mogu mogu MOGGY

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時速1kmの思考

グアムで食べる、古き良きアメリカ料理 — スリー スクエア(Three Squares)

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 「そろそろチャモロ飯は飽きたよ。いわゆるアメリカンなブランチが食べたいなぁ」

予想通りの展開で笑ってしまう。候補リストのなかから絞り込み、スリースクエア(Three Squares)へ向かうことにした。まだ新しいのだろう。小ぎれいな平屋の建物は、いかにもアメリカのダイナーといった外観だが、看板に掲げられた白とボルドー色のロゴが妙にシックだ。

店に入るなり、心が躍った。白い壁にヘリンボーン柄のテーブル、天井から垂れ下がる無数の裸電球、そしてバーカウンターを照らす「3つの四角形(Three Squares)」。右手には3つの四角い窓から活気あふれる厨房の様子が見える。キッチン側は全面黒板の壁になっていて、チョークの文字が躍っている。遊び心が満載で、まさに憧れの部屋といった内装だ。

“さりげない”が心地いい

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席につくと、とびきり明るい声の女の子がやってきた。

「サムです。このテーブルの担当です!」

太めのキャットアイラインをひいた色白で小顔のサムは、小悪魔的魅力に溢れていて、思わずその笑顔に目を惹きつけられる。

こんなに居心地のよい店ならビールで喉を潤したいところだが、車なので断念。メイソンジャーのような今流行りのガラスのタンブラーに入った水が運ばれてきた。薄切りのレモンが入っているのが嬉しい。なんせこう日差しが強いとビタミンCが不足する。

テーブルに置かれた小さなガラス瓶にはバジルの葉。バジルってところがいい。バジルは適当に枝を切って水に浸けておけば、みるみるうちに成長する。食卓に彩りをそえてくれる名脇役だ。これみよがしの花でなく、さりげないもてなし心を感じる。

古き良きアメリカ料理

メニューは大きく3つ。スターター(Square One)、バーガー、サンドイッチと朝食(Square Two)、キッチン スペシャル(Square Three)である。

そのほかに、サラダと飲み物、黒板には本日のスペシャルメニューも書かれている。価格は6〜16ドルだ。

デンバーオムレツ(Denver Omelet, $9.50)

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しっかりと焼かれた巨大なオムレツに挟まれているのは、ベーコン、ハム、パプリカ、タマネギ、とどめのチェダーチーズと具沢山。見るからに腹持ちがよさそうである。

デンバーオムレツの起源は19世紀末にまで遡るが、当初は具入りのスクランブルエッグをパンで挟んだ「ウエスタン・サンドイッチ」と呼ばれるものだったという。

西部開拓者たちが身近にある食材でつくったとか、中国の移民が大陸横断鉄道の労働者のために中華オムレツをパンに挟んだとか、イタリアの移民がデンバーの街角で屋台を出したのだとか。

諸説あるものの、1950年代にこのサンドイッチが新聞で紹介されると、朝食の定番としてアメリカ中に広がっていったが、いつしかオムレツだけで提供されるようになり、発祥の地の名を冠してデンバーオムレツと呼ばれるようになった。

どの説が正しいにせよ、ロマン溢れるアメリカの息吹を感じる卵料理じゃないか。その無骨な姿は、古き良きアメリカを体現したひと皿である。

付け合わせは、フライドライスかポテトをお好みで。

フライドチキン&ワッフル(Fried Chicken & Waffle, $11.00)

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このワッフルは実に絶品だ! ワッフルメーカーの購入を検討したいくらい、はまりそうな予感さえする。

一時期、日本でも流行ったワッフルは、生地が甘いえうえに歯にくっつくような噛み応えがあり、好きになれなかった。そういえば、あれはベルギーワッフルだった。

この店のワッフルは、外はカリッと、中はふわふわ。甘さは控え目で、パンケーキに近いから、食事としての役割をしっかり果たしてくれる。

添えられたメープルシロップホイップクリーム、バター、ジャムを組み合わせて楽しんだが、おすすめはやっぱりメープル&バターの王道だ。

フライドチキンは少し残念だった。バリっとハードに揚がった衣の食感は申し分ないが、下味が薄く、スパイシーでもない。ケチャップをつけて食べるのだろうけれど、終始ケチャップを食べている気分になるのだ。ただ、子ども連れも多い店なので、配慮の末の味つけなのかもしれない。

