本気でつくるケーキは店レベルなのだ。

「たとえば白和えは?」
「まぁ、それならええけど。でも白和えご飯はあかんよ」

それビンゴ! まさにおふくろの味だ。
白和えご飯は、卑しい食べ物なのかもしれない。白和えをつくったあとのすり鉢に、炊きたてのご飯を混ぜてそのまま食べるのが白和えご飯の流儀。豆腐のカスがついた白飯は、見た目はかなりアレなんだが、うまい。しかも先着一名様という限定飯。ただし、家族以外の誰かに見られてはいけない。初めて近しい他人に白和えご飯を見せたとき、彼は少し遠くの人になってしまった。

とにかく白和えはよく食卓に出ていた。定番の具は、ほうれん草、ニンジン、蒟蒻だが、春にはワラビやタケノコ、秋には柿やキノコなど、そのとき家にある食材を入れるから、ほぼ年中食べることになる。
母が白和えをつくるとなると、もれなく私はすり鉢を押さえる役目を仰せつかる。目分量で大量の砂糖を入れていく。「白和えだけは甘なかったらうまくない」

「外で馬みたいに食べたらあかんよ」というのも母の口癖だ。店で出された小鉢にちょろりと盛られた白和えを初めてみたとき、その真意を知ることになった。
ときには“白和えもどき”に出合うこともある。醤油を入れすぎた褐色の白和えには、心底滅入る。口に入れれば入れるほど、くどく、厚かましく、腹立たしい。

白和えとは、味のついた豆腐を食べる料理ではなく、味のついた野菜を豆腐のソースで和ませて食べるものだと私は思う。そういう意味では、ソースの味で食べさせる他のジャンルの料理とまったく逆をいっているから、和食は面白い。

「ところで、母さんのおふくろの味ってなによ? つまり婆ちゃんの飯ってことだけど」
「そーねぇ。松茸かな。その辺に生えてたし」

なんだその誰も共感してくれないおふくろの味は。山育ち、恐るべしである。とはいえ、だれも人様のおふくろの味なんて理解しないし、できるはずもないし、理解してもらおうなどとみじんも思ってもならない。おふくろの味とは胃袋に押された烙印のようなもので、そういう意味では究極の孤独のグルメなのかもしれない。

白和えご飯

材料

ほうれん草 2〜3株 下ゆでして冷水にとり、しっかり絞る。3〜4cmに切る
ニンジン 1/4本 3〜4cmに細切り
蒟蒻 50g〜適量 塩もみして下ゆでし、3〜4cmに細切り
乾燥イチジク 1/2〜1個 細切り
調味料   野菜の下煮用
100cc  
出汁醤油 小さじ2  
少々  
あえ衣    
豆腐 1/2丁(150g) キッチンペーパーなどでくるみ、上から重しをして水分をよく切る
胡麻 小さじ1  
砂糖 小さじ1/2〜1 イチジクや柿など甘い食材を入れる場合は調整する
白醤油(もしくは薄口醤油) 小さじ1  
ひとつまみ  

具に関しては、季節の野菜を積極的に使う。分量のことはあんまり意識する必要はない。好きな食材は好きなだけいれる。うちは蒟蒻がかなり多めだ。

つくりかた

① 具に下味を付ける

https://68.media.tumblr.com/eb58fb72f787dad30a4cdd61bf139608/tumblr_on989nFyzI1tvgyjgo2_1280.jpg

小鍋で調味料を沸かして、蒟蒻を煮る。その後ニンジンも一緒に煮て、火が通ったらそのまま冷ます。冷ましている間に味が染み込む。全体の粗熱がとれたら、ほうれん草も浸しておく。味見したときに、塩っ気はあるが、野菜の味がする程度がいい。

② あえ衣をつくる。

https://68.media.tumblr.com/2b6779234808edfc8b0f3fe8ec78fed2/tumblr_on989nFyzI1tvgyjgo3_1280.jpg

すり鉢に胡麻をいれてよくすり、砂糖、塩、白醤油を加えさらにする。そこに裏ごしをした豆腐をいれると口当たりなめらかで最高だが、母はそのまま豆腐を入れて念入りにする。

③ 和える

https://68.media.tumblr.com/819ccc0d3441cac99e03e8cbc6f89dc5/tumblr_on989nFyzI1tvgyjgo4_1280.jpg

