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時速1kmの思考

ピザ風ポークソテー

移住して半年が経つが、いまだ開かずの段ボールが数箱残っている。収納の目途がたたないまま、とりあえず和室にと放置していたのが運の尽きだった。

畳に青カビが発生していたのだ。腐海に沈んだ和室に立ち尽くし絶句。もう一刻の猶予も許されない。
猫を隔離し、窓を開け放ち、マスクをつけ、段ボールの撤去を敢行する。
ぼろ布(主に家人の化石化したTシャツ)でカビをそっと拭き取り、掃除機をかけ、雑巾がけをし、アライグマ印の高濃度アルコールでゆっくり、かつ丹念にふきとる。

「胞子が残っていたんだ!」
「だめだ!こんなところまで菌糸が来ている」
「燃やすしかないよ。この森はもうだめじゃ。手遅れになると谷は腐海に飲み込まれてしまう」

暑さもピークになると風の谷の幻聴まできこえるようになり、朦朧としながら畳に這いつくばって丸一日。整然とした和室が戻ってきた。
ほとほと疲れ果てた。怠けていた腕の筋肉が悲鳴をあげ、あげくに突き指までする始末。
畳には物を置かない。鉄則だ。身に染みてわかった。


心身共に疲れ切った日には、ポークソテーに限る。
ピザ風のポークソテーは、軽く焼いた生姜焼き用の薄切り肉に夏野菜と香草、それにチーズをのっけて焼くだけだが、簡単な割にちゃんと料理しました感が醸し出されているようで都合がいい。彩りも食欲にブーストをかけてくれる。加熱時間が短いのもこの暑い夏、渡りに船だ。
チーズはピザ用でも、数種を合わせてもいい。モッツァレラなんかにすると上等な感じで、ピッツァ風ポークソテーなんて呼びたくなる。
バジルを紫蘇にすると、より米に合うおかずとなる。どちらにせよ旨い。

ピザ風ポークソテー

材料

 
豚肩ロース 3枚 筋切りする
ガーリックソルト 少々
タマネギ 1/4個 薄切り
白ワイン 大さじ2
ミニトマト 4個 薄切り
ハラペーニョの酢漬け 適量 つくりかたはこちら。ケイパーもおいしい
バジル ひとつかみ せん切り。紫蘇もおいしい
チーズ 適量
塩・胡椒 少々

つくりかた

工程①

ガーリックソルトで下味をつけた豚肉を両面やき、耐熱皿に並べ、胡椒を振る。
そのままタマネギを炒め、白ワインを振り入れて肉汁を吸わせる。

工程②

豚肉にタマネギ、トマトをのせる。
トマトに直接、微量の塩をふっておくと、したたり落ちるソースが旨くなる。

工程③

ハラペーニョの酢漬け、バジル、チーズをのせる。
250度に余熱したオーブンで5分ほど、チーズがとろけるまで焼く。

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