Three Square のひみつ

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店のあちこちを飾る3つの四角形のモチーフ。サムに尋ねてみると、どうやら軍隊の食事に関係がありそうだ。

そもそも英語の慣用句には、 (a) square meal という言葉があるらしい。

Square は square meal の省略形で、「十分な量で栄養のある美味しい食事」という意味合いがある。

たとえば、have three square meals a day で「1日3回食事をする」という意味になる。たしかに店の柱には「Eat Three Square Meals, Breakfast, Lunch, Dinner」と大きく書かれている。店の営業時間は朝8時から夜10時までだから、納得がいく。

でも軍隊とはどういう関係があるだろう。square meal の起源を調べてみると、これまた諸説あるからややこしい。

かつて英国海軍の船員が四角形の木製皿で食事をとっていたからとか、中世に使われていたトレンチャー(trencher)という皿をのせる四角形の木製板が由来だとか、四角いパンの上に食事をのせていただとか……。

いちばん有力な説として、かつてのアメリカ軍では、食事を口に運ぶときに肘の角度を正しく保ちながら、腕で四角形を描くように規則正しく食べる習慣があり、そこから食事のことを Square と呼ぶようになった、というものだ。

マーク・トウェインは、著書『イノセント・アブロード(The Innocents Abroad),1869』のなかで、square meal はカリフォルニアのスラングだと言及している。

34章トルコ風呂のくだりにこうある。

Thier hungry eyes and their lank forms continually suggested one glaring, unsentimental fact-- they wanted what they term in California "a square meal."*1

彼らの飢えた目と痩せ細った身体つきは、明らかに感傷的でない一つの事実を絶えず示していた。つまり、欲しいのは、カリフォルニアで「スクエアミール」と呼ぶものなのだ。

初版が1869年、つまり大陸横断鉄道が開通した年だ。これまた西部開拓時代とともに国中に広がっていった、アメリカ食文化のひとつなのかもしれない。

なんだか混沌としてきた……とにかくこの「three squares」は、朝・昼・晩としっかり食事をとりましょう、というアメリカの食文化を表す独特の言葉なのだということで、腑に落ちることにしよう。

Information

Three Squares

場  所:416 Chalan San Antonio, Tamuning, 96913 Guam

営業時間:月曜日   8:00〜17:00
     火〜日曜日 8:00〜22:00
Facebook@threesquaresguam
Instagram@threesquaresguam
WEBhttp://www.bgpacific.com/

グアムBBQ界のニューウェーブ—アス スモークハウス(Asu Smokehouse)

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チャモロビレッジには、さまざまなレストランがテイクアウト専用の屋台を出店している。以前紹介したテリーズ ローカル コンフォート フード(Terry's Local Comfort Food)もしかり。

なかでもグアム在住の友人が強く薦めるのが、スモークBBQの専門店、アス スモークハウス(Asu Smokehouse)だ。

いわゆるBBQソースに漬け込んで網焼きするBBQではなく、ドライラブで燻製にしているのがこの店の売りだ。2014年の「グアムBBQブロックパーティー(Guam BBQ BLOCK PARTY)」では、牛肉と豚肉部門でチャンピオン・グリルマスターの栄誉に輝いたと言うから、どうしたって期待は高まる*1。名物は、長時間燻されたブリスケット(brisket)と呼ばれる牛の肩バラ肉。

週始まりだからだろうか。チャモロビレッジには穏やかな時間が流れ、人もまばら。独特な小鳥のさえずりが響いている。突風にあおられて舞い落ちるプルメリア。ビーチはあきらめて、ここで食事しよう。

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燻製BBQの実力は!?