野菜の漬け汁をよく切り、イチジクとともに食べる直前にふんわり和える。和えると水分が出てくるので、作り置きはできない。

④ 白和え飯をつくる

白和えを皿に盛り、あえ衣が張り付いたすり鉢に熱々のご飯を入れて混ぜ、食べる。

【暮らしの道具】長谷園の「かまどさん」

「おめでとう。これ使ってみて」
祝いの品と友人から手渡された箱は、見た目よりもずっしりしていて、ちょうど骨壷のようだ。早速あけてみると、それは黒い土鍋だった。長谷園というメーカーで、読み方はあのお茶漬けの永谷園と同じだ。
「それでお米を炊くと、美味しいよ。うちも使ってるんだ」



長谷園 土鍋 ご飯鍋 かまどさん 二合炊
21 cm 直火 専用 黒 伊賀焼 日本製 鍋敷き & しゃもじ & レシピ 付 CT-03

もらったときは、嬉しいような、参ったような、複雑な気分ではあった。毎日のことなのに、わざわざ土鍋で米を炊くなんて、ハイセンスな雑誌に出てきそうな理想の家庭だが、このずぼらな自分には手に余るんじゃないか。ふと頭に浮かんだのは「はじめチョロチョロ中パッパ、赤子泣いてもふた取るな*1」という謳い文句だ。

炊飯器が普及する前と後では、旧石器時代新石器時代かくらいの差があるように思える。後者の時代に生まれた者にとっては、この節の意味するところがいったいどんな状況なのかさっぱりわからないが、たしかに昔、母が口ずさんでいたことを覚えている。しかも炊飯器の前で。
母の家に初めて電気釜がやってきたのは、母が10歳のころだったという。家から数キロいった北条に三洋電機の工場があったから、電気釜をはじめ冷蔵庫、テレビなどの白物家電はすべて三洋製だったと彼女は記憶している*2。それまでは“おくどさん”で米を炊いていた。拾ってきた茶色に枯れた松葉を竈にくべ、マッチで火をつけ、火が大きくなってきたころあいに薪をくべる。「はじめチョロチョロ中パッパ」。そういいながら米を炊く祖母を見て育ったから、母のDNAにも深く刻み込まれているのだろう。マッチを摩るのが怖くてたまらなかったそうだ。「今となっちゃみんなおくどさんで炊いた米がうまいとか言ってありがたがるけど、毎日のことだから大変だよ。誰もつくり手のことなんて考えないんだから。電気釜のほうが楽だし、よっぽど米もおいしいわ」と彼女はいう。

さて、私がそれまで使っていたのは、一人暮らし用の小さな電気釜だった。聞いたこともないメーカーだし、機能的にはあれこれと問題はあったものの、場所もとらないし、壊れてもいないので、買い替える必要性はみじんも感じていなかった。

新しい土鍋を前にし、説明書に目を通す。基本的にはいつもの手順と同じだ。米を研ぎ、鍋に入れる。そして規定量の水…ここでひっかかる。説明書では、二合の米に対して、400ccの水を入れるとなっているのだ。それまでは水と米を同量で炊いていたが、水は米の1.1倍入れることを三十路も過ぎて学んだのである(ただし新米は例外だ)。三十年間、ろくに米も炊けなかったのかと思うと、なんだか情けない。

そして、いざ火入れの時を迎え、妙な緊張感が走る。「はじめチョロチョロ中パッパ」、これは米を炊くときの火加減のコツを手短に唱っている。つまり、弱火から(はじめチョロチョロ)、一気に強火にし(中パッパ)、蒸らす(赤子泣いてもふた取るな)わけである。再度説明書に目を落とす。

中強火で12分。その後20分蒸らす

以上だ。火加減は必要ないのである。あまりにそっけない文章に、これがラブレターだったら号泣するところである。

日本製の炊飯器と言えば、科学技術の粋が詰め込まれた文明の利器だ。炊飯器を買うためにわざわざこの極東の地を訪れる人がいるくらいだから、白米文化に住む者にとっては夢のような魔法の釜、黄金の国ジパングに炊飯器ありなのである。電気釜のなかで、「テルマエ・ロマエ」よろしく奴隷たちが「はじめチョロチョロ中パッパ」を絶妙に制御している…わけではない。

にもかかわらず、この旧石器時代の土鍋は、そんなことはおかまいなしに、ただ火にかけるだけなのである。しかも、わずか十数分だ。手持ちの炊飯器では30分はかかるというのに。とはいえ、この土鍋もその後20分蒸らすわけだから、合計は32分かかることになる。しかし、だ。やはり味が違うのだ。

ことさら新米を炊くとその違いが歴然だった。黒い釜の中で艶やかな米がびっしりと敬礼している姿にはほれぼれしてしまう。炊きたての米が最高だけど、そうもいかない場合は熱いうちにラップして、冷凍庫へ入れる。保温機能がないのはある意味何かを切り捨てたような、晴れ晴れした気分になれた。炊飯器で保温された黄ばんだ米とはすっかりご無沙汰だ。

