8月の終わり。咲見町にあった骨董品屋が閉まった。
熱海の街をぶらつく理由がひとつ減ってしまい、手持ちぶさたの秋。
売り物件の看板がかかった店を通るたび、募りつのった未練がましい晩秋。
ついにヤフオクに手を出してしまった。
競り落としたのは「明治期の伊万里」の鉢らしい。口径15.5cm、高さ9.5cm。側面に大きな牡丹が三つ描かれた深鉢だ。口縁に補修の跡があるが、発色もいいし、丼でも麺でもいけそうな絶妙なサイズ。
この器がホンモノか偽物か。そんなたいそうな審美眼は持ち合わせていないが、これで蕎麦やうどんを啜ればうまそうだ。それでいい。
初おろしは鶏南蛮そば。
いい景色だ。
次はなにを競り落とそうかとヤフオクをニヤニヤ徘徊する毎日だ。もちろん脳内では「なんでも鑑定団」のBGMがフル回転している。
熱海で骨董品屋を開くのも悪くない。猫のいる骨董屋。完璧じゃないか。
鶏南蛮そば
材料(2人分)
そば | 2束 | |
鶏モモ肉 | 1枚(100~150g) | 筋切りして酒と塩少々をもみこむ |
長ネギ | 3/2本 | 3cmを4本 |
小ネギ | 少々 | みじん切り |
出汁 | 600cc | |
濃口+薄口醤油 | 60cc | |
みりん | 60cc | |
酒 | 30cc | |
きび砂糖 | 小さじ1 | |
柚子の皮(あればぜひ) | 少々 |
つくりかた
- 油ならしをした鉄フライパンで、鶏モモ肉を皮のほうから焼く。
- 鶏肉から脂が出てきたら、長ネギを転がしながらいっしょに焼く。鶏肉は皮がこんがりやけたらひっくりかえし、肉がうっすら白くなれば別皿にとっておく(完全に火が通らなくてもいい)。
- 出汁、醤油、みりん、酒を沸かして、長ネギを入れ、アクをとる。ごく弱火にして鶏肉をしずめる。
- 蕎麦を茹で、冷水でしめる。同時に、湯をわかしておく。
- 鶏肉を一口の薄切りにする。
- 湯で蕎麦を温め、しっかり湯切りしてから丼に盛り、鶏肉、ネギをのせる。
- 汁を張って、小ネギを散らす。あれば柚子の皮を散らすと最高。