注文したのは、名物のブリスケットとポークベリーのコンボ(Smoked Beef Brisket & Smoked Pork Belly Combo, $12.75)だ。

チャモロビレッジ内の他店と比べると、少し割高に感じるだろうか。グアムらしくもなく、レッドライスも小盛りだなのだが、燻された肉の香りがふわっと鼻腔をくすぐり、撮影しながら生唾を呑み込んでしまう。

牛ブリスケットの燻製(Smoked Beef Brisuket)

美しく切られているブリスケット。牛肩バラ肉は脂身の少ない淡泊な肉質ではあるが、フォークで刺すと崩れてしまうほど柔らかい。肉本来の旨みが凝縮されているのか、噛むほどにうまい。塩味は薄めなので、特製のBBQソースをつけて食べる。

ここではたと気づく。この肉をサンドイッチにしたら最高なんじゃないか?

映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」に登場する、真っ黒にスモークされたビーフブリスケット*2を思い出したのだ。13時間じっくり燻された肉を前に、みな手が止まらなくなるが、息子の提案によりスライダーとなるのだ。よし、グアムでおいしいパン屋を探さなければ。

豚バラ肉の燻製(Smoked Pork Berry)

豚バラ肉の皮は真っ黒なのだが、焦げたわけではない。この黒い部分が絶品なのだ。とにかくうまい。個人的には、ブリスケットよりも好みだ。

ほろほろ肉とぱりっとした豚の皮を口に放り込み、ゆっくり噛むと、甘味のある脂がじゅわっと口の中に広がり、見事なフレーバー。ブリスケットよりも下味が濃いので、BBQソースもいらない。むしろこの香りがよい味になっているので、必要ないといってもいい。

人によっては脂身が強いと感じるかもしれないが、酸味の強いコールスローが口の中をさっぱりさせてくれるはずだ。

「ここのBBQはうまいわ!」
なんと珍しい。BBQ嫌いがそう言うのだから、間違いない味だったんだろう。

Information

Asu Smokehouse

場  所:Chamorro Garden Apartments, Sgt. Roy T. Damian Jr. St, Hagåtña, 96910 
営業時間:水・金曜日 11:00〜14:00、17:00〜21:00(ナイトマーケット、Following GovGuam Payday
     上記以外  11:00〜14:00
     日曜定休
Facebookhttps://www.facebook.com/asu.smokehouse
Instagram@asu_smokehouse

*1:ちなみに、鶏肉部門の優勝者はメスクラだった。詳細はこちら。

*2:テキサスの州都オースティンの「フランクリン・バーベキュー」。

グアムで食べたい、激うまチャモロ料理!

2016.02.12 初出
2019.01.29 更新 カドゥン・マノック(Kadun Manok)を追加。

小さな島グアムだがそのグルメ事情は多様性に富んでいる。チャモロ、フィリピン、中国、日本、スペイン、メキシコ、アメリカ……さまざまな国の文化が融合して現代グアムのグルメが成り立っているけれど、その原点でもあるチャモロ料理は絶対にはずせない!

子豚の丸焼き(Roast Pig, Hinetnon Babue)

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グアムの祭、フィエスタに欠かせないのが子豚の丸焼き。

グアムには野生の豚がけっこういて、庭をほじくり返したりとけっこう悪さをする。そんな迷惑な豚がこのテーブルに鎮座しているのかどうは定かではないが・・・・・・こちらはマロロ(Malojloj)のフィエスタでご馳走になった豚である。圧巻のお姿。

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低温で長時間焼かれたであろう子豚は、皮はぱりぱり、肉は絶妙なピンク色でしっとり柔らかだ。この火入れ加減、伝授していただきたい。

丸ごと魚の姿揚げ

ミルクフィッシュの姿揚げ(Deep Fried Milkfish)

日本ではサバヒーと呼ばれている。インド洋から西太平洋の温かい海に生息しているせいか、日本の魚屋では見かけたことがない。身が牛乳のように白いことから、英語ではミルクフィッシュ(Milk Fish)、もしくはバンガス(Bangus)と呼ばれている。小骨が多いものの身がふっくらしているので、揚げると最高にうまいのだ。

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By Bryan Harry (U.S. National Park Service) - パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=651576

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パロットフィッシュの姿揚げ(Deep Fried Parrotfish)

パロットフィッシュ(Parrotfish)の姿揚げもグアムの定番。揚がる前はかなりえぐい色味だけれど、味はいい。

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By Gustavo Gerdel - http://www.bab.com.ar, GFDL, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9907304