もちろん土鍋だから、米を炊くだけにその使命はとどまらない。鍋物は当たり前のこと、洋風の煮込み、アラブの蒸し料理など、その調理の可能性は計り知れない。この土鍋には蓋が二つ付属しているのが大きな特徴のひとつだ。内蓋には一種の圧力鍋のような効果があるようで、スネ肉や羊などの固い肉もほろほろに柔らかくなるのだ。しかも圧力鍋と違って、調理中に蓋を開けていつでも料理の様子をうかがえる。

そういえば、今年に入って不注意から外蓋を割ってしまった。それでも迷うことはなかった。新しい炊飯器を買うという選択肢はもはやなく、買ったのは外蓋のスペアパーツだ。もちろんバカ高いわけでもない。壊れたら次の新商品を、という時代に、同じものを長く売り続けることは大変だろうが、買う側からしてみればこんなにありがたいサービスはない。だからまた、いっそうの愛着も湧く。

ところで、この土鍋を使うようになってから、ひとつ買いましたものがある。キッチンタイマーだ。手持ちのiPhoneにもタイマーはついているが、料理中に携帯をいじるのも不衛生だし、最終的には火を消すのが目的だから、結局キッチンには出向かなければならないのである。ならばキッチンに常設してある大音量のタイマーの方が便利だ。二連式なので、ご飯を炊きながら、半熟卵を茹でるといったこともできるので、重宝している。




dretec(ドリテック) ダブルタイマー デジタル ホワイト T-551WT

サイズ:7.5×7.5×1.0cm

この土鍋を使いはじめてからはや四年。つまり姓が変わって四年、長いようであっという間だった。日々米を炊いて、食べて、また研いで、秋には新米が届く。そうして歳を重ねていくのだろう。いつまでそんな暮らしが続くかはわからないが、そんな平々凡々たる暮らしを支えてくれているのが長谷園の「かまどさん」だったのだ。

*1:「はじめチョロチョロ中パッパ、ジュウジュウ吹いたら火を引いて、ひと握りのわら燃やし、赤子泣いてもふた取るな」というロングバージョンもあるようだ。こちらのが懇切丁寧な説明だ

*2:三洋電機で炊飯器の第一号EC-601型が発売されたのは1958年(昭和32年)のことだ。母が1949年生まれだからほぼ記憶は正しいようだ

【続】三ツ星『シェフ』を目指せ! キューバサンドイッチへの道⑤〜キューバブレッドを焼く

先日の記事キューバサンドイッチは一度お休みしようと思っていたのだが、やはりキューバブレッドなるものが気になってしまったので焼いてみた。
参考にしたのは、前回紹介したFood WishesのシェフJohnのレシピだ。
foodwishes.blogspot.jp

キューバブレッドを焼こう

材料

スターター   パンを焼く前日に仕込む
温水 120cc  
強力粉 60g オリジナルではオールパーパスフラワー
アクティブ・ドライイースト 1.5g 赤サフ使用
生地    
(A) アクティブ・ドライイースト 7g 赤サフ使用。※1
(A) 砂糖 小さじ2 きび砂糖使用
(A) 温水 180cc  
植物性ショートニング 大さじ3 オリジナルではラードを使用
小さじ2  
薄力粉 90g ※2
強力粉 270g ※2
植物油 適量 乾燥防止のため
※1 メモ

アクティブ・ドライイーストは、予備発酵を必要としないイーストだ。オリジナルの分量は1 packageだが、赤サフ(インスタント・ドライイースト)を使う場合は、もう少し抑えてもいいかもしれない。この分量では、驚くほど速く発酵する。

※2 メモ

オリジナルでは中力粉(オールパーパスフラワー)と強力粉を1.5C(180g)ずつ入れているが、中力粉が手元になかったので、上記のような配分にした。

つくりかた

① スターターをつくる

材料をすべてボウルにいれて、よくかき混ぜ、ラップをかけて冷蔵庫で一晩寝かせる。

② 生地をつくる

(A)を混ぜて、15分おく。イーストが反応して少し泡だってくるはずだ。
冷蔵庫から出したスターターを一度撹拌し、②へ入れて混ぜる。

オリジナルのレシピでは、スターターのうち1/4カップ(60cc)を、次のパン作りのためにとっておいてもよいとあるが、今回は全量を入れた。そのため、生地はかなりゆるくなるので、その分、分量外の打ち粉が多めに必要となった。

