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時速1kmの思考

もはやフグ超え? カワハギ【皮剥】の刺身

カワハギ

「ヘタな河豚よりカワハギのほうがうまいよ」と教えてくれたのは御年70になる板長だった。二年前に、醤油でといたカワハギの肝をフグ刺しにつけて食べさせてくれたが、たしかにうまいフグよりもカワハギの肝にやたら感動したのを覚えている。

以来、虎視眈々と魚屋をパトロールしていたんだが、都内ではなかなか丸のままのカワハギに当たらない。見つかったとしても財布の紐がゆるまないお値段だったが、引っ越して早々、そのチャンスはあっさり転がり込んできた。どうやらこのあたりではカワハギがメジャーな魚らしく、そこまで大きくはないが一尾500円くらいで売っている。いまだ仮住まいで悶々と暮らす日々に少しだけ光が差した気分だ。

カワハギをさばく

カワハギ

カワハギもウマヅラハギも基本的に捌き方は同じだ。頭からはえる角のような突起の付け根から胸びれに向かって垂直に、骨にあたるまでざっくり包丁を入れ、胸びれから肛門に向かって皮に浅く切れ目を入れたら、両手でゆっくりと頭と胴体を引きちぎると、内臓と肝がごっそりとれる。

カワハギ

肝が頭にくっついているので、ヒレにそって包丁をいれると比較的きれいに内臓が剥がれる。肝に血が回っている場合は、血筋に包丁を入れ、氷水に15分ほど浸して血抜きするが、気にならなければそのままでよし。

カワハギ

胴体に戻ろう。腹の血合いの部分はやや厚い膜に覆われているので、骨にそって膜を割き、歯ブラシや骨抜きなどできれいに掃除する。

カワハギ

本日のメインイベント、皮はぎ。カワハギはご存知のように二枚の皮に覆われていて、外側の皮は固くておよそ食用には向かない。
腹のあたりから包丁か爪で皮を引っかけて、手でバリバリと剥いていくが、これがなんとも快感なのである。

カワハギ

穴を開けることなく皮を剥けたときの達成感。もったいないので何かに使えないだろうか模索しているが、猫でさえそっぽを向く始末。

カワハギ

ここまできたら、三枚おろしにして柵にとる。やりかたはアジとなんらかわりない。今回は刺身にするので、薄皮も引いておこう。
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本カワハギ(左)とウマヅラハギ(右)

肝醤油がうまい、カワハギの刺身

カワハギ

まずは肝醤油の準備だ。肝はすり潰してあらかじめ醤油に混ぜておくやり方や、ひと口サイズに切って醤油に漬けるなどいろいろあると思うが、個人的には後者が好み。

カワハギは薄切りにして、肝醤油を添える。
まずはポン酢で、純粋に身の弾力を楽しむ。普通に、うまい。臭みもなく、目隠ししたらフグと間違えるかもしれん。素っ気ない味気も歯応えもフグと似ているなんて言ったら、きっとフグ喰いにお叱りを受けるだろう。それにしても昨今は養殖モノでさえ諭吉が飛んでいくフグよりワンコインで買えるカワハギのほうが好感が持てるのは私だけだろうか?

次に、濃口醤油をつけた肝を巻き込んで口に入れると、こりゃもうポン酢には戻れない。淡白な白身が濃厚な脂をまとってまったく次元の違う食べ物に。カワハギのポテンシャルたるや、計り知れない。

カワハギの肝あえ

カワハギ

見た目はアレなんだが、通が好むという肝あえ。より漁師飯に近い印象で、釣ったそばからしめて舟上で喰ったらどれほどうまいだろうかと妄想する。
包丁で叩いた肝と、薄切り、もしくは細切りにした身を、まな板の上でざっくりと和え、皿に盛りつけ、醤油をぶっかけて喰う。
いかにも酒飲みが好きそうな珍味といった赴きだが、これを炊きたての白飯にかけるなんてことは是非とも自粛していだきたい。米が進みすぎてヤバイのだ。

ここまでくると、そろそろ釣りでもはじめたらどうかとも思うが、どうもあの動く餌が苦手である。通っている整骨院の先生が釣り好きというので、「練った餌で釣れないものか?」と尋ねてみたが、「無理っすね」と軽く一蹴された。こうなりゃ、次の引っ越しは漁港近くに決まりだな、と睨んでいる。
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