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フィナデニソース(Fina’denne’)

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醤油ベースに柑橘類の果汁(もしくは酢)、唐辛子、タマネギなどを合わせたもので、グアムの食卓にはかかせない万能ソース。辛いポン酢を想像してもらいたい。肉、魚、飯とあらゆる料理に合う。

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レッドライス(Red Rice

アチョーテ(ベニノキ)の種子から絞った赤い汁で炊きあげたご飯。フィエスタでは必ず出されるチャモロの主食だ。一見ケチャップライスだが、その見た目とは裏腹にシンプルな味で、フィナデニソースをかけるととてもうまい。

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By Eric in SF - https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1316134

アチョーテの実はスーパーで売っているが、日本に持ち帰るのはかなりの大容量。粉末タイプのものが手軽で安い。

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フライドライス(Fried Rice with Chamorro Sausage)

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いわゆる炒飯。プレーン、ニンニク、鶏肉などさまざまな具があるが、おすすめはチャモロソーセージだ。玉子をつけると、日本の母ちゃんがオムライスのような料理になる。フィナデニソースをかけて食べるとうまい。こちらは Linda's Coffee Shop のフライドライス。

バーベキューチキン & リブ(Barbeque Chicken and Ribs)

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休日ともなると、グアムの人々はビーチや公園に集まって肉を焼く。これこそ国民食と言えるだろう。肉は醤油ベースに酢やケチャップ、タマネギやニンニクなどの香辛料がはいったバーベキューソースに数時間漬け込んでから焼きあげる。

シュリンプ パティ(Shrimp Patties)

www.instagram.com

エビと野菜を、玉子、小麦粉、エバミルクなどでといた生地で丸くまとめて揚げたもの。日本の揚げエビしんじょうに似ているが、野菜も混ぜ込んであるのがグアム流か。

パンシット(Pansit)

www.instagram.com

肉と野菜のはいったビーフン(米麺)焼きそば。もともとはフィリピン料理だが、いまではすっかりグアムのローカル飯となっている。たっぷりレモンを絞って食べるのがグアム流。

ケラグエン(Kelaguen)

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焼いてから細かく刻んだ鶏肉を、青ネギ、レモン果汁、塩、ココナッツ、唐辛子などで和えた前菜で、グアムの気候にあうさっぱりした口当たり。鶏肉のほか、エビ、牛肉、魚など、さまざまな具でつくられる(個人的にはエビが好きだ)。こちらは Guam Fishermans Co-Op のエビのケラグエン。

ルンピア(Lumpia)

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葉巻タバコのような形をした春巻き。炒めた豚肉、春雨などがはいっている。フィナデニをベースとした甘酸っぱいソースにつけて食べる。こちらは Lieng's Restaurant の極太ルンピア

カドゥン ピカ(Kadon Pika)

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醤油、酢、タマネギ、ニンニク、黒胡椒などでマリネした鶏肉を、唐辛子、ココナッツミルクで煮込んだ辛いシチュー。

チャモロの言葉で「カドゥン(kadon)」は「シチュー」、「ピカ(Pika)」は「辛い」という意味だ。こちらは Linda's Coffee Shop のカドゥンピカ。ココナッツミルクの入っていない、伝統的なタイプのものだ。

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ビーフ ティナクッタック(Beef Tinaktak)

www.instagram.com

薄切りの牛肉を、野菜や唐辛子、ココナッツミルクでさっと煮たチャモロビーフシチュー。

タマレス ギス(Tamales Gis

www.instagram.comトウモロコシの粉に、肉や野菜、スパイスを混ぜて蒸しあげた料理。メキシコ料理のタマル(tamal)のグアム版。ハーフ&ハーフの赤いものは、アチョーテで色づけしたものだ。フィエスタなどでは、バナナの葉にくるまれて提供される。

エンパナダ(Empanada)

www.instagram.comスペイン発祥のエンパナダはミートパイという感じだが、グアムではコーントルティーヤに包んで揚げている。米がはいっているのがグアムならではだろうか。

カドゥン・マノック(Kadun Manok)

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チャモロ風チキンスープ。優しい味わいで、日本の水炊きのようだ。鶏肉にはフィナデニソースや唐辛子をかけつつ、スープはそのままいただくのがうまい。こちらは Ron's Diner のカドゥン・マノック

