伊豆山の魚屋・魚久の本日のトロ箱鮮魚はアイゴ。「ピリピリして旨いよ!」と店主は笑顔。ピリピリがどんな感じか聞きそびれたが、400円という特価で即決。「ヒレが危ないから先に全部とった方がいいよ」と注意つきだ。
ウロコはほとんどない。腹を割くと、磯魚特有の臭みがぷわんと鼻につく。手のひらサイズの卵巣が二つ、それにトグロを巻いた内臓、見るからに苦そうな青い玉が露出する。
手でそっと触ってみると、全てがポロンときれいにとれた。これ系は内臓を潰せばヤバイ事態になる。可及的速やかに取り除くべし。
三枚おろしは問題ない。皮も丈夫でひきやすい。卵を覆っていた腹骨がかなり大きいので、腹身はかなり薄くなってしまった。そのまま削ぎ切りに。背は少し厚めに切ってみた。
腹身は歯応え系。臭みは不思議なほどほぼなし。薬味を巻いて醤油でうまい。脂ものっている。意外だったが背の方が柔らかい食感。まろやかな白身。過日のサンノジと似ている気もするが、それよりもあっさりしている気がした。醤油をべったりつけて白米にのせてかきこむと美味だった。
まずい魚神7という不名誉なランキングに晒されていたがアイゴだが、予想以上に美味しくいただけた。これを「ピリピリ」と言うのかどうかは不明だが、ピリピリで旨かったとしておきたい。
卵巣は濃い味でさっと煮つける。卵の粒が細かく、しっかり強火で煮つけたにもかかわらず大変クリーミー。不思議な食感だ。酒のあてにはいいが、ご飯とは合わない気がする。もしかしたら塩蔵して乾燥させたらパスタなんかに使えたかも・・・・・・また出会えたら試してみたい。
アラは湯通ししたのち、水、酒、昆布でじっくり煮出し汁物に。こちらも普通に旨い。
ゼンマイと呼ばれるとぐろを巻いた内臓は、地方によっては珍重されるらしいが、見た目が厳しかったので、今回はサヨナラした。