豆を塩で煮る
いつの頃からか豆を塩で煮ておく習慣がついた。豆の甘煮に対して、塩煮と私は呼んでいる。塩煮というよりも、どちらかといえばひたし豆に近いのかもしれない。数多の豆が世界中にあるものの、今は手亡豆(“てぼうまめ”と読む)、ひよこ豆、レッドキドニービーンズの3種類に落ちついた。
つくり方はシンプル。豆を水で一晩戻し、その戻し汁ごと茹でて塩を放り込むだけだ。慣れてしまえば豆の水煮缶を買うのがバカらしくなってくる。
あえて茹でこぼさないのは、水溶性ビタミン、ミネラル、色素、風味などが戻し汁に流れ出しているからだ。これをみすみす捨ててしまうのはもったいない。
多めに煮て、煮汁ごとジップロック容器にいれて冷凍しておけば、水煮缶並に使い勝手はよい。そのまま食べたっていいし、茹で汁ごとスープに放り込んだっていいし、トマトや肉と煮込めば栄養満点のひと皿になる。
豆の塩煮のつくりかた
- 豆を優しく洗い、水に一晩つける。
- 戻し汁ごと鍋にいれて、豆が数センチかぶるくらいに水の量を調節する。アクを取り除いているうちに水が減ってしまうからだ。強火にかけて沸騰したら弱火に落とし(豆が躍らないくらいの火加減)、こまめにアクを取りながら蓋をせずに煮る。
手亡豆(白インゲン豆)は15分。
ひよこ豆(ガルバンソ、チャナ)は20分。
レッドキドニービーンズは35分。 - 少し歯ごたえはあるものの芯はないくらいまで煮えたら塩を入れ、鍋ごとゆすって塩を溶かす。決してお玉でがしがし混ぜてはいけない。皮が剥けてしまう。調味液はお吸い物よりも少ししょっぱいくらいが目安だ。
- 火を止めたら蓋をして冷ます。余熱でふっくら仕上がるとともに、塩気も豆に浸透していく。
せっかく三種類の豆が同時に炊きあがったので、これを組み合わせてサラダをつくってみた。
手亡豆(白インゲン豆)
国産の白インゲン豆を探してたどり着いたのがこの手亡豆だ。白あんの材料として使われているが、塩で煮てもおいしいうえに透き通った白い小ぶりな姿も可憐。驚くほど柔肌なので手荒く扱ってはいけない生娘のような豆。
ひよこ豆
ガルバンゾ、チャナ、チックピーなど各国で様々な呼び名があるということは、世界中でいちばん有名な豆なのかもしれない。栗のようなほくほくした食感でサラダ、ディップ、スープ、煮込みと使える万能選手。
レッドキドニービーンズ
皮が厚くて煮崩れしにくいので、サラダにも煮込みにも使える豆らしい豆。でもキドニーといえば圧倒的にチリコンカンをつくってしまう確率が高い。キドニービーンズをおいしく食べる料理はこちら。