ティティヤス(Titiyas; Chamorro Flat Bread)

www.instagram.com

小麦粉もしくはコーンフラワーでつくられたフラットブレッド。

ゴライ アパン(Gollai Åppan)

www.instagram.com

料理用バナナ(Aga)やリーマイ(Lemmai; Breadfruit)をココナッツミルクで煮たもの。

アフ(Ahu; Young Coconut Porridge)

ココナッツのおかゆ

デザート&スイーツ

ラティヤ(Latiya)

www.instagram.com

バニラカスタードのスポンジケーキ

ブニュエロス アガ(Buñelos Aga; Chamorro Banana Donuts)

www.instagram.comバナナ(アガ)入りのチャモロドーナッツ。フワフワした食感。

アピギギ(Apigigi; Coconut in Banana Leaf

www.instagram.com

バナナの葉でココナッツを巻いて焼いたスイーツ。

グアムのお袋の味—リンダズ コーヒーショップ(Linda's Coffee Shop)

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2016.01.23 初出
2017.02.08 更新(2017.01.22に再訪。「困ったときの、リンダ頼み」を末尾に追記)

食堂というホーム

世界中どこへいっても、居心地のいい小さな食堂はあるものだ。

雑多でありながらどこか規則正しく、ただ淡々と食事が運ばれてくるその場所は、家族連れ、カップル、一人者、来る者すべてを受け入れてくる度量の深さを持っている。

創業者の Linda 夫人はそんな人柄だったんだろう。リンダズ コーヒー ショップ (Linda's Coffee Shop)のカウンターの中央には、笑顔の夫人の写真が飾られている。この食堂はすべて、彼女のレシピから始まったのだ。

朝や昼のセットをはじめ、サンドウィッチ、フライドライス、オムレツ、前菜、メインなど、とにかくメニューの幅が広い。そのほとんどは特別なものではなく、実に家庭的で素朴な料理ばかりだ。

隣のテーブルでは、三世代家族が総出で食事をしている。どうやら、お婆さんの誕生日を祝っているらしい。飽きた子どもは店内に置かれたすっかり時代遅れのゲームに走り、テーブルの上には豪快に食べ散らかした大皿の数々。それでもまだ、パーティは終わらない。

価格も良心的なのが、地元の人々に愛される理由のひとつに違いない。

グアムのオムライス

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頼んだチキンフライドライス(Chicken Fried Rice)はかなりのボリュームだが、これで半量だ。(Half:$5.25/Full:$9.50)

フライドライスだけでも11種類もあるので迷ってしまう。ハーフで$4.00、フルで$7.00を追加すれば、玉子をつけることができる。すると、オムライスのような形になって出てくるというわけだ。

その昔、母親がつくったオムライスのような玉子の巻き方。今はやりのトロッとした感じは一切ない。だからこそ懐かしい、なんだか家に帰ってきたような気分にひたれるのだ。

テーブルの端には、塩・胡椒をはじめ、基本的な調味料が置いてある。

だがちょっと待て!
これにケチャップをかけてはならない!

最高にうまい!
グアム版オムライスのおいしい作法

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グアムの食卓には、このフィナデニソースが欠かせない。

基本は、醤油系ベースに柑橘類や酢、野菜、唐辛子が漬け込まれている。肉、魚、野菜となんにでも合う、辛いポン酢だと思ってほしい。

もちろん、各家庭やレストランによっても、その作り方は変わる。こちらのフィナデニは、大きめに切られた野菜が主張するタイプだ。生の唐辛子もたっぷりはいっている。

さて、オムライスを食べるか。

まずは、半分に割り、ひと口、ふた口、そのまま味わう。

そしてフィナデニソースを恐れることなくばしゃばしゃとかけ、

がっつく!