③ 他の調味料をいれる

砂糖、塩、ラードを加えて混ぜる。

④ 生地を練る

小麦粉を少しずつ足しながら、生地をまとめていく。120gほど小麦粉を残し、ある程度まとまったら、調理台の上のせて練る。

残した粉を打ち粉にして捏ねていくが、だいぶ生地がゆるかったので、分量外の打ち粉もしながら練る。ショートニングの固い塊(冷蔵庫にはいっていたのでかちこち)が滑らかになるくらいを目安に、調理台に生地がつかなくなるまで練った。

⑤ 成形して一次発酵する

https://68.media.tumblr.com/7ab91f6e3d4074f89faa259cc385fa1c/tumblr_on1umzwbaY1tvgyjgo1_540.jpg
丸く成形した生地をボウルに入れ、乾燥防止の油を塗り、絞った濡れ布巾をかぶせて一次発酵させる。オリジナルでは2時間だが、1時間ほどで2倍に膨らんでいた。

⑥ パンチングして成形する

生地を打ち粉をした調理台に戻し、空気を抜くようにして優しく押さえながら、長方形の形に整えて、2分割する。
手で生地を押さえながら、全長およそ30cmくらいの平たい長方形に整え、端からきつめに巻いていく。

⑦ 二次発酵

継ぎ目を下にして置き、上から軽く押さえながら、均一の太さになるように成形する。乾いた布巾をかぶせ、二次発酵させる。オリジナルでは1.5〜2時間とあったが、1時間ほどで倍に膨らんでいた。↓moggy発酵中 https://68.media.tumblr.com/6716bc53d441a57fa95566eaabfe2e20/tumblr_on3rk1cpis1qbz7lgo1_1280.jpg

⑧ パンに切れ目をいれる

発酵後、良く切れるナイフで、パンの中央に縦の切れ目を入れる。

https://68.media.tumblr.com/8a5cc3d3828fa64c4828876fbbd4ff12/tumblr_on1umzwbaY1tvgyjgo2_540.jpg

⑨ 焼く

https://68.media.tumblr.com/7271ad0678951fe791640b40ce1cadc1/tumblr_on1umzwbaY1tvgyjgo3_540.jpg

パンに霧吹きで水をかけて、200℃で20〜25分焼く。うちのオーブンは少し強いので、190℃で15分で焼いた。なので、見た目は少し白い。ただ、結果これでよかったと思う。というのは、サンドウィッチにするときに、またグリルパンで焼くからだ。

⑩ 完成

https://68.media.tumblr.com/c68b6d1fe0c2edea4a4e741c761ab8f4/tumblr_on1umzwbaY1tvgyjgo4_540.jpg

15分ほどラックで休ませる。
焼きたてはふんわり柔らかくきめ細かい。食感はコッペパンのようで、サンドイッチにするにはふわふわすぎて心配になるくらいだ。風味もよく、危惧していたイースト臭もなかった。
翌朝、満を持してサンドウィッチにとりかかる。

キューバサンドイッチをつくろう!

2. ローストポークを温める

f:id:Xphi:20170320161742j:plain

3. 具を挟む

パン(底部)に、ローストポーク、チーズ、ピクルスをのせて、もう片方のパンにはマスタードを塗り、サンドイッチをとじる。

f:id:Xphi:20170320161949j:plain
konpeito.hatenablog.jp

4. サンドイッチを焼く

パンの上部とグリルパンにバターをたっぷり塗り、鉄板などで押しながら焼く。片面3分、両面とも焼く。

f:id:Xphi:20170320162142j:plain

5. できあがり

パンがこんがりと焼き上がり、チーズが溶けたらできあがり。

f:id:Xphi:20170320162259j:plain

食べる

f:id:Xphi:20170320162446j:plain

ふわふわだったあのパンが、こんなに変貌するとは想像もしなかった。外側はバターでカリッと焼けているが、ほどよくやわらかさが残ったサンドイッチは、歯切れが良くて食べやすい。どうやらこのパンは、そのまま食べるよりも、焼いてから本領発揮するようだ。

ハード系のバケット類を使ったヨーロッパの噛み応えのある洗練されたサンドイッチとは違い、甘みのあるパンがどこか懐かしく、ジャンクだが勢いがある等身大のサンドイッチ。ローストポークとバターの香り、そして酸味のピクルスとマスタードが絶妙。もう一口、もう一口と、止まらなくなってしまい、二日連続で食べてしまった。しばらくはどっぷりはまってしまいそうだ。
konpeito.hatenablog.jp
konpeito.hatenablog.jp
konpeito.hatenablog.jp
konpeito.hatenablog.jp