グラブラックス(Gravlax)は魚に塩と砂糖を塗して熟成せた、北欧でも指折りの名物料理。「grav」は「埋める」、そして「lax」が「鮭」なので直訳すれば「埋めた鮭」である。
その昔のクラブラックスは魚を松の葉でくるんで、さらに土に埋めて発酵させていたが、現在ではディルを使って発酵させないのが主流。とはいえ、調味料やハーブに「埋める」という点では間違いなく直訳どおりの伝統食であることは間違いない。
ディルには「ピネン」という芳香成分が含まれている。ピネンは松=pine に由来し、松脂や松精油の主成分だというから、どういう経緯で松からディルになったのかはわからないが、人間の嗅覚というものにまったく驚かされる。
最近はあまりみかけなくなったが、正月飾りの門松からちょいと拝借して、お節にグラブラックスを入れるのも一案かもしれない。余談になるが、松葉には血中のコレステロール値を下げ、血液を浄化させる働きがあるとされ、古来から中国では妙薬として珍重されていたのだとか。
さて、用意したのはノルウェー産の刺身用サーモンだ。チリ産よりもサシがかなり入っている。
しっかり味の入ったサーモンにパンやチーズを添えて食べるのが北欧スタイルなため、本場ではサーモンの重量の10%もの塩と砂糖を塗したのちに数日間熟成させるが、本場と違ってサーモンが皮付きでないこと、小さなサクを使うこと、ゆえにそこまで日もちさせる必要もないことから、5%で丸一日つけていきたい。これでもけっこうしょっぱく、身が締まって生なのに燻製のような食感だ。なので、限りなく薄切りにして、レモンをしっかりかけて、この時期ならスライスした新タマネギを添えてやるのがおすすめの食べ方だ。
ちなみにサーモンの重量の3%の塩でつけた場合は、ほどよい塩加減だったが、いかんせん刺身のような食感が面白くなく、長期保存にも向かない。なのでグラブラックスとしては5%以上の塩をおすすめしたい。
グラブラックスのつくりかた
材料
サーモン | 170g | 刺身用のサク |
塩 | 8.5g | サーモンの重量の5% |
砂糖 | 4.25g | 塩の半量 |
黒胡椒 | 適量 | 好みで |
ディル | 4本 | 飾り用を含める |
グラブラックスとこねないパン
以前紹介したこねないパンとグラブラックス、そしてクリームチーズと合わせて食べてみた。
konpeito.hatenablog.jp
思った通り、塩気はちょうどよく、クリームチーズの酸味との相性も最高だ。
サラダも一緒にのっけて・・・・・・
ぐいっと丸めて簡易サンドイッチ。