ちょっと多いか!? くらいかけて問題ない。

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言ってみれば炒飯なので、それなりに脂っこいわけだが、フィナデニがそれを中和し、次々と口へ運んでしまう次元を越えたフライドライスへと変貌するのだ。

唐辛子と一緒に食べれば、言うことなしの絶品である。

リンダはいつでも待っている
うれしい24時間営業

なによりもありがたいのは、24時間営業だということだ。

昼間をビーチで過ごし、夜は土産を物色していたら、気づけばレストランが閉まっていた……疲れ切った嫁も子供もベッドでごろごろ。

ここが親父の腕の見せ所。店に駆け込み、コンボ フライドライス(Combo Fried Rice)お持ち帰り用に包んでもらうのだ!

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チャモロソーセージとチキンのコンボ。できたて熱々をホテルに持ち帰り、ビールとともに一気に腹へ流し込む。

これ以上の幸せが、あるだろうか?

家庭円満間違いなしである。

困ったときの、リンダ頼み

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2017年1月22日、あいにくの曇天だ。

こんな日は買いものに出かけるしかない。レンタカーでショッピングモールを一通りまわり、夕刻に帰宅。シャワーを浴びて、さぁ夕飯だ。

「しまった、今日は日曜日!」

暑さに浮かれて失念していた。気になっていたレストランのほとんどは、日曜定休なのだ。悩んだあげく、

「困ったときはリンダでしょ」

ということで、一路Linda's Coffee Shopへ車を走らせる。

扉をあけると、いつもの光景、いつもの店員。あぁ、帰ってきたなという安堵感を覚える。

「今日はパロットフィッシュがはいってるよ!」

パロットフィッシュの素揚げ(Deep Fried Parrot Fish, Medium, $18)

f:id:Xphi:20170208174720j:plain本日のスペシャルはパロットフィッシュ。素揚げにしてもらった。

グアムでは肉より魚が高価だ。ペイレスで売っているパロットフィッシュは12ドルだったから、良心的な値段設定と言えるだろう。

いささか揚げすぎな気もしたが、テイクアウトをしたので余熱で火が通ってしまったのかもしれない。

フィナデニをかけて食べるシンプルな一品は、とにかく白いご飯がすすむのだ。

カドゥンピカ(Kadon Pika)

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チャモロのお袋の味、カドゥンピカ。醤油、酢、タマネギ、ニンニク、黒胡椒などでマリネした鶏肉を、唐辛子、ココナッツミルクで煮込んだ辛いシチューだ。

カドゥンピカは店や家によって味付けも変わってくるが、リンダのものはココナッツミルクが入っていない透き通ったスープで、伝統的なタイプといっていいだろう。

一口食べると、むせかえるほど辛い。碗には大量の唐辛子が浮いている。だが、これがクセになってしまうのだ。

汗をかきかき、上半身裸で汁をすすり、ほろほろに煮崩れた骨付き肉にかぶりつく。辛い、暑い、と言いながらも、箸が止まらない。

通常カドゥンピカには酢が入っているが、酸味は強くなく、タマネギの甘みが十分に引き出されているため、日本の肉じゃがにかなり近い味だ。いや、とびきり辛い肉じゃがなんだが。

 

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Information

Linda's Coffee Shop

場  所:Marine Corps Drive, Hagåtña, グアム
営業時間:24時間
Facebookhttps://www.facebook.com/Lindas-Coffee-Shop-The-Whispering-Palms-175587406118183/
Instagram@lindascoffeeshopguam

グアムで食べるナポリピザ—クラスト(CRUST Pizzeria Napoletana Guam)

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グアムに釜焼きナポリピザが上陸!

十数年前、タモン地区のイタリアンで、夕食をとったことがある。

残念ながら・・・・・・残念な味だった。イタリアと東京以外でイタリアンを食べてはいけない。もちろんイタリアに近いヨーロッパであってもだ。

何度も痛い目にあったにもかかわらず、なぜわざわざグアムでピザを食べようと思ったのか。それは、薪オーブンの窯があったからだ。

おいしいピザ、特にナポリピザの鉄則は、粉と水とトマトソース、そして焼く温度にある。窯内が400℃に達しないと、ピザ生地は短時間でふっくらもっちりと焼けない。材料は手に入るが、この温度だけは自宅で再現できない。だからこそ、窯焼きピザには価値があるのだ。

