六本入りのビールをカゴにいれると、ミニスカートをはいたお姉さんがくれたのはS&Bのパエリアの素だった。こういうシーズニングスパイスはあまり信用していないんだが、せっかくだから使ってみることにしよう。
パエリアとは出汁で炊いたスペインの米料理である。もともとはウサギや鶏肉を使うバレンシア発祥の料理だが、スペインのあちこちにご当地パエリアが生まれるころにはスペインを代表する料理のひとつになったのだろう。十数年前にバレンシアでイカ墨と鶏肉のパエリアを頼んだが、どちらも感動的なうまさで文字通り、吐くほど食べてしまった。
この料理は出汁に始まり、出汁に終わる。店では骨付きの魚や海老、貝類や野菜であらかじめとっておいた濃厚な出汁で米を炊きあげる。誤解を恐れずに言ってしまえば、この出汁さえしっかりとれていれば、上にのせる見栄っ張りな具などいらない! のだ。このパエリアの素を炊飯器にいれるだけでそれを再現できるかといったら…無理だろう。実際出来上がったパエリアは圧倒的になにかが欠けている。
魚の出汁をとるのが正攻法なんだが、せっかくパエリアの素を使うんだから、手軽を絶対条件として出汁に濃厚さを加えるにはどうしたらいいのか。スーパーを数周して見つけたちょい足し食材がこちらだ。
魚のアラ
魚売り場の隅にいた鯛のアラを使う。経済的だし出汁もしっかり出る。魚は白身がオススメだ。アラといってもそれなりに身も残っているので食べ応えも抜群。
貝柱だし
ちょっと加えるだけで劇的に味が変わるので驚いた。同メーカーのチキンスープは常備しているが、こちらも使い勝手はよさそうだ。
お手軽版・魚貝のパエリア
材料
米 | 200g | 米1合+もち麦50g |
水 | 600cc | アサリの湯がき汁と合わせて600cc |
白身魚のアラ | 頭一匹分 | 鯛を使用 |
有頭エビ | 4尾 | |
アサリ | 200g | 砂出ししておく |
ニンニク | 1片 | みじん切り |
タマネギ | 1/4個 | 粗みじん |
パプリカ | 1/2個 | 粗みじん |
ピーマン | 1個 | 粗みじん |
トマト | 1個 | 粗みじん |
S&Bパエリアの素 | 1袋 | |
ユウキ貝柱のだし | 小さじ2〜 | |
塩・胡椒 | 適量 | |
オリーブオイル | 適量 |
つくりかた
1.魚貝の下準備をする
- フライパンに砂抜きしたアサリがかぶるくらいの水を入れ火をつけ、口が開いたら取り出す。湯がき汁は漉しておく。
- エビは殻付きのまま腸をとり(第二関節あたりに竹串を刺して引っ張るとでてくる)、腹側を関節にそって身が切れない程度に隠し包丁をいれておく。塩で下味をつける。
- 鯛のアラにふり塩をして10分ほどおき、熱湯を回しかけて氷水で冷やし、血合いをきれいにとっておく。
2. 煮る
- 鍋にオリーブオイルをひき、エビを焼く。色が変わるくらいで引き上げる。
- 続けて魚を焼く。中まで火を通す必要はない。
- オリーブオイルを足し、ニンニク〜ピーマンを炒める。しっかり火が通ったら、トマトを加えて水分を飛ばすように炒める。
- アサリの湯がき汁に水を入れて沸騰させ、貝柱のだし、塩・胡椒で調味する。この時点でお吸い物よりちょっと薄いくらいが目安。味が決まったら米を加えて平らにならす。
- 魚のアラを戻して煮る。
- スープから米がのぞきはじめたら、最終的な塩加減をチェックする。
- アサリやエビを米に埋め込む。
3. 焼く
- 180度のオーブンで15〜20分焼く。
パエリアの素だけに頼るより、圧倒的にうまいことは間違いない。魚のアラといってもそれなりに身が残っていたから食べ応えも抜群だ。