「シールがついている品はどれでも3つで1000円」
という文句に誘われて、引きよせられるように駆け寄った鮮魚コーナー。目を皿のようにして片っ端から高速で商品と価格をチェックしていく。
店側としても収益を確保すべく、たいしてお得でもない品もまんべんなくとり揃え、さらっとシールを貼るといった軽いトラップをしかけてくる。せっかくなら3品違う商品を選びたくなるところだが、どう考えても買うべきは「大粒アサリ」だと思われた。
通常なら1パック399円のものを333.333・・・・・・円なら悪くない。ということで、役牌アサリのポンで手を打つ。
さっそく砂抜きをして、「アサリ醤油漬け」の準備にとりかかる。これで数日の間は晩酌のお供になる。だが茹でたアサリを醤油に漬けながら思った。「いくらなんでも飽きるだろう」と。
自分のつくるアサリの醤油漬けは、アサリを茹でたときにでる出汁を使わない。残った出汁を濃縮させてソースに使う手もあるが、出汁で米を炊いてしまうのが手っ取り早い。醤油に漬ける手を止め、先日割れたカスエラの代わりに迎えた陶板の土鍋に舵を切る。
アサリ汁を漉して、吸い物よりややしょっぱく味付けし、米を炊きあげたのちにアサリを埋め込み、しばらく蓋をして蒸らすと、アサリのふっくら感が損なわない。仕上げにイタリアンパセリ・・・・・・がなかったので紫蘇をまき散らしてしまい、すっかりバスク感が吹っ飛んでしまったが、まぁ旨かったので良しとしよう。
ところで、今年こそバスクへ行くぞ! と算段していたのだが、この状況では諦めざる得ないようだ。Go to Travel は Go to Trouble の様相を呈しており、明らかに隠しきれないトラブル顔の政治家たちを見るのも飽き飽きしている今日このごろだ。
バスク風あさり飯(Arroz con Almejas)
材料
米 | 100cc | 洗わない |
アサリの出汁 | 250cc | 100ccのカップで米の2.5倍 |
アサリ | 1パック | |
ニンニク | 1片 | みじん切り |
タマネギ | 1/4個 | みじん切り |
オリーブオイル | たっぷり | |
紫蘇 | たっぷり | ごく細切り |
塩・胡椒 | 少々 |
※内径17.8cmの土鍋を使用
つくりかた
アサリがぎりぎりかぶるくらいの水に酒を少々加えて、火を付ける。
アサリの口が開いたらすぐに引き上げておく。
殻が多すぎて土鍋に入らなそうだったので、半分はむき身にした。
アサリの湯がき汁を一煮立ちさせ、アクをしっかりとったら目の細かいザルで漉す。
漉した出汁を吸い物よりやや塩辛いくらいに調整して、米の2.5倍に計量する。オーブンを200度に余熱しておく。
土鍋にオリーブオイルをたっぷりしき、タマネギとニンニクを炒める。
米を加えて全体に油がまわるくらいに炒める。
アサリ出汁を加えて煮立たせる。
沸騰したら、オーブンで15分焼く。
炊けたらアサリを米に埋め込む。
蓋をして5分くらい蒸らす。
紫蘇を散らして食卓へ。