無料送迎で陽気にイタリアン

レンタカーを返却して、パシフィックスター・リゾート&スパのロビーで待つこと10分。迎えのマイクロバスがやってきた。

宿泊しているホテルは山の上なのだが、レンタカー屋から一番近いホテルに無料送迎を頼んだのだ。ワインを飲みたかったし、宿泊先はかなり離れているから、これはとてもありがたいサービスである。

バスを発車させるやいなや、ラジオDJさながらに、日本語と英語をまじえてしゃべり出す運転手。音楽活動をしていて、日本の歌が大好きなのだ。聞けばおじいさんが日本人だというから納得。車内は彼の独壇場。陽気な彼のペースにのせられて、あっという間に店に到着。

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グアムで食べる、ナポリピザ

店内は横に広く、黒とウッド調の落ち着いた色合いだ。入って右手はバー、左手が食事スペースになっている。中央には窯が据えてあり、その手前がオープンキッチンになっているので、より広く感じるのだろう。

メニューを見ると、ピザは2種類ある。ナポリ・スタイルとカリフォルニア・スタイルだ。今回は、ナポリピザを注文することに決めていた。

周りを見ると、ピザはかなり大きい。これにサラダとメインを頼んでしまうと、二人分としては多すぎる。メインは諦めて、前菜にしておこう。

ワインはカリフォルニアのピノノワールだ。

ケールとルッコラのシーザーサラダ(KALE & ARUGULA CAESAR, $12)

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ケールのサラダといえば、キッチン リンゴ(Kitchen Lingo)を思い出す。とろとろの半熟の玉子がのった、あれだ。

結果からいうと、ケールのサラダはキッチン リンゴに軍配があがった(もちろん好みもあるが)。ドレッシングがかなりもったりしているのと、アンチョビのような風味がいささか強い。ケール自体の美味しさというより、ドレッシングを食べさせるといった感じだろう。とはいえ、大ぶりの葉がしっかりしたケールは、食べ応えもあり美味しかった。

ギガンテ・ミートボール(GIGANTE MEATBALL, $12)

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「これ、前菜か・・・・・・?」と顔を見合わせた一品。

握り拳ほどあるミートボールが、ゆるいクリーム状のポレンタに浮いている。濃厚なボロネーゼソースがぴったりだ。ふんわりとした肉の食感が食欲をそそる。

だがやっぱりこれは、メイン料理といってもいいほどのボリュームだ。

ブルスケッタ(BRUSCHETTA, $7)

グアムに行くと、かならず手にとるフリーペーパーが「ISLAND TIME it」だ。誌面のほとんどは広告でそれほど代わり映えしないが、目新しいものがないかと必ず目を通すことにしている。

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そこで見つけたのが、「ピザ(1枚)注文の方にブルスケッタを無料でサービス」という広告だ。「旅の恥はかきすて」という言葉は好きじゃないが、思い切って尋ねてみると、快く応じてくれた。

このブルスケッタ、かなりの実力派だった。通常のブルスケッタは生のトマトを使うが、これは焼きトマトなのだ。チーズもしっかりとしているので、とろっとしたミニトマトバルサミコの相性が抜群。もはやピザなんじゃないか、とも思うのだが、ブルスケッタの新境地をみた。

ブルスケッタの教訓。「フリーペーパーには必ず目を通すべし」だ。

マルゲリータ(Margherita, $14)

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満を持してナポリ生地のマルゲリータが登場。

大きさはあるものの、生地は薄いので、想像より軽く食べられる。食感はナポリのそれよりはさくさく感が強く、もちもち感が劣る。逆に言えば、ナポリピザよりもパンピザのほうが好きな人には、調度いい塩梅ではないだろうか。

チーズとバジルがもう少し多いと嬉しかったものの、スタッフのホスピタリティも含め、満足度の高い夕食だった。もちろん、すべてきれいに完食。

なお、CRUSTは15%のサービス料がかかることも追記しておこう。チップはいらないのかもね(払ったけど)。

Information

CRUST Pizzeria Napoletana Guam

場  所:356 Marine Corp Drive Trinchera Place Hagåtña, Guam 96913
営業時間:【ランチ】11:00-14:00【ディナー】17:00-22:00
Facebook@CrustGuam
Instagram@crust_guam
WEBhttp://crustpizzeriaguam.com/