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時速1kmの思考

タイの秘境チャーン島(Ko Chang)で学ぶ本場のガパオ

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チャーン島のガパオ

十数年前、バンコクから一時間ほど北上したアユタヤで出会ったのはスイス出身のTだ。スイスといっても「ドイツ側だ」と彼は強調していた。フランス語を話すスイス人とは何か深い溝のようなものがあるらしい。永世中立国の立場をとり、アルプスの少女ハイジを見る限り平和そのもののその国の内情はなかなかにややこしいことを、そのとき初めて知った。
毎年のようにタイを訪れているTは、毎食のようにガパオライスを食べる。あきれるほどガパオしか食わないので、彼のことをガパ男と呼ぶことにした。もちろん本人には言っていない。意気投合した私たちが流れついたのは、カンボジア国境近くのチャーン島(Ko Chang)だ。

タイ料理の名手だという女性オーナーが経営する宿では、料理教室が盛況だ。ガパ男がどうしても本場のガパオのつくりかたを学びたいというので、なかば引きずられる形で私も付き合うことになった。
宿の裏には畑が広がり、新鮮な食材がいつでも手に入る。まずはタイ特有の食材を学び、選ぶところから教室は始まる。指導してくれたのは、ニューハーフのシェフだった。顔にはうっすらと白粉がのっている。誤解しないでほしいが、別にニューハーフがどうのこうの言う気はさらさらない。まさかタイにきてオネエに料理を教わることになるとは、予想だにしない展開だったのだ。旅とはそういうことが関連性もなく次々と起こってしまうからこそ旅なのかもしれないが、こんな辺鄙なところで臼を手にハーブを潰している自分を、もう一人の自分がおいてけぼりになっているのだ。

いま思えば、タイのどんなに絢爛な遺跡より、どんなに美しいビーチよりも、この料理教室のことが頭から離れない。食べ物を育てて食べるという当たり前の行為と、見知らぬ人たちと料理をする一体感、見知らぬ土地の新しい味、なにもかもが行き当たりばったりで鮮烈だった。ガパオライスのほかにもパッタイ、カレー、トムヤムクン、オレンジの前菜などタイ料理のフルコースを堪能したが、やはり畑でとれたホーリーバジル、あのガパオの香りが強烈に残っている。
帰国前夜、バンコクに戻った私は屋台で一人ガパオを噛みしめていた。ひと皿100円くらいだったろうか。とても美味いと言える代物ではなかったが、たいらげた。なにやら雑多なものたちがどっとこみあげてきて、どうにもたまらなくなってしまった。

以来、私はガパオをつくり続けている。ホーリーバジルはなかなか手に入らないものの、「おいしい」と言われるたびにあの島のことを思い出し、あの島のガパオをこの人にも食べさせたいと思ってしまうのだ。

材料

鶏もも肉 100g *1 細切れにして少量の酒と塩で下味をつける
ホーリーバジル たっぷり *2ざく切り
ニンニク 2片 みじん切り
生唐辛子 2〜3個 みじん切り
ピーマン 1〜1.5個 *3 肉の大きさに合わせて粗みじん
パプリカ(赤) 1/8個 肉の大きさに合わせて粗みじん
パプリカ(黄) 1/8個 肉の大きさに合わせて粗みじん
タマネギ 1/8個 肉の大きさに合わせて粗みじん
目玉焼き    
合わせ調味料    
ナンプラー 小さじ2 カタクチイワシのみでつくられたナンプラーがオススメ。すっきりクリアな味わいで香りも強い。クセが気になる場合は、醤油を多めにする
醤油 小さじ1  
オイスターソース 小さじ1 タイ産
きび砂糖 小さじ1/2+α 本場では固形のパームシュガーを使っていた。粘度があり沖縄の黒砂糖にそのコクが似ている
チキンスープ 大さじ2  
メモ

*1 鶏肉、豚肉、牛肉、魚貝など好きなモノを使う。挽肉より、包丁で叩いて粗みじんぐらいのほうが、肉の弾力が感じられてうまい。タイでは肉に下味はつけていなかった。

*2 ホーリーバジル(=ガパオ)が手に入らない場合は、スイートバジルを使う。ガパオじゃなくなってしまうが、うちではパクチーが定番だ。

*3 野菜は好きなものを使えばよい。汁気の少ない固い野菜が向いている。インゲン、ニンジン、ベビーコーン、ブロッコリー、マッシュルーム、タケノコなど。

つくりかた

  1. 油をしいたフライパンを熱して、ニンニクと唐辛子を焦がさないように炒める。
  2. 強火にして肉を炒める。豚肉の場合は透明な汁が浮き出るまで、鶏肉なら七分くらい火が通れば大丈夫。
  3. 野菜を入れて軽く炒めたら、合わせ調味料を入れて汁気を飛ばすように煮詰めていく。ご飯にかけるので多少濃い味を目指そう。味見をして足りなければ、醤油、ナンプラーと砂糖で調整する。
  4. ホーリバジルを入れて軽くひと混ぜしたら出来上がり。皿にご飯を盛り、ガパオをかけて目玉焼きをのせる。

ガパオをパンに挟んでみる

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夕飯は昨日の残りの豚肉のガパオで済ませようと思っていたんだが、「マツコの知らない世界」の「袋パンの世界」(TBS 4/18日放送)を見ていたら、完全にパンモードに突入してしまった。なんだかんだでメディアの影響力というものは恐ろしいものがある。無意識化にねじり込んでくる。マツコが何かを口に入れる姿はなにかしらのサブリミナル効果を生んでいるのかもしれない。

ちょうど、朝食用のパンがある。大崎のリラック(福島屋)で買った田舎パンというふわふわ系のプレーンタイプだ。これにガパオを挟んでみよう。
パンを半分に割り、軽く焼いてレタスをしき、マヨネーズをちょっと垂らしてガパオを山盛りにし、目玉焼きをのせる。

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ぼろぼろと肉が崩れてきて非常に食べづらいが、味はいい。ガパオ味のパテがあってもいいのかもしれない。