理論だけで
温泉玉子はつくれない
温泉玉子をつくるには、「65度で30分保温」というのがセオリーである。料理書を読んでいて腹立たしいのは、そんな理論は分かりきっているし、どうでもいいってことだ。つまりは65度を30分をどうやって保つのか教えてくれよ! て話だ。
AnovaやTANICA ヨーグルティアSのような温度管理できる調理器があれば話は早いんだが、いまだ踏み切れずにいる。
確実なのは、鍋に張り付いて温度計で計りつづけることだ。晩飯が温泉玉子だけというならそれも我慢できるが、そんなヤツはいないだろう。どれだけ楽に温泉玉子をつくるか、それが命題だった。
ところで、ポーチドエッグの記事にも書いたとおり、温泉玉子とポーチドエッグには明確な共通点と違いがある。
konpeito.hatenablog.jp
共通するのは、両者とも卵白と卵黄のタンパク質が変性する温度の違いを利用して調理される点だ。卵白は62〜65℃、卵黄は65〜70℃で凝固する。
そして両者の違いは、「温泉卵=とろとろ白身×固めの黄身」であり、「ポーチドエッグ=固めの白身×とろとろの黄身」なこと。だからセオリーは65度で30分なわけだ。
まずは手持ちのあらゆる鍋で、なるべく手間をかけずに温泉玉子をつくる方法を試すことにした。鍋、玉子の数、調理時間などの変数を組み合わせ、なんとか納得のいく温泉玉子に近づいたので紹介したい。
温泉玉子をつくる
調理器具の選びかた
使ったのは、ビタクラフトのミニパンセットのうち、中サイズの鍋(1.5L/730g)と計量カップだ。
ビタクラフトのミニパンセットの中サイズ
無水・無油調理と余熱調理を得意とする鍋で、保温性と密閉性が抜群というのが売り。鍋に付属する冊子によれば、温泉玉子は熱湯1リットルに400ccの差し水をして20分余熱とあるんだが、いったい何個の卵なのか、どの大きさの鍋を使っているのか、そもそも差し水は季節によって温度が違いすぎるだろ! と突っ込みどころ満載だったが、とにかく温泉玉子はつくれそうだ。ルクルーゼと土鍋は、保温性はあるものの密閉性がいまいちだったようで、この立春寒波のせいもあるのか湯の温度を保つのが難しかった。
とにかく、手持ちのもののなかでいちばん保温性と密閉性が高い鍋を選んでほしい。いま流行のバーミキュラも密閉性がすごいらしいからきっとうまくいくだろう。お値段はかわいくないし、先日のTV番組の影響なのかほとんど売り切れなんだが。まさかANOVAより高いとはね……。
30分放置の温泉玉子
材料
玉子 | 4個 | 常温に戻しておく |
冷蔵庫から出したばかりの冷たい玉子で成功したらベストだったんだが、どうしても割れてしまうのと保温性が著しく悪くなるので、ここは譲歩することにした。
25分放置の温泉玉子
同じ条件で25分の温泉玉子をつくる。
30分のものとほとんど変わらないが、気持ち白身が緩い。殻を割ると少しだけ白身が残った。カレーにかけるなら30分、熱々のうどんにかけるなら25分がいいのかもしれない。